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【MOVIEブログ】13日と14日/ベルリン Day8&9

春の長期出張、最後の2日間の日記です…

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『Ice Poison』
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春の長期出張、最後の2日間の日記です:

【13日(木)ベルリンDay8】
13日、木曜日。今日は後述の理由により、手抜きブログ…。

8時半(今日は早い)から、コンペのプレス試写で、中国映画の『No Man’s Land』という作品でスタート。セルジオ・レオーネ的というか、マッドマックス的というか、とにかく砂埃満載の西部劇的エンタメアクション。やっぱりこういう作品がコンペに入ると盛り上がる。ジェットコースター的なノンストップ・どんでん返しの連続アクション映画で、ベルリンの中国映画は大健闘だ!

続いて、1時間列に並び、今年のベルリンのコンペ部門の目玉の1本、リチャード・リンクレーター監督新作の『Boyhood1』へ。うわさにたがわず、素晴らしい。これは、金熊賞(グランプリ)候補になるだろうな。たくさん感想を書きたいけれど、後述の理由により、本日は割愛して、後日書くことにしよう。

リンクレーター作品が3時間だったので(でも、長さを全く感じない…ああ、書きたい)、次は15時から、タクシーに乗って遠めの会場に移り、これまた話題のエロル・モリス監督新作の『The Unknown Known』へ。本作は特別上映部門。毀誉褒貶の激しいラムズフェルド元国防長官へのインタビューを元に構成したドキュメンタリー作品。

それから、17時半から、「フォーラム」部門の『At Home』というギリシャ映画へ。

続いて19時15分から、「フォーラム」部門の映像ポエトリー的なドイツ映画。

上映が終わり、顔見知りの面々と雑談して、22時半から、「フォーラム」部門のパーティーへ。

会場で多くの知り合いに会い、喜んで話しているうちに、どうやらワインを飲み過ぎてしまったらしく、グロッキー状態でホテルへ。

今日は実は書きたいことがたくさんあるのだけれど、ここまでの数行を書くのが精いっぱい。限界超えて、2時半にダウン。

【14日(金)ベルリンDay9】
いよいよ、春の長期出張最終日! だというのに、6時半に起きてみると、完全に二日酔いだ! 何も食べずにワインを飲み過ぎたらしい。最後の最後に何をやっているのだ…、と自分を責めつつ、それでも食欲はあったので朝食をたくさん食べてしまったら、なんだかとても気持ち悪くなってしまった。全くもう。

9時からのコンペ上映『Macondo』というオーストリア映画を観たものの、どうにもぐったりしてしまって集中できず。映画はなかなかの出来なだけに、最終日での自分のだらしなさを恨む…。

上映終わり、いったん宿に帰って資料の山を袋に入れて、国際郵便で日本に送付手続き。8キロくらいになったので、持って帰ると超過料金取られそうだし、そもそも重くてとても無理だ。

昼近くなり、さすがに二日酔いからも回復して、12時半から「フォーラム」部門に出品されているコルネイユ・ポロンブイユ監督の『The Second Game』へ。ポロンブイユ監督の新作長編はロッテルダムでも見たけれど、今作はその後に作られたドキュメンタリーで、これまた監督の才気がいかんなく発揮された逸品だった!

ポロンブイユ監督の父親がプロのサッカーのレフェリーで、その父が実際に笛を吹いた87年に行われた国内リーグの試合のテレビ中継の録画を、監督と父親が一緒に観ながらコメントしていくという内容。親子のコメントは声で聞こえるだけで、画面に映るのは、そのゲームの模様のみ。まるまる1ゲームを映画で見ることになるのだけど、豪雪の中のゲームに、VHSならではの色合いが風味を出して、そこに共産主義体制下の特徴も見え隠れするという、極めてシンプルにして極めて特異であり、実に様々な楽しみ方が出来る作品。ポロンブイユはやはり只者ではない…。

続けて、15時と17時半から、「フォーラム」部門の作品を2本鑑賞。いずれもちょっと感想を書くほどのインパクトは受けず。

20時から、「パノラマ」部門でミャンマーのMidi Z監督の『Ice Poison』(写真)へ。Midi Z監督の短編をロッテルダムで見ていたけれど(それにしても、ロッテルダムの何と昔に思えることか!)、その短編は本作から派生したものだった。

ミャンマーの貧しい農村部の青年が体験することになる日々を描くもので、これがとても素晴らしい出来。絶妙なショットの長さとテンポ、的確な構図、淡々としていながら確実に前に進むストーリーテリング、詩情と厳しいリアリズムの同居など、とても惹き込まれる。かなりの低予算であろうけれど、完成度はとても高い。これは今回の出張を通じても大きな収穫だ。Midi Z(ミディ・ゼッドなのか、ミディ・ジーなのか、確認中)監督は、これから大注目の存在になるはず!

さて、出張最後の作品は、22時から、「フォーラム」部門で『Los Angeles』というメキシコとドイツの合作で、メキシコの僻地の村を舞台にした厳しい現実の物語。現地で多くの時間を過ごした監督がリアリズムでドラマを構築していった作品で、既視感のある設定や、手持ちグラグラカメラにいささか食傷感はあるものの、ソリッドな作りには好感が持てる。

以上をもって、全行程無事に終了!

宿に戻り、0時半から同僚とロビーで30分だけビールで打ち上げ。3週間半に及んだ春の長期キャンプも、終わってみればあっという間だ…。見た作品数はざっと数えて98本、それなりに収穫はあったし、今年の流れのようなものも見えたのかな…。

さて、このブログがアップされるときにはコンペティション部門の受賞結果が出ているけれども、いまこれを書いている14日夜の時点で予想してみると…。

グランプリの金熊賞候補は、んー、リンクレーターの『Boyhood』がやはり有力なのではないかな?頭ふたつくらい抜きん出ていると僕は思っているのだけれど、さほど評価していない人も周囲にいるので、議論は割れるのかも。

対抗でドイツ映画の『Stations of the Cross』、中国映画の『Black Coal Thin Ice』も可能性あるし、『’71』や『Macondo』も受賞に絡むかも。女優賞は『Stations of the Cross』の母親役、ひょっとしたら『Black Coal Thin Ice』のグイ・ルンメイにもチャンスがあるかも? 男優賞は『Stratos』の殺し屋のおじさんか、『Jack』の少年も捨てがたい。んー、いずれにしても今年は予想が難しい!(山田洋次作品は観ていないので、分からないけれど)。

そう、これがアップされるときには発表されているはずなのでいいと思うのだけど、「フォーラム」部門に出品されている日本映画の『FORMA』が、国際批評家連盟賞を受賞した報せが届いた! 素晴らしい!! 坂本監督、おめでとう!!

ということで、これにて終了。途中数日の鼻水状態と、今朝の体たらくを除けば、体調も万全なまま海外出張をこなすことが出来たのが、何よりよかった。帰国したら、また怒涛の日々だ! それは帰ってから心配するとして、ともかく旅は無事終了。おつかれさまでした!

が、家に着くまでが遠足だ、ということで、東京はまたもや大雪の報せ。飛行機がちゃんと成田に着陸できますように…!
《矢田部吉彦》

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