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雨の日だからこそ観たい映画vol.2 ジメジメを忘れる、『歩いても 歩いても』

外が雨だろうと、台風だろうと、この映画を観るとちょっと切なくなりながらも、なんだか気持ちが晴れ晴れする。それが、『歩いても 歩いても』。世界の映画通からの評価が高い、是枝裕和監督の新作です。

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『歩いても 歩いても』 -(C) 2008『歩いても 歩いても』製作委員会
『歩いても 歩いても』 -(C) 2008『歩いても 歩いても』製作委員会
  • 『歩いても 歩いても』 -(C) 2008『歩いても 歩いても』製作委員会
  • 『歩いても 歩いても』 -(C) 2008『歩いても 歩いても』製作委員会
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外が雨だろうと、台風だろうと、この映画を観るとちょっと切なくなりながらも、なんだか気持ちが晴れ晴れする。それが、『歩いても 歩いても』。世界の映画通からの評価が高い、是枝裕和監督の新作です。

物語の舞台は、東京から日帰りできる距離にある海沿いの街。かつては、町医者として近所から厚い信頼を寄せられていた横山家に、次男とその妻、妻の連れ子の3人がお盆休みで帰省してくるところから始まります。

久々に息子一家が帰ってくるとあって、母親は腕をふるって家庭料理の準備に忙しく、父はどこかそりの合わない息子との再会を前になんだか落ち着きません。料理を囲んで始まった家族の団らんは、何気ない会話の中から、お互いの関係性を浮き彫りにしていき、どこにでもあるような家族同士の親密さ、ちょっとしたことで表出する緊張感、隠されていた辛い過去などを徐々に明らかにしていくのです。

ほのぼのしていると同時に、どの家族でも抱えているしこりのようなもの、やるせない時の流れを、ある悲劇的なエピソードで表現しているあたりに、是枝監督らしさが感じられるものの、これまでの監督の作品と比べるとほのぼの系家族映画という感じ。それを強く感じたのが、登場する手料理の数々。とうもろこしのかきあげ、豆とミョウガのごはん、白玉…。とにかく、美味しそうで、夕方の試写は辛かったです。鑑賞される際は気をつけて(笑)。

どこにでもありそうなごくごく普通の家族の関わり、思わずお腹が鳴る家庭料理など、この作品の素敵なところはいろいろありますが、私が一番魅力的に感じたのは、手で作り上げていく生活の大切さをさらりと描いているところ。日常生活に手間をかけながら生きるって素晴らしいとじんわり感じられるのです。

母の愛、父の想い、絶妙な会話、距離感の中に自分の家族を思い出す人も多そう。爽やかな気持ちになった後は、「今年の夏こそ、久々に実家に帰ろうかな…」と、そんなことも思うかも。

《牧口じゅん》

映画、だけではありません。 牧口じゅん

通信社勤務、映画祭事務局スタッフを経て、映画ライターに。映画専門サイト、女性誌男性誌などでコラムやインタビュー記事を執筆。旅、グルメなどカルチャー系取材多数。ドッグマッサージセラピストの資格を持ち、動物をこよなく愛する。趣味はクラシック音楽鑑賞。

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