鮮やかな夏の煌めきに、縛られない自由への憧憬を重ね、ありのままの自分らしさを追い求める女性を描いた映画の公開が多く控えているこの夏。フレッシュな才能がまっすぐに演じきった、胸に響く珠玉のサマームービー3選を紹介する。
カンヌグランプリ『私たちが光と想うすべて』
7月25日(金)よりBunkamuraル・シネマ 渋谷宮下、ヒューマントラストシネマ有楽町ほかにて公開
第77回カンヌ国際映画祭でインド映画史上初のグランプリを受賞したほか、100を超える世界の映画祭・映画賞にノミネート、25以上の賞を獲得した本作の監督を務めるのは、新鋭パヤル・カパーリヤー。
光に満ちたやさしく淡い映像美、洗練されたサウンド、そして夢のように詩的で幻想的な世界観を紡ぎ出し、これまでのインド映画のイメージから新鮮な驚きを与えた。

真面目で年上のプラバを演じるカニ・クスルティと、陽気なアヌを演じるディヴィヤ・プラバはともに映画祭で主演女優賞受賞・ノミネートの経験を持つ注目の若手俳優。
さらに病院の食堂で働き、住居を追われ故郷に帰るパルヴァティを、日本でもスマッシュヒットを記録した『花嫁はどこへ?』のベテラン俳優チャヤ・カダムが演じる。

世代や境遇、性格も異なり、はじめは分かり合えなかった3人だったが、互いを思いやり支え合っていく。
ただ相手の存在を“認める”という温かな視線を向けあう彼女たちの姿に国や文化を超えた共感が湧き上がる。女性たちが人生のままならない状況に対峙しながら、ありのままでいたいと願い支え合う優しさに満ちた1作。
名作小説を現代の感性で映画化『美しい夏』
8月1日(金)よりYEBISU GARDEN CINEMA、シネスイッチ銀座、アップリンク吉祥寺ほかにて公開
20世紀イタリア文学の巨匠チェザーレ・パベーゼが1940年に執筆し、長く読み継がれて来た名作小説「美しい夏」を、繊細な映像美と情緒的な語り口で知られるイタリアの女性監督ラウラ・ルケッティが現代的な感性で映画化。

田舎からトリノに出てくる16歳の少女ジーニアを、『墓泥棒と失われた女神』『天空のからだ』などアリーチェ・ロルヴァケル監督作への出演で知られる、いまイタリアで注目の若手俳優イーレ・ビアネッロが等身大に演じる。

画家のモデルとして生計を立てている自由でカリスマ性を放つアメーリア役にはモニカ・ベルッチとヴァンサン・カッセルの実娘でモデルとして活躍するディーヴァ・カッセルが抜擢され、本作でスクリーンデビュー。

戦争の足音が迫るトリノを舞台にした青春の輝きと残酷さ、そして年上の女性との出会いを通して少しずつ大人になっていく少女の姿を瑞々しく描く。
サンローランが手掛ける『パルテノペ ナポリの宝石』
8月22日(金)より新宿ピカデリー、Bunkamuraル・シネマ 渋谷宮下ほかにて公開
圧倒的な映像美で<21世紀の映像の魔術師>と呼ばれ、人生の悲哀と幸福を表現し、映画ファンを虜にしてきたイタリアの巨匠パオロ・ソレンティーノ監督が描くのは、故郷ナポリを舞台にした、愛と自由の人生讃歌。

製作は、世界屈指のラグジュアリーブランド「サンローラン(Saint Laurent)」が、異なる分野の先鋭的なアーティストたちとコラボレーションするという、「サンローラン」のクリエイティブ・ディレクター、アンソニー・ヴァカレロの継続的な取り組みを反映して映画界へ参入したサンローラン プロダクションが手掛けた。
本作ではアンソニー・ヴァカレロ自らが衣装のアートディレクションを担当し、50年代から80年代までの時代の変遷とともに生きる様々な人々を彩る色彩豊かなファッションの数々を作り上げた。

街の象徴として古くから伝わる人魚の名を持つ主人公パルテノペを演じたのは、オーディションをくぐり抜け本作で鮮烈な銀幕デビューを飾った新星セレステ・ダッラ・ポルタ。

彼女の瑞々しい煌めきと、無邪気な笑顔…その美しい輝きが多くの人々を魅了し、ときには悲劇や争いをも引き起こす宝石のような、神秘的な魅力を放つ女性を全身全霊で演じきった。
この夏も、贅沢な映画体験が堪能できそうだ。
『パルテノペ ナポリの宝石』は8月22日(金)より新宿ピカデリー、Bunkamuraル・シネマ 渋谷宮下ほかにて公開。





