青春映画としては、かをり、公生、椿(石井杏奈)、渡(中川大志)、4人が紡ぐ友情もみどころのひとつだ。海岸沿いを自転車で走るシーンや橋から川に飛びこむシーンなど、十代だからこそのキラキラした出来事は瑞々しく美しい。そのなかで一番思い出深い撮影エピソードは、山崎さんの携帯の水没事件だと広瀬さんが明かす。「川に飛びこむシーンは本当に楽しかったです。私の方が最初に飛びこむ設定だったので、先に川に入ってびしょ濡れ。それを賢人くんが携帯で撮影していたんです。その後、賢人くんも川に飛びこんだんですけど、携帯をポケットに入れて飛び込んじゃったんだよね(笑)」。苦笑いしながら山崎さんが続ける。「そう…。で、撮影を終えて着替えをしていたら、隣の部屋からスタイリストさんの“うわぁあーっ!”っていう叫び声が聞こえてきて、あっ…携帯ポケットに入れっぱなしだった…と(笑)」。携帯は残念なことになったが、それほど楽しい撮影だったということ。さすがはムードメーカーにしてエピソードメーカーの山崎さん。そんなふうに撮影秘話を面白可笑しく話す2人だが、演技の話になると表情が引き締まる。今回、彼らの演じたかをりと公生は17歳で、物語は17歳の年がメインとなっているが、ひとつの役を演じるということは、短い撮影期間のなかでその役の人生を生きること。「かをりにも公生にも17歳までの生活が当然あって、それは直接描かれないけれど、それまでの16年間をどう演技に取り入れるのかは考えました。かをりに関しては“ある嘘”をついているので──嘘をついている“かをり”、そうじゃない“かをり”をどう演じ分けるのか、難しかったですね」。広瀬さんの言葉に深く頷く山崎さんは「以前と少しだけ演じ方に変化が生まれた」と言う。「少し前は、演じる役の格好いい所や憧れている所に、いかに近づけるか…という気持ちが強かったんです。最近は、そういう所に自分を近づけるのではなく自分自身の内側から出てくるものを大切にするようになりました。その方がリアルで面白くて。その人になって、その人を生きて演じた方が言葉ひとつとってもリアリティがあるし、観ている人にも伝わると思うんですよね」。それはきっと大きな変化だ。そんな若き俳優たちの才能に驚かされ、青春の素晴らしさに感動し、そして“切ない嘘”に涙するだろう。
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