どんより曇った空の下。くわえタバコで同級生の女の子・友野との情事を妄想してはときめいている、17歳の“俺”。ちづは友人の峯が好きだと言うし、安パイも秋恵ちゃんとラブラブなのに、俺は傷心の友野を海に誘ってみたものの、悶々とするばかりで何も出来ない…。俺たちの明日はどうなる? 高校生の甘しょっぱい青春を描いたタナダユキ監督作。原作はさそうあきらの同名コミック。
タナダユキ
青春映画と銘打つ作品は山ほどあるけれど、こんなにも淡々と“セックス”について描いている映画は多くはないのではないだろうか。大抵は性を取り上げつつも夢や希望や素敵な恋なんかがテーマになっているのに、この『俺たちに明日はないッス』の主人公・比留間(柄本時生)たち──高校3年生、17歳真っ只中の彼らにはそんなキレイごとの青春ではなく、明けても暮れてもあるのは“セックス”への興味のみ。ヤリたくてもヤレない行き場のない欲求不満はタバコを吸っても、酒を飲んでも、麻雀をしても、デブの男友達の胸を揉んでも晴れることはなく、そんな童貞たちをリアルに描いていく。スラップスティックというのかブラックユーモアというのか…悶々とした若者たちの日常に気が付くと惹き付けられてしまうのだ。