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【インタビュー】杉咲花、役作りは“対話”で向き合う「自分だからこそできるような関わり方を」

杉咲花が、壮絶な宿命を背負った女性を演じた『市子』が、12月8日(金)に劇場公開を迎える。

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杉咲花『市子』/photo:You Ishii
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『湯を沸かすほどの熱い愛』や『楽園』など、役の人生を丸ごと背負うような熱演を見せてきた杉咲花。彼女が、壮絶な宿命を背負った女性を演じた『市子』が、12月8日(金)に劇場公開を迎える。

「ただ穏やかに、生きていたい」と願いながら、家庭環境に恵まれずに受難が続く市子(杉咲花)。恋人の長谷川(若葉竜也)にプロポーズされた翌日に姿を消した彼女の足跡をたどる形で、その過去が紐解かれてゆく。

作品と出合った誰もが、頭から離れなくなる生きざまを具現化した杉咲さん。彼女はいま、どのような想いで「演じること」に取り組んでいるのか。対話に近い形式で、語っていただいた。

「物語に関わることは、社会との接点を持つということ」


――以前、杉咲さんに本作のお話を伺った際に「自分の特権性に気づかされた」とおっしゃっていたのが強く印象に残っています。これはまさに、近年の映画を語るうえで重要なトピックのひとつではないでしょうか。

私自身も近年に関わる作品であったり、コロナ禍などの様々な社会の動きから、尊厳が守られない環境で生活せざるを得ない方が社会の中に確かにいるという状況を今まで以上に肌で感じるようになりました。そして自分のようにそう感じている方も、まだその事実に触れたことのない方も、きっと世の中にいるはずで。だからこそ物語を通して自身の特権性を知ったり、区切りを付けずに考え続けていくこと、誰かと議論していく動きにつながることが大切だと感じています。

――おっしゃる通り、一過性にしないことが大事ですよね。『市子』はまさに、そうした効果を促してくれる作品かと思います。先日の28回釜山国際映画祭でワールドプレミアを迎えられましたが、現地の反応はいかがでしたか?

ご覧になった感想はまだ自分のもとに届いていないのですが、戸田監督・若葉竜也さんと一緒にお客さんに交じって観賞し、上映後には何と言えばいいのでしょう――張りつめているわけでも、感動と表せるようなものでもなく、その場にいた皆さんと“言葉に出来ない何か”を共有した感覚を味わいました。そしてなんだか恥ずかしくて、そのまま劇場から去りたくなってしまいました(笑)。

ワールドプレミア後にはQ&Aコーナーが設けられたのですが、本当に多くの観客の方々が手を挙げて質問をしてくださいました。自分自身、この作品が海を渡り、日本とは異なる歴史や文化を持った方々にどう受け止めてもらえるのだろうと気になっていたのですが、興味深く観ていただけたのかなと実感できてとても嬉しかったです。

――ちなみに、杉咲さんが一観客として「気づかされた」近年の作品はございますか?

『エゴイスト』です。ここ数年でクィアな方々を描いた作品に関わらせていただく機会が増えたことをきっかけに、当事者の持つ歴史や、クィア映画/ドラマが日本や世界でどのように作られているのかを学んでいきたい気持ちがより深まっています。

性的マイノリティの方が他者に否定をされてしまうような、差別や偏見による被害の側面だけが描かれるのではなく、当たり前にそこに存在している姿が描かれた映画はこれまで国内にはあまりなかったように思います。そういった作品がこれからも増えていってほしい気持ちがとても強いですし、自分にとって本当に学びのある作品でした。

――同時に、演じ手においてはより責任感が増す、という側面もありますね。

つまりそれって、自分がどういう人間でありたいのかということに繋がる気がしているんです。自分自身、気になっているトピックが色々とあるのですが、まだそこに学びが追いついていない感覚もあるのが正直なところです。そんな自分にとって、物語に関わることは、社会との接点を持つということでもあり、だからこそ、作品に関われることはとても貴重な時間だと感じています。


《text:SYO/photo:You Ishii》

物書き SYO

1987年福井県生。東京学芸大学卒業後、映画雑誌の編集プロダクション、映画WEBメディアでの勤務を経て、2020年に独立。映画・アニメ・ドラマを中心に、小説・漫画・音楽・ゲームなどエンタメ系全般のインタビュー、レビュー、コラム等を各メディアにて執筆。並行して個人の創作活動も行う。

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