「オスカーを獲ったからこの映画を作れた」アン・リー監督が最新作を引っさげて来日!

アカデミー賞監督賞を受賞した『ブロークバック・マウンテン』のアン・リー監督が、次に選んだ作品は、監督自身が長年敬愛していたという作家、アイリーン・チャンの同名小説の映画化だった。今年9月に開催されたヴェネチア国際映画祭で金獅子賞(グランプリ)を受賞した『ブロークバック・マウンテン』を引っさげて、監督、主演のタン・ウェイ、ワン・リーホンが来日し、12月4日(火)に記者会見を行った。

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『ラスト、コーション』来日記者会見にて(左から)タン・ウェイ、アン・リー監督、ワン・リーホン
  • 『ラスト、コーション』来日記者会見にて(左から)タン・ウェイ、アン・リー監督、ワン・リーホン
  • 『ラスト、コーション』来日記者会見 アン・リー監督
  • 『ラスト、コーション』来日記者会見 タン・ウェイとワン・リーホン
アカデミー賞監督賞を受賞した『ブロークバック・マウンテン』のアン・リー監督が、次に選んだ作品は、監督自身が長年敬愛していたという作家、アイリーン・チャンの同名小説の映画化だった。今年9月に開催されたヴェネチア国際映画祭で金獅子賞(グランプリ)を受賞した『ブロークバック・マウンテン』を引っさげて、監督、主演のタン・ウェイ、ワン・リーホンが来日し、12月4日(火)に記者会見を行った。

『ブロークバック・マウンテン』は英語の作品なので英語でしゃべりましたが、『ラスト、コーション』は中国の作品なので、中国語で話させていただきます」と挨拶した監督。「約5か月間、118日間撮影をしましたが、毎日の撮影時間がとても長かったので、まさに地獄に落ちてしまったような気持ちになりました。撮影期間中に、日本映画、仲代達矢さんが演じた『地獄変』という映画を思い出しました。自分が、まさに彼と同じように画家になってこの地獄の絵巻を描いているような気分になって、“私はなんでこんな地獄で修行しているのかな”と思いました。しかも自分だけじゃなくて、これだけ勇気のある俳優やスタッフのみなさんと一緒にここで修行しているわけですから、地獄に落ちたままではいけないと、彼らを連れてまた人間の世の中に戻ってきたいという思いで、あらゆる努力とともに撮影したんです」と撮影をふり返った。

とにかく衝撃的なのがセックスシーン。荒々しく、かつ優雅に、そして切ない描写が観客の心を掴む。そのシーンについて監督はこう語った。「このベッドシーンでは、占領と非占領という男女の関係を描いているのですが、ここで描きたかったのは実はこのヒロインの身分なのです。彼女は嘘の身分を通してイー(トニー・レオン)に近づき、借りてきた身分でのセックスを通して、彼に認めてもらいたい、そして彼の一種の愛や情けという部分を認めてほしいと考えるんです。ここで描かれる“色”というのは、色情というだけではなくて、人間の感情を込めた色相というものも描かれています。ですから僕は、このベッドシーンはどうしてもきちんと撮らなければならないシーンだと思い、計12日間、非常にプライベートな環境の中で撮影しました」。

オスカー受賞後に本作を選んだ理由を聞かれ、「いままでアメリカで仕事をしてきて、例えるならメジャーリーグで活躍しているかのような形で、いろんなものを勉強し、その栄養を吸収してきました」と監督。続けて、「中国映画はある意味ではメジャーではないので、アメリカ映画を撮ったことによって得た経験を、中国映画を作るときに取り入れてエッジにしていきました。私の国には“温故知新”という言葉がありますが、中国映画を撮ることによって、また新たな発見をすることもできます。中国映画を撮るのは疲れますし、プレッシャーも大きいですし、ある意味では、中国映画1本撮るのに英語の映画3本を撮ることができるのではないかと思うくらいです」だそうだ。

1万人の候補者の中からオーディションで選ばれたタン・ウェイ。そして、中国で絶大な人気を誇る歌手、ワン・リーホン。本作ではこの若き2人が本格的な俳優デビューを飾っている。監督が「まさに僕が追い求めていたクラシック、古典的な中国の美人を見た気がした」と絶賛するタン・ウェイ。「この役作りのために丸々3か月を費やしてトレーニングを受けましたし、勉強しました。監督から山ほどの資料をいただきまして、ほかにも麻雀、歌、当時の衣食住など社会背景や風習を勉強しました。役作りについては、『私はこの役についてこう思いますが、監督はどう思いますか?』というように、常に監督とディスカッションをしました。それにトニー・レオンも勉強会をしてくださったんです。3か月の準備期間、5か月の撮影期間は、まさしく自分にとって勉強の毎日でした」とふり返った。

タン・ウェイ同様に、そのクラシックな顔立ちから抜擢されたワン・リーホンは「3か月間の準備期間は私にとって、まるでタイムマシーンに乗っているような期間でした。私はアメリカ育ちで、30年代の中国については全然知らなかったので、歴史を学ぶところから始めなければならなかったんです。そして同時に、キャラクターに入り込むために言葉も練習しました。監督は訛りをきちんと捉えることにこだわっていらしたので、一生懸命学びました。本当にゼロからクァンというキャラクターを作り上げていったわけですが、こういう素晴らしいチャンスを与えていただいて本当に感謝しています」とその役作りについて語ってくれた。

最後に監督が、「僕がオスカーを獲っていなければ、ひょっとしたら今回のようなスタッフや予算は集まらなかったでしょう。やはりオスカーの力は大きいですね(笑)。トニー(・レオン)も含めたこの3人は、まさに僕そのもので、僕の持つ3つの側面を表しています。ワン・リーホンは僕の純真さ、タン・ウェイは僕の心、そしてトニーは僕の男としてのもろさを見事に演じてくれました。この映画はまさに僕の人生そのものです」と作品について語り、監督の本作への思い入れが強く感じられる、まさにアン・リー独演会のような記者会見は幕を閉じた。

ヴェネチア金獅子賞に続き、アカデミー賞の呼び声も高い『ラスト、コーション』は2008年2月よりBunkamuraル・シネマほか全国にて公開。
《text:cinemacafe.net》

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