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【MOVIEブログ】25日/ロッテルダム

25日、金曜日。6時起床。今朝もたらふくの朝食を済ませ、パソコン仕事を少ししてから、会場へ。

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25日、金曜日。6時起床。今朝もたらふくの朝食を済ませ、パソコン仕事を少ししてから、会場へ。

本日はコンペ部門で『The King』(写真)というイタリア映画からスタート。ロッテルダム映画祭はインディペンデント映画の祭典として世界的に有名で、コンペ部門も監督長編2作目まで(ただしフィクション長編)というのが条件になっています。商業性には全くこだわらない、監督の純粋な作家性、芸術性がロッテルダムでは問われており、やはりコンペは全部見ておきたい。本作が2作目だというジョバンニ・コルンブ監督を僕は知らなかったけれど、かなりの野心作でした。

最後の晩餐から十字架での磔と至る、イエス・キリストの受難の物語を、実験演劇ないしは前衛演劇的に映画化したもの。舞台は荒涼たる山中。直線的な語りをいったん解体し、場面は行きつ戻りつを繰り返して自由にモンタージュされ、チャレンジングな題材に取り組む監督の実験精神が極めて刺激的。絵画などで知るイエス像とはかけ離れた、およそ美形とは言い難いタイプの役者をキャスティングしたことも興味深く、グレーを基調とした険しい画面に引きこまれる。

続けて、「Bright Future」部門で、『Lightning』というフランス映画。雷を主題に、10年かけて完成させたドキュメンタリー映画と認識して見てみると、良くも悪くも予想に反した、ほとんど実験映画的な作品でびっくり。

散文的というか、エッセイ的な内容で、まずは雷に打たれた経験のある人々へのインタビューから始まり、次に電気ショックを与えて鬱病を治療する医師と患者たちの様子を描き、そしてカミナリを受けて中東の地中に年に一度育つという貴重なマジック・マッシュルームの存在を追い、ついには(カミナリに撃たれたような)一目惚れをコスチュームドラマで男女に演じさせるなど、自由に世界が広がってゆき、これは何なのだと見ているうちに4時間が過ぎていく。

4時間の実験映画に付き合うというのも、ロッテルダムならでは、というかこの時期ならではの酔狂で、これはこれで貴重な体験ですね。でもまあ、さすがに4時間は疲れますな。観客は僕を含めて8人。上映前に登壇した監督には大変申し訳ないけれど、上映後のQ&Aには立ち会わずに退出。

続けて、『The Russian Novel』という韓国映画。これは去年のブサン映画祭で上映されたのかな。小説家志望の青年を巡る不思議なドラマで、複雑なプロットと、前半と後半とでまるで雰囲気を変える構成が絶妙に効いている、なかなかの意欲作。これも2時間半を超える長尺で、先ほどの作品と合わせて2本で6時間以上ということになり、まさに映画祭モード全開だ!

4本目は、19時からコンペ部門のオランダ映画で、『The Resurrection of a bastard』という作品のワールドプレミア。ある事件がきっかけで、裏社会の冷酷な幹部から、予知能力を持つ聖人のような存在へと変身する男の物語。暴力描写がかなり残酷で(金を取り立てる相手に対し、なんと強力な掃除機で片目を吸い出してしまう!)、でも不思議な詩情も備えており、空間を広く利用したスケールの大きい映像が魅力的。

本日最後は21時半から、これもコンペで『春夢(Longing for the rain)』という中国映画。30歳の美しい人妻が、性的な欲求不満が高まって見知らぬ男性と性交する夢を見るようになり、それがエスカレートして悲劇が起きていく内容。当然あからさまな性描写も多く、中国映画としてはかなりエロティックな内容であり、インディーズでないと作れないものかもしれない。

上映終了で23時半。劇場の外に出ると、さすがになかなか冷える!これは零下だろうな。ホテルへの帰路を急ぎ(徒歩で10分弱)、暖かい部屋でブログを書き、1時近くなって本日もそろそろダウン。
《text:Yoshihiko Yatabe》

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