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【映画と仕事 vol.3】商店街にある名画座「下高井戸シネマ」 新型コロナでの休館に負けじ!亡き父の思いを受け継いだ支配人がユニークなクラウドファンディングを実施中

新型コロナウイルスの感染拡大とそれに伴う緊急事態宣言によって、窮地に立たされている全国各地のミニシアター。

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新型コロナウイルスの感染拡大とそれに伴う緊急事態宣言によって、窮地に立たされている全国各地のミニシアター。映画監督や俳優など、映画人が発起人となってのクラウドファンディングの設立など支援の輪が広がりを見せていますが、個々の映画館でもそれぞれに工夫を凝らした様々な試みが展開されています。

東京都世田谷区の京王線下高井戸駅のすぐ前にある、約60年の歴史を誇る老舗の名画座・下高井戸シネマでは、3月半ばから希望者の年齢などに応じて支援金額やリターン(劇場招待券、ポストカードに劇場で販売している牛乳もなかアイスの引換券など)を選べるクラウドファンディングを実施中。

今回の「映画お仕事図鑑」には、同劇場の支配人であり、このプロジェクトを考案した木下陽香さんにご登場いただき、名画座のお仕事、感染拡大を受けての現況、そしてクラウドファンディングについてなどお話を伺いました。

※こちらの記事は新型コロナウイルスの感染拡大を踏まえ、メールでの取材をベースに構成しています。

音大→経済学部→保険会社勤務を経て、亡き父の後を継いで名画座の支配人に!



――木下さんは、先代の支配人で昨年の6月に急逝されたお父さまを引き継ぐ形で、この下高井戸シネマの代表に就かれたと伺っております。小さい頃から映画に親しみ、現在の仕事に就く以前から映画業界で働かれていたのですか?

小さい頃から父のそばでよく映画は見ていましたが「これから映画を見るぞ」と意気込んで見るというよりは、お酒を飲みながら見ている父の横に行ったら、なんとなく一緒に見続けてしまったというような感じで見ることが多かったです。映画を見るということはとても自然でしたが、最初から最後まできちんと見ていない作品もたくさんありますので、映画に親しんで育ったと言ってよいものか分かりません。

映画は身近にあったものの、私自身は映画業界を目指したことは一度もありませんでした。高校卒業後は音大に入学し、バイオリンを専攻しました。最初はバイオリン関係の仕事につきたいと考えていたのですが、途中で勉強し直したいという気持ちが湧き、進路変更して全く別の大学の経済学部を受験し入り直しました。大学卒業後は損害保険会社に就職し、下高井戸シネマに来るまでの約10年間、保険金査定の部署に勤務していましたので、映画業界とは全く異なる業種から、突然映画業界に飛び込んだ格好です。

映画業界には一度もいなかった人間が代表になるだけでも苦労するのですが、父が急逝してしまったため仕事の引き継ぎも何もできない状態でしたので、大変でした。

――毎月の上映プログラムはどのように決めているのでしょうか?

上映プログラムは2か月分を決めています。まず番組決めのスタッフと私でほぼ全ての映画を事前に観て、上映候補作品を決めます。上映は他劇場や配給会社との兼ね合いがあるので、うちで上映できるかを含め調整します。

会員様(※一般・大学・専門:年会費3500円、小中高・シニア・障がい者手帳をお持ちの方:年会費2500円の会員制度。料金が990円になるなど各種特典あり)には、偶数月に2か月分の上映スケジュールを記載したスケジュール表を郵送していますので、その郵送に間に合うように作品決めをしています。映画の公開本数が増えていることもあり、上映作品を選ぶのには時間を要します。

正月に父が家族のために貸し切り上映してくれた思い出の『タイタニック』



――下高井戸シネマでの思い出深いエピソードがあれば教えてください。

下高井戸シネマにいると、父を思い出すので、時折とても辛くなります。下高井戸シネマでの最高の思い出は、元旦の休館日に、父が家族のために貸し切りで『タイタニック』の上映を行なってくれたことです。

――近年、都内でもミニシアターの閉館が相次いでいますが、特に下高井戸シネマのようにロードショー作品を上映するのではない「名画座」ならではの魅力はどのようなところにあると思いますか? 今後も受け継いでいきたい思いについても教えてください。

当館はメジャー系からミニシアター系まで、様々なジャンル・国・時代の映画を上映しているので、色々なタイプの映画に出会えるところや、様々な特集があるところは魅力かと思います。最近は上映本数が多く封切館の作品の切り替わりが早く、割と早い時期に当館でも上映が可能となる映画もあるので、ちょっと忙しくしているうちに見逃してしまった作品を名画座価格で見られるのも良いと思います。

また、古き良き時代の映画館、という雰囲気を残す数少ない映画館ですので、この雰囲気の中で映画体験をしていただくことは、名画座ならではの魅力だと思います。いま挙げた魅力は、変えることなく受け継いでいきたいと思っています。

《text:Naoki Kurozu》

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