【シネマモード】オドレイ・トトゥ主演『ナタリー』を生んだ、フランスの若き才能を直撃!

ひとりの聡明な女性に起きた、喪失と再生の物語を綴ったフランスの恋愛小説が、本国で25万部の大ヒットを記録していると聞き、先日手にとってみました。小説「ナタリー」は、人生における喜び、決して避けることのできない悲しみ…

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ダヴィド フェンキノス(監督)/フランス映画『ナタリー』
  • ダヴィド フェンキノス(監督)/フランス映画『ナタリー』
  • オドレイ・トトゥ/フランス映画『ナタリー』
  • ダヴィド フェンキノス(監督)/フランス映画『ナタリー』
  • ダヴィド フェンキノス原作、「ナタリー」
  • ダヴィド フェンキノス(監督)/フランス映画『ナタリー』
  • ダヴィド フェンキノス(監督)/フランス映画『ナタリー』
  • オドレイ・トトゥ/フランス映画『ナタリー』
  • ダヴィド フェンキノス(監督)/フランス映画『ナタリー』
ひとりの聡明な女性に起きた、喪失と再生の物語を綴ったフランスの恋愛小説が、本国で120万部を越える大ヒットを記録していると聞き、先日手にとってみました。小説「ナタリー」(中島さおり訳/早川書房刊)は、人生における喜び、決して避けることのできない悲しみ、それを経て再び手にする喜びを、ユーモアとデリカシーあふれる文体で綴った物語。

ストーリーの途中途中に、主人公が食べた料理のレシピや、登場人物たちの行動に関するデータなどを記した数々の断章を交える独自な手法を用いながら、人が抱える説明のつかないような複雑な心情を見事に描き出しています。

主人公は、最愛の夫を不慮の事故で失い、失意の日々を送るナタリー。仕事に没頭し、何年も恋愛とは無縁の生活を送っていた彼女は、知らず知らずのうちに、不器用でさえない同僚マーカスの温かさを知り、閉ざしていた心を開き人生を取り戻していく――。

実は、小説の原作者ダヴィド・フェンキノスは、2011年に自らの小説を映画化していました。オドレイ・トトゥを主演に迎えた映画『ナタリー』は、日本未公開。11月20日にDVD化され、それに合わせてフェンキノス監督が初来日するということで、お会いしてきました。どうしても伺いたかったのは、すでに完璧とも言える世界観を持つ自らの小説を、なぜ映画化しかったのかということ。

「兄と一緒にこの映画を撮りました。短編映画も一緒に撮ったことがあるんです。そして何年もの間、どんな映画を長編で撮ろうか二人で考えて来たんです。あるとき、この小説を読んだ兄が“これだ”と言ったんです。小説を書いているときは、映画化しようなどと思ったことはありませんでした。でも兄に言われて、なるほど、これこそ僕たちが映画化したい物語なんだと思いました。感情が描かれていて深みがあって、ユーモアもいっぱいある。役者たちが本当の意味で演じなければならない作品。オドレイに出演してもらえたのは幸運でした。彼女が喜んで演じてくれたことが力になりました」。

――オドレイに期待していたことは?

「彼女の舞台は何度も観ていました。そして、彼女の力に感銘を受けたんです。天才的ですね。そんな彼女を撮影するのは素晴らしい経験でした。ナタリーというとても複雑な役を、賢く本能的に理解してくれましたし。すべての俳優ができることではありません。何人かの俳優には何時間もかけて説明しなければいけないこともありますからね。パートナーのマーカスを演じたフランソワ・アミアンのことも助けてくれました。撮影の時、二人はとても仲良かったんですよ。二人とも船が大好きで、船のことばかり話していました。オドレイが今夢中になっていることは船。これはスクープですよ(笑)」。

――原作者が映画化するということで、よほど小説に忠実な作品なのかと思いきや、面白いことに、物語のエッセンスは同じでありながら、細部はかなり大胆に変更が加えられています。

「原作者だからこそ、いろいろなことを変えられるんです (笑)。私にとってこの映画は、精神性においては小説と同じものだと思っています。ただ、もっと映画的に語る必要があったということ。今、私の別の小説を、他の方が映画化していますけれど、おそらく彼の方が原作に忠実な映画を作るでしょうね」。

――小説と同じ表現を使って、映画の中で同じ感情を起こさせることはできないのだとフェンキノス監督。

「小説に書かれたことを全部映像で表すことはできないんです。映画では、映画的な別な表現を使って、同じことを表現していかなければならない。私はあまりにも良くこの物語を知っているので、小説と全く同じ表現を使わなくても、映画の中でどのような表現をすればいいか、どのように撮ったら同じ感情を表現できるかがわかるんです。映画的な表現については、他の監督のためにシナリオを書いてきましたし、短編を撮った経験もありましたから、できたのでしょうね」。

――映画と小説の双方に触れると、同じ物語を同じ人物が全く別の表現方法を用いて語ることの面白さが感じられます。そして、物語が持つ世界観の深いところまで理解できるのです。

「そう言っていただけて嬉しいですね。読むのと観るのを同時に行うとそう感じていただけるのでしょうね。私が嫌なのは、映画と小説を比較されること。2年半もかけて作った作品なので、映画として見てもらいたいんです。でも、先に原作を読んでいると、どうしても比較されてしまう。比較されないなんて不可能なんでしょうね。だから、自分で自作を映画化するのはやめることにしました。次の作品は、フランソワーズ・サガンの未発表遺稿“ル・クール・バテュ”を映画化します。誰も読んだことのない小説なので比較されずにすみまずからね(笑)」。

――では、『ナタリー』を楽しむためにおすすめなのは、読んでから観る、観てから読む、どちら?

「まだ本を読んでいないのだとしたら、先に映画を観て欲しいです。もちろん本も読んで欲しい。でも、物語がどう進むのかまるで知らない人にとっては、映画を先に観た方が楽しめるでしょうね。サプライズのある作品ですから。本を読んでいると映画でサプライズを感じられない。さらに、本の方が映画よりもずっと豊かで、感情の分析がずっと繊細です。両方楽しんで欲しいけれど、順番としては映画を先に、ぜひ!」。

<DVDリリース情報>
『ナタリー』DVD (※TSUTAYAのみでレンタル中)
価格:3,800円(税抜)
発売・レンタル販売元:カルチュア・パブリッシャーズ
販売元:TCエンタテインメント
《text:cinemacafe.net》

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