- コラム
【シネマモード】この夏、恋愛偏差値を高めるなら… アジア発のこの二作
ここに純粋無垢なヒロインがいます。1970年代初頭の中国に生きたジンチュウと、現代の韓国に生きるウニの二人。彼女たちが出会う運命の恋愛を描いたのが、中国の巨匠チャン・イーモウ監督の『サンザシの樹の下で』と、世界が注目する韓国人監督イム・サンスの『ハウスメイド』です。この二つの作品は、アジアが舞台であること、純真な女性が経験する身分違いの恋愛物語であること、という共通項はあるものの、実は全く異なる愛の形を描いているのです。
- コラム
【シネマモード】素敵な偶然をあなたにも。第一回「キタコレ世音堂」 朗読イベント
去る6月11日(土)、ユニークなイベントに行ってきました。それは、第一回「キタコレ世音堂(ぜのんどう)」という朗読ライブ。単なる朗読劇なら、珍しくありませんが、3人の俳優たちによって朗読される物語は、3人の小説家たちがそれぞれ創作した短編作品で、その元になっているのが3枚のお題写真。つまり、別々の人間が“(自宅から1分以内の場所にある)新しい世界”というテーマに沿って撮影した3枚の写真すべてをインスピレーション源として、3人の小説家がそれぞれ自分なりに物語を創作していくのです。
- コラム
【シネマモード】あなたはどこに注目する? 是枝監督最新作『奇跡』
「最近のお勧めは?」と尋ねられると、きまって私は『奇跡』と答えています。ここまで勧める相手を選ばなくて良い作品も珍しい。映画好きでいろいろ深読みするのが好きな人にも、わかりやすさを求める人にも、悪い人が登場する作品が嫌いな人にも、淡々としすぎている作品は眠くなってしまうから苦手という人にも、男性にも、女性にも、子供にも、大人にも、きっと気に入っていただける作品なのですから。
- コラム
【シネマモード】鬼才アトム・エゴヤンが描く、2人の女
自分が女でありながら、こういう作品を観ていると、女ってつくづく妙な生き物だなと実感させられます。カナダの鬼才、アトム・エゴヤン監督が新作の題材に選んだのは、全く違う人生を歩んでいた2人の女が出会ったことから始まる愛憎劇。2003年にアンヌ・フォンテーヌ監督が、ファニー・アルダン、エマニュエル・ベアール競演で映画化した『恍惚』をベースに、よりサスペンスフルに仕上げられた『クロエ』です。
- コラム
【シネマモード】ドレス姿で受賞者がわかる!? オスカー・ファッション
アカデミー賞各賞が決定しました。やはり、『英国王のスピーチ』は堅かったですね。主要4部門を、さらりと獲ってしまいました。個人的には、「ナタリー・ポートマンが獲ってよかったな」、「やっぱり『ブラック・スワン』は好き嫌いが激しいのかな」というのが感想。まだ、アカデミー賞ノミネート作品を観ていない映画ファンの方々は、今後どんな感想を持つのでしょうか。
- コラム
【シネマモード】美しき女の闘いを制するのは?
いよいよ、近づいてきましたね、アカデミー賞授賞式。毎年、ノミネートされる作品や俳優、スタッフたちは違えども(いや、俳優やスタッフには常連もいますが…)、常に気になってしまうのが女優賞。男同士の闘いよりも、女同士の闘いの方が、どうしても大きな火花が散っていそうなイメージがあるもので、つい舞台裏を面白く想像してしまうのです。誰かが、誰かのドレスの裾をふんづけていたりしないのかなとか(笑)。でも、以前公開されたドキュメンタリー映画『デブラ・ウィンガーを探して』で、キアラ・マストロヤンニが「女優同士でも、結構仲がいい」というような発言をしていたけれど、それも本当なのでしょう。女優たちは、互いに競う心は持ちながらも、尊敬し合い、共演したいと思いながら、切磋琢磨して素晴らしい演技を見せ、ひいては素晴らしい作品を作っていくのでしょう。
- コラム
【シネマモード】少女の憧れ、ディズニーの新プリンセスは…
いま思うと、私が初めて「アニメーション」という言葉を意識したのは、ディズニー作品でした。子供の頃、ディズニー作品以外の“動く絵”は、すべて「マンガ」だと思っていましたから、「アニメ」とか「アニメーション」という響きが何だかとても特別でした。
- コラム
【シネマモード】2010年のオスカー、その後…
1年が過ぎるのは早いなと、思うこの時期。お正月、クリスマスなどもそんな風に思いますが、やはり映画業界にいると、オスカーをひとつの区切りとすることもしばしば。ですから、そろそろ今年のオスカーの話題でも書いてくださいとお声がかかると、「もうそんな時期ですか…」と思うのです。そのわりに、去年の話題作、つまり受賞作やノミネート作品については、すっかり“過去の映画”のような気もしたりして(失礼!)。
- コラム
【シネマモード】2011年、注目なのは誰?
毎年、映画界にもスターが生まれます。それは、無名だった人が突然、超有名人になるということでもあり、これまで知られてはいたけれどハマリ役を得て“格上げ”となるということでもあります。今年はいったいどんな思わぬスターが誕生することでしょう。誠に楽しみな限りです。
- コラム
【シネマモード】2011年の映画業界、あなたを待っているものは? Vol.1
年末、恵比寿ガーデンシネマの閉館(1月28日(金)まで)を聞いて驚いていたら、新年に入ってまたまたがっかりするニュースが届きましたね。シネセゾン渋谷も、2月27日(日)で閉館することが決まったなんて。いずれも固定ファンが多く、上映作品にも良質なものが多かった映画館だけに、寂しさもひとしおです。ミニ・シアターブームを支え、個人的にもお世話になった映画館だけに極めて残念。ここ数年、日本における「映画」の立ち位置が変わり、映画の観方にも変化があらわれているだけに、各劇場の存続が難しいのは分かっていましたが、やはり映画文化を根底から支える良質な箱が消えていくのを見るのはつらいものですね。いわゆる単館系映画の行く末は、ますます厳しくなりそうです。
- コラム
【シネマモード】2010年をふり返ってみれば…
ネタ切れと言われて久しいハリウッドをはじめ、原作モノが目立つ各国の映画業界。オリジナル脚本、原案をゼロから作り出せるクリエーターが少なくなったのか、2010年も主要な映画産出国では、小説、漫画、童話などの名作からのアダプテーションやTVドラマの映画版が目立った年でした。
- コラム
【シネマモード】今年、映像界を賑やかにしてくれた人
最近は、邦画を観る方が増えてきました。そのせいか、日本での映画作りも盛り上がり続けているここ数年。そんな中で、オリジナリティ溢れる映画作品に大いに貢献している女性がいます。人気漫画家の西原恵理子さん。彼女の個性的な作品群は、オリジナリティ溢れる原作を求める映画関係者には、とにかく魅力的なのでしょう。昨年は『いけちゃんとぼく』、『女の子ものがたり』が映画に。ただ、面白いのは彼女自身、TVコメンテーターとして、歯に衣着せぬ率直な言葉で世相を斬り、人気を博してもいるところ。彼女の作品のみならず、彼女自身の生き様が個性的で興味深いということなのでしょう。
- コラム
【シネマモード】唯一無二の村上ワールドを描く、『ノルウェイの森』
映画を観ていると、作品を観終わった後の気持ちを言葉に置き換えることが難しいと感じることがあります。『ノルウェイの森』もまさにそう。その圧倒的な世界観と、その中で提示される愛と生に、何があっても生きていく人間の姿に、ついぼんやりとしてしまいました。

