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【ネタバレあり】『エターナルズ』推しが見つかる!完璧なキャスティングと示唆されるMCUのこれから

早くも話題の『エターナルズ』。キャストにも、アンジェリーナ・ジョリーやサルマ・ハエックを筆頭にこれまでのMCUにはなかった顔ぶれが勢揃い。ダイバーシティを実現した本作の“新しさ”と意義について、キャラクターを中心に紐解いてみた

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『エターナルズ』 (c)Marvel Studios 2021
『エターナルズ』 (c)Marvel Studios 2021
  • 『エターナルズ』 (c)Marvel Studios 2021
  • 『エターナルズ』撮影風景 (c)Marvel Studios 2021
  • 『エターナルズ』(c)Marvel Studios 2021
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『アベンジャーズ/エンドゲーム』(19)から2年半がたち、 『ブラック・ウィドウ』『シャン・チー/テン・リングスの伝説』と、ようやく本格再始動したマーベル・シネマティック・ユニバース(以下、MCU)。そして11月5日、日米同時公開でついにベールを脱いだ『エターナルズ』は、アベンジャーズのように個性豊かなヒーローチームをマーベル史上最大級のスケールで描き出し、早くも話題を呼んでいる。

あのサノスの“指パッチン”による大混乱をただ横目で見ていただけ(!?)という、新たなヒーロー集団《エターナルズ》。しかも監督は、一ファンとしてマーベルに自らアプローチし、日本の漫画をこよなく愛する根っからのサブカル好き、車中生活を送る60代女性を主人公にした『ノマドランド』でアジア人女性監督として初めてアカデミー賞を手にした中国出身のクロエ・ジャオという斬新さ。そしてキャストにも、アンジェリーナ・ジョリーやサルマ・ハエックを筆頭にこれまでのMCUにはいなかった顔ぶれが勢揃い。この“新しさ”と意義について、キャラクターを中心に紐解いてみた。


ダイバーシティとインクルージョンを実現したMCU作品


7000年前、宇宙から地球にやってきた《エターナルズ》は、邪悪な捕食者《ディヴィアンツ》から人類を守るために闘い、時には人類の進化や発展を促しながらも、表立った活躍はすることなく密かに地球上で暮らしてきた。今回初めてスクリーンに登場する彼らは、神話から抜け出てきたかのような神々しさがあり、アイアンマンやキャプテン・アメリカといったお馴染みのキャラクターを凌ぐスーパーパワーを有する。ただ、人種、性別、年齢などは様々で、それぞれが唯一無二、十人十色のユニークさが際立つ10人だ。MCUで最も世界観が近いのは『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』シリーズだろうか。

映画のために原作コミックから設定を変更したキャラクターもおり、多様な人々が互いに個性を認め合い、一体感を持って活躍できる“ダイバーシティ&インクルージョン”をMCU作品において実現させた。そんなヒーローたちを演じるのも、クロエ・ジャオ監督や製作総指揮のネイト・ムーアによって選ばれるべくして選ばれた俳優たちばかりで、必ずや応援したくなる、共感を寄せたくなる“推し”が見つかるはずだ。

<キャラクターとキャストの魅力が見事にリンク!>


リーダーを受け継いだセルシ:ジェンマ・チャン イギリス出身


エイジャックから信頼され、《エターナルズ》のリーダーを受け継ぐ女性ヒーロー・セルシ。人類に対して深い愛情を抱いており、現在は自然史博物館の同僚の男性デインと交際中。かつては同じチームのメンバーであるイカリスと5000年にわたり恋人関係にあった。感情を持たない物質であれば、どんな物質でも触れるだけでその組成を変更させ、別のものに変換させることができる能力を持つ。

香港出身の父、中国生まれスコットランド育ちの母を持つジェンマは、2015年にドラマ「ヒューマンズ」で注目を集め、アジア系俳優が大集結した『クレイジー・リッチ!』に出演、ディズニー・アニメーション『ラーヤと龍の王国』ではナマーリの声を務めた。MCU作品『キャプテン・マーベル』のミン・エルヴァとしても知られ、ハリウッドで活躍するアジア系俳優の代表格の1人だ。『クレイジー・リッチ!』では、傍目には完璧に見えても、自分に自信がなく本音を押し殺しているような人物を演じていたが、今作でも最強のパワーを持つわけではない自分はリーダーにふさわしくないと考えている。「彼女のストーリーは、自分の能力を再発見すること」とジェンマ自身は言う。彼女によれば「メンバーのうち5人は思索家で、あとの5人は戦士」だという。セルシはもちろん思索家タイプだ。


チームの精神的支柱エイジャック:サルマ・ハエック メキシコ出身


エイジャックは《エターナルズ》を地球に送りだした《セレスティアルズ》と意思伝達ができるリーダーであり、癒しの能力を持つ。原作コミックでは男性のキャラクターだ。サルマはメキシコでの俳優活動を経て、英語が話せない状態でロサンゼルスに渡って演技を学び、1995年アントニオ・バンデラス主演『デスペラード』のヒロインに抜擢された。

プロデューサーも手がけたメキシコの女性画家フリーダ・カーロの人生を描く『フリーダ』でアカデミー主演女優賞の候補に。人気海外ドラマ「アグリー・ベティ」でも製作総指揮を手がけた。ハリウッドの性差別や人種差別を訴え続ける活動家でもあり、ハーヴェイ・ワインスタインに対する告発者の1人でもある。そんなサルマが「ファミリーへの母性的な愛が基盤になっている」と語るように、全体を俯瞰で見つめ、見守るリーダーは多様なチームをまとめるにふさわしい。


心優しき豪腕ヒーロー、ギルガメッシュ:ドン・リー(マ・ドンソク) 韓国出身


《エターナルズ》の中で最も豪腕、コズミック・エネルギーを拳にまとい、ロッキーさながらのパンチを繰り出す。チームの中で最も心優しい人物であり、心的外傷後ストレス障害(PTSD)を抱えるセナを支える。自制の利かないハルクをブラック・ウィドウがなだめたように、セナを落ち着かせられるのはギルガメッシュだけ。また、ほかの《エターナルズ》が訪ねてきた際には、エプロン姿で手料理も振る舞った。

『新感染 ファイナル・エクスプレス』や『神と共に』シリーズ、『悪人伝』『白頭山大噴火』などヒット作に出演するマ・ドンソクは、18歳でアメリカに移住し、アメリカ国籍を取得。俳優になる前はフィットネストレーナーやボディビルダーとして活動していた。その鍛え上げられた肉体や怪力の一方、人を楽しませることが大好きなラブリーな素顔により、今作でも全世界に向けて“マブリー”が炸裂。《エターナルズ》の中で最も人間的な役どころは彼で大正解だった。「これまで数多くの韓国映画で現実のヒーロー・キャラクターを演じてきたけど、前からずっとマーベルのスーパーヒーローになりたいと思っていた。その夢がかなった」と喜びを語っている。


メンタルの問題と闘うヒーロー、セナ:アンジェリーナ・ジョリー アメリカ出身


頭に浮かんだどんな武器でも生み出すことのできる能力を持ち、戦闘力にも長けた兵士。誰よりも戦うことを愛し、熾烈な戦場のほうが平穏な場所よりも心が落ち着くというが、実は過去の記憶に悩まされ、時々自分を見失ってしまうことに。他者には心を開かないがギルガメッシュとは長く友情を築いている。

アカデミー賞女優で、映画監督、プロデューサー、人道活動家としても知られるアンジェリーナが、約10年ぶりにアクション大作に出演。しかも、チーム最強レベルの戦闘力と存在感を持ち合わせながら、自身がかつて『17歳のカルテ』で演じたような心に傷を抱えるキャラクターを体現した。アンジェリーナは最近のインタビューでも過去にPTSDを経験したことを告白しており、様々な困難と闘ってきたことから「スーパーヒーローを自分の中に見いだせる」と特別映像の中でも明かしている。


子ども扱いされたくないヒーロー、スプライト:リア・マクヒュー アメリカ出身


スプライトは本物に見えるような幻影を生み出し、自分の姿を自由自在に変化させることのできる能力をもつ。現代のロンドンで、セルシの姪として共に暮らしてきた。《エターナルズ》の中でも1、2を争う明晰な頭脳の持ち主だが、12歳の少女のような見た目のため数千年に渡って人間たちから“子ども扱い”され、そのことで孤独や疎外感を感じている。

そんなスプライトを演じたリアは2007年生まれ。2016年にTVシリーズでデビューし、『トーテム 呪いの首飾』『ロッジ−白い惨劇−』といったホラー映画、マイケル・ベイが製作したパンデミック・スリラー『ソングバード』(原題)などに立て続けに出演。俳優一家に育ち、5人のきょうだいはいずれも俳優として活躍している。見た目は少女かもしれなくても、しっかりとキャリアを積んでいるのだ。


MCU初のゲイのヒーロー、ファストス:ブライアン・タイリー・ヘンリー アメリカ出身


《エターナルズ》の“頭脳”を担う知性派メンバー。発明の才能を用いて数千年に渡って人類のテクノロジーや技術の進化や発展をそっと後押ししてきたが、1945年の広島をきっかけに隠遁生活へ。現在では同性パートナーのベン(ハーズ・スレイマン)や子どもとシカゴで暮らしている。演じるブライアンといえば、ドナルド・グローヴァーが主演を務めるエミー賞受賞ドラマ「アトランタ」で地元の人気ラッパー“ペーパーボーイ”として知られる。過去の出演作『ジョーカー』では良心を持って主人公に接するキャラクターに、『ゴジラvsコング』では怪獣に対する陰謀論を主張するポッドキャストを運営するバーニー・ヘイズを演じた。聡明かつ穏やかで良識派というファストスは彼にぴったりだ。


映画スターになったヒーロー、キンゴ:クメイル・ナンジアニ パキスタン出身


キンゴは、手からコズミック・エネルギーを発射する能力を持つ。≪エターナルズ≫のほかのメンバーが人間たちに紛れて密かに暮らしている中、インド映画界“ボリウッド”でスター俳優兼監督として目立ちまくり。クメイルが演じることで、原作の東南アジア出身のアクションスターという設定から変更された。再び《ディヴィアンツ》の脅威が迫ってきたため、映画スターとしての生活を諦め《エターナルズ》に参加。でも、ちゃっかりドキュメンタリーを撮影しようとする。

撮影中の映画には「BTS」が出演予定だったというキンゴ。その後のシーンでは「BTS」ジミンとVのユニット曲「Friends」が起用されており、クロエ・ジャオ監督は実は「ARMY」(BTSのファン)でジミンファンだったらしい。

キンゴを演じるクメイル自身も、脚本家やコメディアンとして多彩な顔を持つ。エミー賞受賞のコメディシリーズ「シリコンバレー」や、妻エミリーとの関係を描きアカデミー賞候補となった『ビッグ・シック ぼくたちの大いなる目ざめ』の印象が強いが、今作でヒーロー役を演じるため1年かけて肉体改造を行ったことも話題に。チームで最も陽気な性格ではあるが、楽観的なようでいて冷静な判断もできる頼れる存在なのだ。「ボリウッド映画を観て育った」というクメイルは「今回の役を演じる準備として、実際にその頃に立ち戻って、数多くのボリウッド映画を見直した」と明かしており、尺たっぷりのボリウッドのダンスシーンは見逃せない。


MCU初の手話を操るヒーロー、マッカリ:ローレン・リドルフ アメリカ出身


《エターナルズ》の中で最も速いスピードで移動できる能力を持つ女性。DCでいえばフラッシュのようなヒーローだ。《ディヴィアンツ》との戦いの後は古代都市バビロンの宇宙船に潜んでいる。5000年ぶりにメンバーがマッカリのもとを訪れたことで《エターナルズ》が再結成されることに。機転が利いて勇ましく、セルシを演じるジェンマによれば、イカリスやセナらと同じ戦士タイプ。

MCU初の聴覚障がいのスーパーヒーローとなったローレンは、2017年、聴力を失った子どもたちが主人公のトッド・ヘインズ監督作『ワンダーストラック』にコンサルタントとして参加し、俳優としても出演。「ウォーキング・デッド」シーズン9から登場したキャラクター・コニーとしても知られ、リズ・アーメッド主演『サウンド・オブ・メタル ~聞こえるということ~』にも教師役で出演していた。


争いごとを嫌う?ヒーロー、ドルイグ:バリー・コーガン アイルランド出身


《エターナルズ》は人類同士の闘いには一切介入しない。“介入しないこと”が彼らの使命の1つでもあった。だが、人間の心をコントロールする能力を持つドルイグは、争いの絶えない人類に対し《エターナルズ》として関われないことに疑問を抱き、数千年に渡って他のメンバーとの交流を絶つ。そんな彼が人里離れたアマゾンでコミュニティを作っている様子は、“争いごとを好まない”新興宗教の教祖のようにも感じられる。

常に超然としているドルイグを演じるのは、期待の俳優バリー・コーガン。同役にはキアヌ・リーヴスやルーク・エヴァンス、ラミ・マレックらが候補に上がっていたように、原作のキャラクターよりもかなり若い設定になっている。ヨルゴス・ランティモス監督『聖なる鹿殺し キリング・オブ・ア・セイクリッド・ディア』での謎めいた青年役が印象深く、真意を読み取れないところはぴったり。北アイルランド紛争を描いた『ベルファスト71』や、クリストファー・ノーラン監督の『ダンケルク』、海外ドラマ「チェルノブイリ」など、抗うことのできない暴力に直面する役柄を演じてきた彼だからこそ、《エターナルズ》に対するドルイグの感情にも共感できる。次回作はロバート・パティンソン版『THE BATMAN-ザ・バットマン-』だ。


求められるイメージと闘うヒーロー、イカリス:リチャード・マッデン スコットランド出身


《セレスティアルズ》の任務に忠実で、高潔、カリスマ性のある《エターナルズ》最強の戦士。空を自由に飛行する能力を持ち、目から強烈なビームを放つが、マントは着ない主義。人類に危機が迫ったことで、かつて恋人同士だったセルシと再会した。エイジャックが《エターナルズ》のリーダーをセルシに託したことに複雑な思いを抱えており、自身もメンバーの一部も、彼こそがリーダーにふさわしいと考えている節がある。

とはいえ、重要な任務の最中にセルシと恋に落ちる姿や、その頑固さをエイジャックが母親のように諌める場面などは、世界的大ヒットドラマ「ゲーム・オブ・スローンズ」で演じたスターク家の長男ロブを否が応でも思い起こさせ、結婚式のシーンでは“何かが起きる!?”とドキッとしたファンもいそうだ。しかも、セルシの現在の恋人役が“異母兄弟”ジョン・スノウを演じたキット・ハリントンで、2人がスクリーンで向かい合うシーンは胸アツ。もし、リチャードが演じたイカリスがBBCドラマ「ボディガード -守るべきもの-」の主人公のように自身の弱さを自分で認めることができたなら、《エターナルズ》を去ることはなかったかもしれない…。

以下、エンディングクレジットを最後まで観ていない方はネタバレ注意


《上原礼子》

「好き」が増え続けるライター 上原礼子

出版社、編集プロダクションにて情報誌・女性誌ほか、看護専門誌の映画欄を長年担当。海外ドラマ・韓国ドラマ・K-POPなどにもハマり、ご縁あって「好き」を書くことに。ポン・ジュノ監督の言葉どおり「字幕の1インチ」を超えていくことが楽しい。保護猫の執事。LGBTQ+ Ally。レイア姫は永遠の心のヒーロー。

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