タランティーノが惚れこんだ新ヒロイン メラニー・ロラン『イングロリアス・バスターズ』

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『イングロリアス・バスターズ』 メラニー・ロラン
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  • 『イングロリアス・バスターズ』 メラニー・ロラン
  • タランティーノを夢中にさせた新ヒロイン
  • オーディションでショシャナ役を勝ち取った
  • 女流監督としての顔も
  • ハリウッド・スターに負けぬ存在感でフィルムに華添える
  • 監督との相思相愛が全面に伝わる
鬼才と呼ばれる一方で“タラちゃん”という愛称も定着しつつある、言わずと知れた売れっ子フィルムメーカー、クエンティン・タランティーノ。新作を発表するたびにセンセーションを巻き起こすのは当たり前、アクション系、SF系、ラブコメ系…というおおまかなジャンルに“タランティーノ系”が加わってもいいほどの独特の世界観を描き続けている。そして、ブラッド・ピットと初タッグを組んだ『イングロリアス・バスターズ』は彼の集大成とも言える作品に仕上がった。第二次世界大戦時の対ナチ戦と復讐劇が織り混ざったドラマだが、真面目な歴史映画でも、アクション・シーン満載の戦争映画でもなく、言えるのは期待を裏切らないエンターテイメントであるということ。主要キャストとしてキャスティングされたフランスの女優メラニー・ロランもタランティーノ監督であることが出演の決め手であり、「タランティーノ作品は大好きよ! もちろん、全作品を観ているわ!」と、声を弾ませる。

「フランス人は彼の作品が大好きなの。多くのフランスの俳優が彼と一緒に仕事をしたいと思っているけれど、まさか自分が一緒に仕事をできるなんて思ってはいないわ。私だって驚いたもの。しかもブラッド・ピットが共演者だなんて!」。フランスでそこそこ有名であっても海外では無名に近い女優にとって、憧れの監督の下、ハリウッドのスーパースターと肩を並べて演じられること自体「信じられない!」ことなのだろう。

さらに“タランティーノ”ファミリーに加わった彼女を待ち受けていたのは、監督とのあまりにも近い距離感。
「タランティーノ監督とこんなにも親しい関係になれるなんて、期待以上だったわ。ロサンゼルスにある彼の家のゲストハウスに泊まらせてもらったことがあって、お互いバスローブ姿で朝食を食べたりしたのよ! 後から考えると、なんてこと! 私、天才(タランティーノ)の人生に入り込んでいるわ! って、驚きの連続だったもの。今回は私の祖父も一緒に来日したんだけれど、ブラッド・ピットも交えてみんなで食事をしたの!」。言葉の終わりに毎度“ねえ、信じられる!?”という感嘆が付く口調と言えば、彼女がどれほどこの作品の出演を喜んでいるか伝わるだろうか。また、彼女の言葉から改めてタランティーノが俳優にとってどれだけカリスマ的存在なのかも思い知らされる。

現場での監督の存在感や演出についてもやはり驚きがあったと続ける。
「この映画に出たことで喜怒哀楽の表現がものすごく豊かになったとか、そういうことはないけれど、例えば撮影現場に行くことがとてもワクワクするような、そんな感情を持てたことは大きいわ。しかも私だけではなく撮影現場の全員がそう感じているって凄いことだと思わない? それに今回のように撮ってもらったのは初めてだし、今回のようにリスペクトしてもらったのも初めてだったわ」。

彼女が演じるのはナチスに家族を虐殺され、その復讐の機会を目論むショシャナ。オーディションで勝ち取ったこの役は、ブラッド・ピットやクリストフ・ヴァルツの演じる役に比べると控えめなキャラクターだが、彼らの個性を映えさせるためのリアリティを請け負っている役柄でもある。実際、タランティーノはショシャナ役にリアリティを求めていた。最初からユダヤ系の女優を探し、彼女と巡り会い、いまではその才能にぞっこん。2人のショシャナという女性に対する解釈が一致していたこともメラニーが抜擢された理由だと言う。
「実はオーディションのときに私なりにショシャナを解釈して演じていたの。内に感情を秘めている…という感じをね。最終的には監督の解釈と私の解釈は合致していたみたい。そこから言えることは、偉大な監督ほどキャスティングの際に自分の思い描いたキャラクターに一番相応しい俳優を選ぶ能力があるっていうことね。だって、作品の大半はキャスティングで決まると思うから。あとは選ばれた俳優がどう演じきるか、でしょう? 実際、どの役者も素晴らしい演技だったけれど、やっぱりブラッド・ピットとクリストフ・ヴァルツは特別際立っていたわ」。

そんなふうに偉大な監督の条件をスラスラと語れるのは、彼女自身も短編映画を撮った経験があるからだ。ということは、監督メラニー・ロランとしても大いに刺激を受けた? 「その通りよ!」と白い歯を見せ、「次は監督として会える?」の問いにはそっと含み笑いをしてみせた。

メラニー・ロラン──女優としても監督としても心に刻んでおきたい人物だが、まずは女優としての才能がどれほどのものなのか、『イングロリアス・バスターズ』で確かめてほしい。

《text:Rie Shintani》

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