母親の突然の死を病院で看取った17歳のみつこ(堀北真希)。毎日、病院に通っていた父・悟(役所広司)は、その日だけは顔を見せず、それどころかその日以来、失踪してしまった。父の帰りを実家で待ち続け、従兄弟の信一(小林裕吉)や、叔母さんの早苗(森下愛子)に助けられながら健気に生きるみつこ。半年ばかりして、ようやく悟が見つかった。父は町外れの殺風景なビルに住んでいる謎の女性“アルゼンチンババア”(鈴木京香)のもとに転がり込んでいた。昔はタンゴが聴こえ、ダンスのレッスンをやっていたという通称“アルゼンチンビル”も今は寂れ、一人で暮らしている変わり者のアルゼンチンババアは町の人々の嘲笑の的だった。父親奪還のために、アルゼンチンビルに乗り込むみつこだったが…。よしもとばななの傑作小説から生まれた、幸せの涙が頬をつたう父と娘の愛の物語。
長尾直樹