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【インタビュー】芦名星 ショートフィルムのヒロインに重ねた夢と葛藤、親への思い

たった一杯のコーヒーが、人生の忘れられない思い出になる。まさに本作で演じたヒロインのように芦名星にとって、約18分間のショートフィルムが女優としての歩みの中で大切な宝物となった。

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芦名星『あのときのFlavor...』/Photo:Naoki Kurozu
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  • 芦名星・主演ショートフィルム「あのときのFlavor…」
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  • 芦名星・主演ショートフィルム「あのときのFlavor…」
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  • 芦名星・主演ショートフィルム「あのときのFlavor…」
たった一杯のコーヒーが、人生の忘れられない思い出になる。まさに本作で演じたヒロインのように芦名星にとって、約18分間のショートフィルムが女優としての歩みの中で大切な宝物となった。

ショートフィルムの総合ブランド「ShortShorts」と「ネスレ日本株式会社」の協力によって生まれたショートフィルム『あのときのFlavor...』が先日よりインターネット上にて無料で公開されている。この作品の完成披露が、米国アカデミー賞公認アジア最大級の国際短編映画祭「ショートショート フィルムフェスティバル & アジア(SSFF & ASIA)」のアワードセレモニーで行われ、ヒロインを演じた芦名さんが本作、そしてショートフィルムの魅力と可能性について語ってくれた。

「ShortShorts」と「ネスレ日本」のコラボレーションによって誕生したWeb上の無料映画館「ネスレアミューズ オウチ映画館」にて配信された作品の中から、視聴者の投票によってネスレアワード、ネスレ日本特別賞という2つのアワードが授与される「ネスレアミューズ映画祭」。本作は、昨年の同映画祭で「ネスレ日本特別賞」を受賞したYuki Saito監督が、同映画祭のプロデュースのもと制作された作品。ブロードウェイ女優になる夢を追いかけて渡米するも、夢叶わず帰国した娘と10年ぶりに再会した父親が、一杯のコーヒーの存在を通じて愛を確かめ合うさまを描き出す。

女優という夢を追いかけてもがき続ける主人公・美咲に対し、芦名さんは普段とは比べものにならないほどの強い共感を抱き、演じながらも役としてではなく、まるで素の自身がその場にいるような、これまでにない感覚に見舞われたという。

「単に美咲が女優だからというだけなく、夢を追い続けることを決めた人の気持ちが自分自身と深く重なったんだと思います。夢を追うということは、時に壁にぶつかることがあるし、それを乗り越えようとする瞬間の気持ちというのも痛いほど分かりました。美咲という役として捉えていたはずなのに、演じながら自分が味わったことのある感情が顔を出してきて(笑)、不思議な感覚でしたね。加えて、この作品は私にとっても挑戦でした。英語での演技というのは大きな課題でしたし、美咲が参加するオーディションでの“独白”の演技は、向こう(=アメリカ)ではよく行われるやり方らしいんですが、私にとっては初めてで。自分をどう表現するのか? ということに向き合った、私自身の挑戦が投影されているなと思います」。

とはいえ、芦名さんは女優として着実にキャリアを積み、海外作品『シルク』ではヒロインに抜擢されるなど、美咲と違って確実に“成功”を手にしているように見えるが…。そんなこちらの言葉に芦名さんは静かにかぶりを振る。

「この仕事をしている以上、美咲のような思いって永遠に持ち続けることになるんだと思います。本当の意味で成功とか満足って言えるものってなくて、毎日それを追いかけていくものであり、だからこそ楽しくもあるし…正直、いまでも葛藤の連続です」。

美咲は厳しい挑戦になることを承知で、20歳でニューヨークへと旅立つ。芦名さん自身は、中学卒業の時点、つまり美咲よりもずっと若い10代半ばにして親元を離れて上京し、東京の高校に進学することを決断した。その決断ができただけでもすごいことだが、いったい、何が彼女を後押ししたのか?

「どうでしょうね…(笑)? 私の場合は、美咲のように決然と、というわけでもなく、漠然と『何かやるならより広いところで』くらいの感覚で東京に行ってみようと思っただけで…。若いからこそ怖いもの知らずだったと言えるかもしれません。何より、私の場合は親の理解がありました。親は『自分で決めたことなら応援してやりたい』と考えてくれたし、いま思うと親の理解ってすごく大きなものだったなと思います」。

上京に際し、芦名さんは父親に「必ず一番になって帰ってくるから」と宣言した。すると父親は「一番にならなくていいから、いつでも帰ってこい」と言ってくれたという。

「親のありがたみや優しさというのは、早くにこっちに出てきた分、早く気づけたなと思います。やはり常に家族の存在が支えだったし、私自身、一番心が休まる場所は故郷(=福島県郡山市)であり、実家なんですね。いまでも家に帰っても、決して何か特別に言葉を掛けてくれるわけではないんです。ただこちらの気持ちを察して、私が気持ちよく家で過ごして、エネルギーを養ってまた東京に戻れるようにしてくれる。離れていてもずっと一緒に歩んできたなという思いはありますね」。

高校1年生で希望に胸を膨らませて上京した少女も、昨秋で節目の30歳を迎えた。女優としても既にデビューから10年以上を数えるが、本人は「いつでも“足りない足りない”病なんです」と苦笑いを浮かべる。

「本当にいろんな作品に出させていただいてきたし、そのひとつひとつの積み重ねがあって、いまの自分があるということは十分、承知してるんですが、それでもふと振り返ると『10年でようやく、ここまで来たか…』という気持ちです(苦笑)。決して止まっているわけでもないし、進んではいますが、少しずつ、少しずつですね。ただ、いろんな出会いに刺激をもらっているし『まだまだこれからだな』という気持ちです」。

ショートフィルムとの出会い、そして本作のYuki Saito監督との仕事は、その中でも忘れられないものとなり、強い爪跡を彼女の中に残した。

「監督からは撮影前にお手紙をいただいて、その中で『シルク』で私を見てくださったときに受けた印象などを綴ってくださったんですが、今回、監督に声をかけていただけたことはすごく勇気をいただきました。自分を掻き立ててくれる作品に出会えたし、『まだまだやらなきゃ』って改めて思えました。宮崎(美子/美咲の母親役)さんも仰ってたんですが、ショートフィルムであれ、長編であれ、何か観る人に与えるものがあれば同じなんですよね。今回、完成した作品を観て、短い時間の中で自分の中にグッといろんなものが入ってくるのを強く感じました。女優としても、長編作品と変わらないかそれ以上のものをいただけたような気がしていて、すごく不思議でもあります。ちょっとした短い時間でそれだけ、感動を味わえるものなので、ぜひ多くの人にショートフィルムというものを知っていただき、楽しんでもらえたら嬉しいです」。

最後にひとつだけ。美咲にとっての父親の淹れたコーヒーのように、忘れられない思い出の味は?

「母親が作ってくれる“すいとん”ですね。小さい頃から『お腹すいた』というと、出してくれるんです。いまでも『作って』って言います。これが自分で作っても美味しくないんですよ(笑)。まさに母親の味ですね」。

『あのときのFlavor...』配信サイト
http://nestle.jp/entertain/nestle_theater/ (PC)
http://m.nestle.jp/entertain/nestle_theater/ (スマートフォン/タブレット端末)
《photo / text:Naoki Kurozu》

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