【インタビュー】カン・ドンウォン&イ・ジウン&イ・ジュヨン、是枝裕和監督と現場を共にして得た“新たな気づき”

さまざまな事情によって育てられなくなって赤ちゃんを匿名で預け入れることができる窓口である“赤ちゃんポスト”を題材にした映画『ベイビー・ブローカー』。メガホンをとった是枝裕和監督が挑んだ初の韓国映画だ。

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カン・ドンウォン&イ・ジウン&イ・ジュヨン『ベイビー・ブローカー』 (C) Yoshiko Yoda
  • カン・ドンウォン&イ・ジウン&イ・ジュヨン『ベイビー・ブローカー』 (C) Yoshiko Yoda
  • カン・ドンウォン『ベイビー・ブローカー』 (C) Yoshiko Yoda
  • イ・ジウン『ベイビー・ブローカー』 (C) Yoshiko Yoda
  • イ・ジュヨン『ベイビー・ブローカー』 (C) Yoshiko Yoda
  • カン・ドンウォン&イ・ジウン&イ・ジュヨン『ベイビー・ブローカー』 (C) Yoshiko Yoda
  • カン・ドンウォン『ベイビー・ブローカー』 (C) Yoshiko Yoda
  • イ・ジウン『ベイビー・ブローカー』 (C) Yoshiko Yoda
  • イ・ジュヨン『ベイビー・ブローカー』 (C) Yoshiko Yoda

さまざまな事情によって育てられなくなって赤ちゃんを匿名で預け入れることができる窓口である“赤ちゃんポスト”を題材にした映画『ベイビー・ブローカー』。メガホンをとった是枝裕和監督が挑んだ初の韓国映画だ。

本作は、赤ちゃんポストに預けられた赤ん坊を生んだ母親、子供を欲しかる夫婦に赤ん坊を仲介するブローカー、そしてそんな犯罪行為を摘発しようとする刑事たちという、全く違う視点を持った人物たちが、ひょんなことから赤ん坊を巡ってさまざまなことを思い行動していく姿を描いた人間物語だ。

6月27日の日本公開を記念して来日したカン・ドンウォン(赤ちゃんブローカーのドンス役)、イ・ジウン(赤ん坊の母親ソヨン役)、イ・ジュヨン(事件を追うイ刑事役)が、是枝監督との現場について、作品の魅力、そして自国以外の監督と仕事をした意義などを語った。


是枝裕和監督の“すごい”ところ


――是枝監督と作品を共にして「新鮮だったな」と感じた撮影でのエピソードなどはありましたか?

カン・ドンウォン:是枝監督の現場でとても面白いなと感じたのは、リハーサルのときに演技を見て、カメラの位置を決めたあとは、監督がモニターを見ないで僕らの演技を自身の目で見ていることでした。そこがほかの監督とは違うなと思いました。でもそれは僕にとってはエキサイティングなことでした。

イ・ジウン:是枝監督とは長い時間ご一緒しましたが、しかめ面をしていたり、声を荒げたりしたことが一度もありませんでした。

いろいろな現場に行きますと、なかには少々神経質な方や感情的な方もいるので、それが映像の現場では普通だと思っていたんです。

でも是枝監督は、常に穏やかで浮き沈みがない。とてもマインドコントロールができている方なんだなというのが、とても印象的でした。

イ・ジュヨン:すごく順応性があるというか、現場で予想しない出来事が起きても、逆にそれを利用して良いものに仕上げようという機転がすごいなと思いました。

例えば、(ソヨンの子である)ウソンを連れてサンヒョン(ソン・ガンホ)が病院に行くシーンで、私が演じたイ刑事と、(ペ・ドゥナ演じる)スジンは車で待っていたんです。そのシーンは雨が降ってはいけなかったのですが、雨が降ってしまいました。そんなとき、是枝監督はホン・ギョンピョ撮影監督と話をして、雨の設定に変えたんです。

車には雨によって花びらが落ちてしまったりしたのですが、そこも活かした演出に切り替え、素敵なシーンを生み出しました。そういったことを目の当たりにできたことは、とても新鮮で楽しかったです。


日本の映画監督と現場を共にしたことで見えてきたものとは……


――自国以外の監督と作品を共にしたことでの気づきはありましたか?

カン・ドンウォン『ベイビー・ブローカー』という作品が特別だったのは、日本の映画監督である是枝さんが、韓国に来て、韓国映画を撮ったということだと思うのですが、韓国というのは、映画作りに対してとてもオープンスタンスで、こういった共同作業にはとても開かれた雰囲気があります。映画というものは世界共通の言語であり、違う文化や国のクリエイターたちと交流していくというのは、韓国では望まれていることなんです。

もちろん僕自身もそれを望んでいます。今回初めて外国の監督と作品を共にしたのですが、個人的には、海外との仕事のファーストステップになったのかなという思いがあります。

イ・ジウン:撮影に入るまえは、不安だったのですが、実際は思っていたよりも心配するようなことは起こらなかったなというのが正直な感想です。やっぱり、言葉を伝えたいと思う人と、それを聞き取りたいと思う人が誠実に向き合えば、言語や文化が違うということは問題にならないんだなと実感することができました。

私にとってもこの経験はとても大きかった。言語などの壁に捉われて、いつも自分がしている仕事の領域に留まるのではなく、広く視野を広げても大丈夫なんだと思える機会になりました。

イ・ジュヨン:個人的には日本の作品や、海外の映画やドラマを探して観るのが好きなのですが、自分がグローバルな作業の一員になるということは、あまり考えたことがなかったんです。

でも今回、こうしてチャンスをいただき、是枝監督が外国の俳優さんや海外作品に関心が高く、外国で映画を撮ることに全く恐れをなさずに挑戦している姿を見て大きな影響を受けました。自分もグローバルな作業も十分可能な領域なんだなと自信を持つことができました


物語が進むにつれて人物の奥行きが出てくる作品!


――登場人物によって、同じ事実でも見え方が全く違う作品。それぞれが演じた役以外の視点で作品を観て感じたことはありましたか?

カン・ドンウォン:僕は初稿の段階から、ずっと映画全体がどうなっていくかという会議を続けてきたので、ドンスという役に入るときには、ほかの役柄を俯瞰で見て、全部知っていたうえで作品に入っているので、出来上がった作品を観て、改めて違う視点で……という見方はしていないんです。

その分、客観的に作品を観ていた気がします。その意味で、度の人物にも、しっかり共感できる思いが詰まっているなと感じました。

イ・ジウン:私はラストシーンでの、ガンホさん演じるサンヒョンに思いを馳せて観ていました。この物語は、サンヒョンの視点で観ると、長い時間悲しい余韻が残るなと。

もちろん、ソヨンも完全なるハッピーエンドではないのですが、ある程度希望を持った終わり方になっていると思うんです、でもサンヒョンの場合、感情的に崩れるわけではないのですが、どうにも寂しさやもの悲しさを感じました。

イ・ジュヨン:私はカンヌ国際映画祭でも、韓国で公開されてからも作品を観たのですが、違う視点で観たというよりは、より登場人物の奥行きを感じることができました。

私はそれぞれの登場人物に好きなシーンがあるのですが、ストーリーが進んでいくにつれて、人物の理解の幅が広がっていくので、観賞した方も、登場人物の誰かには感情移入できる作品になっていると思います。

《text:Masakazu Isobe》

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