そんなヒュー・ジャックマンだからこそ、映画のなかでの妻チャリティ(ミシェル・ウィリアムズ)や子どもたちとのシーンが、より感動的になる。なかでも『A Million Dreams』が流れる屋上のシーンは、とてもロマンチックだ。しかしながら、とても難しいシーンだったと明かす。
「僕以上にミシェル・ウィリアムズが大変だったと思うよ。難しいシーンで、一番テイクを重ねたシーンでもある。たとえば、ミシェルがキュッと飛んで回転して僕がキャッチする動きは、最初の4回くらいは僕の顔が彼女のスカートの中に入ってしまったりした(笑)。あのシーンは監督マイケル・グレイシーのビジョンによって生まれた。大きな月があって、シーツはまるで踊っているようで、ロマンチックでファンタジーで、すごくいい演出だと思った。演じているときも感動していたけれど、完成した映画でそのシーンを観たとき、涙が溢れた。しかも『A Million Dreams』は、ベンジ・パセック&ジャスティン・ポールが最初に書いた曲でもあるからね」。
「彼らを発見したのはマイケル・グレイシーだ。オリジナルのミュージカル映画を作るなら超有名な作曲家に頼むべきだと(上から)言われて、いろいろな人から曲を出してもらった。そのなかのひとつが『A Million Dreams』だったんだけれど、実はマイケルはスタジオに嘘をついていたんだ。スタジオの人間たちから、このベンジ・パセック&ジャスティン・ポールは何者だ? と聞かれて、とっさにブロードウェイで活躍する凄く有名な人たちだってね(笑)。でも、彼らの実力は本物で、曲も詞も誰よりも良いものを出してきた」。
なかでも1番好きな曲をたずねると、主題歌の「This is me」と即答しつつ「でも、どの曲も素晴らしくて、大好きで、日によって1番は変わるね」と話すその表情には、ミュージカル映画への愛があふれていた。「This is me」はゴールデングローブ賞に輝き、アカデミー賞にもノミネートされている。