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【MOVIEブログ】2018カンヌDay12

19日、土曜日。ついに今年のカンヌも最終日! 本当にあっという間だ。本日は快晴、気温もいままでで最も高いんじゃないかな。最終日に最高の天気になるとは、映画祭(や出張・旅行)あるあるだ! いざ、気を引き締めて最終日へ!

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Copyright Nuri Bilge Ceylan films "The Wild Pear Tree"
19日、土曜日。ついに今年のカンヌも最終日! 本当にあっという間だ。本日は快晴、気温もいままでで最も高いんじゃないかな。最終日に最高の天気になるとは、映画祭(や出張・旅行)あるあるだ! いざ、気を引き締めて最終日へ!

とはいえ、午前中に再上映が組まれている作品を全て見ているので、朝はお休み。少し寝坊して8時に起き、パソコンを叩いてから外に出てお土産を買い、宿に戻って帰り支度を少し始めてから、改めて12時に外に出て13時の上映に向かう。

見たのは、スパイク・リー新作の『Blackkklansman』。昨今、実話を基にしている映画が大流行りだけど、今作は「とてつもなく事実に基づいているぜ!」的なあおり文句とともにスタートし、早くもスパイク・リー節が炸裂だ。

黒人青年がコロラドの警察に入り、白人刑事との連携でKKKの地元組織に潜入捜査する物語。軽快にしてユーモアにも溢れ、しかし扱うテーマは超ヘヴィーというスパイク・リー本領発揮の作品だ。テレンス・ブランチャードによる音楽も素晴らしい。

続けて会場を移動してコンペのロシア映画の『Ayka』へ。カザフスタンのセルゲイ・ドヴォルツェヴォイ監督の10年ぶりの新作。

豪雪に見舞われるモスクワを舞台に、出産直後に病院を抜け出し、腹痛に耐えながら金策に走るキルギスタン女性の必死の姿を密着カメラのリアリズムで描く内容(予習ブログで書いた内容とはかなり異なっていた)。

緊迫感が痛みを伴って伝わってくる演出は充分に成功している。カンヌのコンペとしてはシンプル過ぎるとの印象をもつ人もいるかもしれないと思うけれども、僕は支持したい。10年前の『トルパン』では少女だった女優が成長した姿を見せてくれるのも嬉しい。

それにしても、『Ayka』にしても、昨日のレバノンの『Capernaum』にしても、社会のギリギリの底辺でもがく人々を、超物価の高いカンヌで安穏と眺めながら、出来が良いとか悪いとか勝手につぷやいている自分はなんなんだという気持ちに襲われずにはいられない…。世界は矛盾に満ちている。

18時に上映が終わり、19時45分の上映会場に行ってみると、早くも長蛇の列ができている。これはヤバイとすかさず並び、1時間半ほど待つ。

混むのは当たり前で、コンペの最後に登場したヌリ・ビルゲ・ジェイラン監督新作の『The Wild Pear Tree』(写真)。唯一の再上映、つまり見る機会が少ないので殺到するわけだ。昨夜見た人の評価がめちゃくちゃ高いので、否が応でも期待が高まる。最後の上映だし、入場できなかったら泣いてしましそう。

列に並んでいる間にクロージング・セレモニーが始まったらしく、とても気になるけれどもここは上映優先だ。

かなりギリギリで入場が叶ったわりには良い席が確保でき、カンヌの有終の美をかざれそう。という予感は実現になり、ジェイラン新作は素晴らしかった。尊敬されていた学校教師の父親がギャンブル中毒になってしまい、それを嘆く小説家志望の息子の物語。

映画と文学を結び付けようというジェイランの意図が色濃く出た作品という印象を受ける。長い会話の数々はストレートでありつつ、示唆に富む。特異で極上の映画体験だ。

上映終わって23時。外に出て受賞結果を確認すると、なんと、是枝監督パルムドール!

渡仏前の予習ブログで予想しつつ、カンヌのコンペ作品を見続けるにつけ可能性は高いと感じていたので昨日のブログでも改めて候補に挙げたけれど、ああ、これは嬉しい。

その他の賞は当たったり当たらなかったりだけど、まあそれはご愛敬。

同僚たちとレストランに入り、祝杯を上げ、めいめいのカンヌベスト作品について語りつつ、今年のカンヌも無事終了!

ホテルに戻って1時半。ブログを殴り書きして、そろそろ寝ます。明日は6時起きで帰ります。今年も体調万全で全会期を乗り切れて、充実のカンヌでした!

お疲れ様でした!
《矢田部吉彦》

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