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【MOVIEブログ】東京国際映画祭 Day2

24日、金曜日。快晴! この天気が昨日だったら! ということは考えてはいけない。とにかくすっばらしい天気! 睡眠時間3時間くらいだけど…

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24日、金曜日。快晴! この天気が昨日だったら! ということは考えてはいけない。とにかくすっばらしい天気! 睡眠時間3時間くらいだけど、もうこれだけで気分は最高。今日は大変な一日になるはずなので、こういうスタートはありがたい。

9時に事務局へ。本日は早くも僕にとってヤマ場なので、1日のスケジュールを入念にチェック。1分でも間違えると周囲に迷惑をかける時間帯が夜に集中していて、とても緊張する。

10時にテレビ朝日へ。「ポータル」という番組が映画祭を紹介して下さるということで、推薦作品のコメントを収録させてもらうことになったのだ。朝イチで気分はとてもいいのだけど、頭の回転がやや鈍っているのか、どうもスムーズに言葉が出てこない。んー、オンエアを見るのが怖い…。

11時に収録が終わり、職場に戻り、司会をする作品のDVDを見返す。中には数か月前に見たきりで、細部を忘れてしまっている作品もある。確認があったり、新発見があったり、いまさらだけど面白い。

13時から、コンペ『ナバット』のQ&A司会。アゼルバイジャンのエルチン・ムサオグル監督と、主演のファタメ・モタメダリアさん。ファタメさんはイランの女優さんで、受け答えはペルシャ語だけれど、アゼルバイジャン語の監督とお互い意思の疎通は図れるくらい言語としては近いらしい。なるほど。

かなり映画は観客に響いたようで、じっくりとした感動の雰囲気が場内に満ちているのを感じる。本作に希望があるかどうかの解釈を巡って客席と監督の意見交換があり、興味深い。平和の願いを母親の息子への想いを通じて描く、とただ書いてしまうと通俗的にも聞こえるけれど、映像で感情を描いていく映画的手法が抜きんでているから、深い感動を呼ぶのだ。お涙頂戴の戦争ものの対極にある作品で、素晴らしい。

おっと、Q&Aの感想を書くつもりが、自分の映画の感想を書いてしまった。まだまだ聞きたりないので、次回のQ&Aでもっと掘り下げよう。

14時15分から、「日本映画スプラッシュ」部門で、風間志織監督の10年振りの新作長編『チョコリエッタ』のQ&A司会へ。風間監督、ざっくばらんトークで最高。映画の誕生の背景についてポンポンとトークを交わしつつ、合間にお客さんが質問を挟んでくる楽しいパターン。原作を読んでいる人も多く、映画との違いや、劇中人物の心境への突っ込んだ意見や質問が出て、充実のQ&A。楽しかった!

続いて15時から、コンペの『破裂するドリアンの河の記憶』の記者会見。女優さんたちがとにかく美しい! という感想を最初に書いてはいけないけれど、本当なのだからしょうがない。許して下さいませ。そして、エドモンド・ヨウの頭の回転の速さに脱帽。この青年監督、本当に只者ではない。硬軟取り混ぜた質問に瞬時に、そして説得力を持って答えることが出来る。短い時間の中にも、充実した質疑応答の感触を残す技術は、ベテランのよう。会場を出ると、顔見知りの記者の人が、作品を絶賛しながら帰っていった。よっしゃ。

そして16時20分から、コンペの『マイティ・エンジェル』のQ&A。久しぶりに再会したスマルゾフスキ監督は、一言も英語を話さないので、全くコミュニケーションが図れないのだけど、数年振りの来日で僕の顔を見るなり破顔一笑してくれたのが嬉しい。

『マイティ・エンジェル』は今年のコンペで最も好き嫌いが分かれるかもしれないと思っていた作品で、正直言って客席の反応が怖かった…。おそるおそる上映が終わった会場に入ってみると、かなり客席にお客さんが残っている。反応は決して悪くない?

監督は一見無口で(いや、実際に無口ではあるのだけど)、客席にさりげなく質問したりして、実はQ&A慣れしているというか、場を一体にする術を心得ている。本作はアルコール依存症からの回復への絶望的な試みが描かれるのだけれど、客席に主人公の未来に対する意見を求めるなど、緊張感のある充実したQ&Aになったのではないか?

前作『ダーク・ハウス/暗い絵』を東京国際映画祭で見て好きになり、監督の新作を見るのが楽しみだった、と発言されたお客さんがいて、これは猛烈に嬉しい! 長年映画祭に通って下さって、劇場公開こそされないけれど、追いかけたい監督を見つけてくれるお客さんがいるということは、本当にこれ以上励みになることはないくらい。本当に心の底からそのお客さんに感謝したい!

とにかく『マイティ・エンジェル』、なかなか響いているみたいだ。中身はどんなに激しかろうと、いや、激しいが故に、それを見せ切る技術を持ったスマルゾフスキ監督の作家性はビンビン伝わったのではないだろうか?

ほのかな充実感に包まれながら、17時40分に、「日本映画スプラッシュ」の審査員のみなさんとミーティング。熊切監督、カンヌのクリスチャンさん、そしてトニー・レインズさん、なかなか豪華なメンバーだ。

早々にミーティングの座を辞して、18時10分から『破裂するドリアンの河の記憶』の上映前舞台挨拶。コンペでは上映前挨拶をすることは珍しいのだけど、今回は女優さんたちが登場する挨拶と、監督にじっくり話を聞くQ&Aとに分けてみた。ワールドプレミアなので、やはりエドモンド以下俳優たちも興奮している。第1作目の、ワールドプレミア。これは一生に一度しかないことなので、やはり大変なことなのだ。その場が東京であるという事実に、僕らも背筋を伸ばして臨まなければならない。

18時25分に舞台挨拶が終わり、事務局に戻って弁当食べて、一瞬休憩。座ったときにはどっと疲れが出た感じがしたのに、弁当食べたらあっという間に復活した。やはり食べることは重要だ! 映画祭期間中は睡眠でエネルギー補充できない分、食べて補充するしかないので、目の前に弁当があったら、とにかくすぐに食べるべし。これが映画祭サバイブの秘訣(でもないか)!

20時30から、『破裂するドリアンの河の記憶』のQ&A(写真)。エドモンドとプロデューサーのウー・ミンジンが登壇。中華系マレーシア人のアイデンティティーとは何か、あるいは、政治を含む描写に対するスタンスは、などの大きな質問にもひるまず答え、ここでも僕は密かに舌を巻く。いや、これらは彼らが日常的に接し、考えていることなのだろうから、彼らとしては面食らうことでもないのだろう。それでも、そのクレバーな答え方は誰もが出来ることではないはず。映画の良さに魅かれてコンペに選んだけれど、監督のコメントを聞くにつれ、その器の大きさをますます確信するばかり。

数分しか間がないので、ドリアンチームのフォトセッションが始まると僕は壇上から降りて、スクリーンをダッシュで移動。

21時05分から「日本映画スプラッシュ」の『知らない町』のQ&A。この作品は実に不思議な作品で、まだ上映があるのでネタバレは書けないけれど、僕は魂の行方をパラレルワールド的な設定を用いながら描いていく展開が好きで、こういうチャレンジングな作品こそ映画祭で取り上げて、その勇気を応援していかなければいけないのだと強く思う。

大内伸悟監督によれば、本作は完成までに4年かかったとのこと。それも、少し撮っては中断し、また撮っては中断を繰り返しながら、3年かけて撮影し、そして1年かけて編集した、という製作過程の話に驚く。インディーズでは決して珍しくない頓挫企画の典型のように聞こえるのに、諦めずに完成させた監督の粘りに、最大級の敬意を表したいです。

これまたフォトセッションで失礼して、スクリーンを移動。21時45分からのコンペ『壊れた心』の上映前舞台挨拶に向かったのだけど、楽屋が騒然としている。予想していたことではあるけれど、クリストファー・ドイルが暴れている!

まあ、暴れているといってもパフォーマンスなのだけど、事前の段取り打ち合わせを全て変更させ、舞台監督と先に到着していた英語通訳さんを困惑させていたらしい。僕が到着すると、何やら壇上でやらかしたいとのことで、もういいや、ままよ、ということで舞台挨拶スタート!

まあ、コンペ関連で登壇は数十回、いや、もしかしたら数百回しているかもしれないけど、ここまでハチャメチャなのは初めて! ケヴィン監督とクリスと役者さんたちとで、ハチャメチャパフォーマンスで、とにかくクリスの力技で客席を唖然とさせながら強引に引っ張る、というもの。何故かティッシュの箱からティッシュを抜いて宙に投げながら客席を走り回る、というイマイチ意図の不明なパフォーマンスなのだけと、いや、もう何を書いているのか分かりませんが。客席がウケているのか引いているのかよく分からないけど、もう司会が仕切るのも無理なので、なすがままにさせていると、やがてパフォーマンスは終わり、フォトコールして、あっという間に引っこんで上映開始へ。引き上げ方は意外にあっさりしている!

僕はまたダッシュで移動し、22時13分からの「ワールドフォーカス」部門の『ハングリー・ハーツ』のQ&Aへ。今年の夏のローマ出張の折に見て、改めてサヴェリオ・コンスタンツォ監督の才能に惚れ直した作品で、『素数たちの孤独』以来の招待が叶って本当に嬉しい。本作で今年のベネチアの女優賞を受賞したアルバ・ロルヴァケルも来てくれて、いやあ、こんなに嬉しいことはない! 彼女は現在全世界でもトップに来る女優だと僕は本気で思っているのだ。

会場に一歩入った瞬間に、作品がウケたかイマイチか、という空気って、なんとなく分かるときがあるのだけど(いつもというわけではないけど)、本作はしんどい内容の映画でありながら、客席に刺さったことは間違いない。切ない緊張感のような雰囲気が、会場に満ちている気がする。ある意味『マイティ・エンジェル』もそうだけど、辛い設定をいかに「魅力的」に描くかという点が作家側に試されているのであり、その点サヴェリオの才気はまさに画面から溢れてくるようで、そこにファンが反応しないわけがない。

監督の上着のポケットのiPhoneの音楽がしばらく鳴り続けるという楽しいハプニングを挟みつつ、作品の背景を語ってもらったのだけれど、僕はサヴェリオ・コスタンツォとアルバ・ロルヴァケルと並んで座っていられることが幸せで、なんだか少しボケっとしてしまった。そして、幸せな時間はあっという間に過ぎてしまう…。

ほんの30分と少しの再会だったけれど、充実した30分を過ごし、すぐに別の国に移動してしまう彼らと惜しみながらのお別れ。また次の作品で会えますように。いや、本作こそは公開されて、プロモーション来日をしてくれることを強く願いつつ、しばしのお別れだ。

23時から、『壊れた心』のQ&Aへ。この作品も好き嫌いがハッキリ割れる作品で、今年のコンペの飛び道具。登壇系があまりにもハチャメチャなので、作品に対する客席の反応がよく分からないのだけど、23時過ぎにしては大勢の人がQ&Aに残ったので、それなりのインパクトを残したのではないかな?

上映後外に出てみると、それなりのインパクトどころか、最高に好きですとコメントを残しながら帰路に着くお客さんがたくさんいらして、おおー、とこれまた嬉しい。もちろん気に入らなかった人の意見も聞いてみたいけれど、絶賛と酷評の同居する映画というのは、それだけでも映画祭で上映する価値があるというものだ!

何とかQ&Aも無事に終わり(本当?)、ついに長い長い本日も終了。なんと、テレビ取材1件と、司会が10件。司会10件は、いくらなんでもやりすぎだ! 自分でやりたいと言ってやっているのだから、絶対に失敗は許されないのであって、それは当たり前だとしても、周りをヤキモキさせてしまって本当に申し訳ないです…。

0時に帰り、溜まったパソコンメールを処理しようと無駄なあがきをしたり、ブログを書いたりしているうちに、4時を回ってしまった。ブログはたぶんグダグダな内容になっている気がするけど、もう読み直すこともおっくうなので、このままアップします。グダグダもライブのうち、ということで! そして、もう今日は限界!
《矢田部吉彦》

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