霧の小次郎によって赤柿玄蕃の手を逃れることができた右門の娘・桔梗は、ある日小次郎から、山に登って来た笛吹童子の笛を盗むよう命じられる。笛吹童子の笛の音が鳴ると、小次郎の妖術は効き目がなくなってしまうのだ。だが、笛吹童子が父の主君である若君・菊丸であることを知った桔梗は、菊丸を山から逃れさせるのであった。怒った小次郎に追われた桔梗は、妖術使い・堤婆に囚われる身となるが、同じく囚われの身である斑鳩隼人に思いを寄せる堤婆の養女・胡蝶尼こそ、小次郎が長年捜し求めていた妹であった。胡蝶尼に兄の名乗りを上げる小次郎。だが、小次郎の悪行を憎む胡蝶尼は、その言葉を信じようとはしなかった…。
萩原遼