昭和50年。札幌で開催されたフォーク音楽祭に、一人遅れてパトカーで到着した若者がいた。ニッカポッカにサングラス、ギター1本という奇抜な出で立ちで登場したこの男こそ、当時19歳の松山千春。彼が自身の曲「旅立ち」を歌うと、野次を飛ばしていた観客たちはたちまち圧倒され聞き惚れる。そして、審査員として千春の歌を聴いたラジオディレクターの竹田健二は、彼の才能にいち早く気づいていた。これが2人の運命の出会いだった――。歌手・松山千春が、23歳時に書き下ろした自伝を基に、家族への想い、音楽への目覚め、そして恩師・竹田氏との出会いと別れを描く。
今井和久