photo:Toru Hiraiwa / text:Rie Shintani
森田芳光監督×松山ケンイチの“相思相愛” ごく普通の日常にある“笑い”とは——
森田芳光監督がスクリーンに映し出すキャラクターたちは、とても人間味がある。そして監督はいつもちょっとだけ時代の先を歩き、観客に道しるべを作ってくれている気がしてならない。1981年に『の・ようなもの』で映画監督としてデビューを飾り、『家族ゲーム』、『それから』、『(ハル)』、『失楽園』、『模倣犯』、『阿修羅のごとく』、『間宮兄弟』、『椿三十郎』、『武士の家計簿』など、数多くの名作を送り出し、映画と人を愛した。そんな監督が「この1作目がヒットしたら、シリーズものにしたいんだよね」と、ぽつりとつぶやいていた最新作が『僕達急行 A列車で行こう』だった。森田監督が最後に遺してくれた道しるべは、趣味というごく普通に日常にあるものが、実は宝物であると気づかせてくれる、そんなハートフル・コメディ。