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【インタビュー】イ・ジェフン、出世作『BLEAK NIGHT 番人』からの現在地「新しい自分に出会いたい」

恋に奥手な『建築学概論』の大学生、過去と繋がる「シグナル」の捜査官、悪を成敗する「模範タクシー」の運転手、遺品整理業に関わる「Move To Heaven:私は遺品整理士です」のボクサー。イ・ジェフンには様々な顔がある。

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常に挑戦的な役柄に「見せたことのないイ・ジェフンをお見せしたい」


“あのころ”から時間を経たことは、痛みからの脱却だけでなく、イ・ジェフンにさらなる喜びをもたらした。2020年、Netflix映画『狩りの時間』でユン・ソンヒョン監督と再タッグ。『BLEAK NIGHT 番人』ではギテと心が通わなくなる友人を演じたパク・ジョンミン、ギテの死を悔やむ父親を演じたチョ・ソンハとも再共演を果たした。

「そうです。今度はずっと仲のいい役です(笑)。『狩りの時間』の撮影中は、『BLEAK NIGHT 番人』当時の話に花を咲かせていました。何せ、撮影状況が全く違いますから。かたや低予算の独立系映画で、真冬の撮影現場に暖房器具すらない。『(日本語で)寒い~。寒い~』と嘆いていました。一方、『狩りの時間』も実は冬の撮影でしたが製作費は潤沢で(笑)、俳優たちが演技に集中できるような環境が整っていました。でも、笑いながら苦労話ができる仲間との再共演はうれしいものです。彼らは“映画の同志”ですから」

(C) COMPANY ON

そんな『狩りの時間』を含め、イ・ジェフンのフィルモグラフィーがバラエティに富んでいるのは前述の通り。メソッド演技法で身を捧げるのが困難な役も、決して少なくない。

「日本でもリメイクされた『シグナル』は、大変だった役の1つと言えるかもしれません。過去と交信しながら事件を追うプロファイラーの役ですから。実際に事件を感じつつ、冷静に捉えなくてはならない。感情を抑えながら、理性と感性を衝突させるんです。精神的な苦痛がないとは言えませんね。しかも、視聴者に感情移入させないといけませんから。現実的にアプローチしようとはするけど、ファンタジー要素は消せない。リアルに演じたからと言って、リアルに受け止められるか。すごく不安でした。様々な要素が絡み合う中、様々な感情と向き合わなくてはならなかったんです」

(C) COMPANY ON

それでも、様々な感情に進んで身を置き、挑戦的な役柄を好んでいるようにも。役柄ごとのイ・ジェフンを存在させながら。

「何よりも大事なのは、脚本です。僕は面白く感じたけど、皆さんはどうだろう? そんなことを考えます。できれば、すでに演じた役柄と重ならない役がいいですね。今までの演技を生かす方法も有効だとは思いますが、個人的には、別の領域に足を踏み入れ、新しい自分に出会いたい。いつもそんな気持ちでいます。ご覧いただく方にも、見せたことのないイ・ジェフンをお見せしたいですから。それが、僕にとっての探求心ですね」

「対面でお目にかかれる日を楽しみにしています。(日本語で)ありがとうございました~」と、冒頭と変わらない朗らかな調子でインタビューは終了。そんな状況が訪れるころまでに、彼の顔はいくつ増えているだろうか。

《渡邉ひかる》

映画&海外ドラマライター 渡邉ひかる

ビデオ業界誌編集を経て、フリーランスの映画&海外ドラマライターに。映画誌、ファッション誌、テレビ誌などで執筆中。毎日が映画&海外ドラマ漬け。人見知りなのにインタビュー好き。

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