今年『もののけ姫(4Kデジタルリマスター)』が全国拡大公開されるなど反響を呼び、公開40周年を記念した押井守監督『天使のたまご』4Kリマスター版がカンヌでの熱狂に続いて東京国際映画祭でジャパンプレミアを迎えるなど、名作・傑作と呼ばれ語り継がれる映画が相次いでリバイバル上映されている。
11月以降も、映画史にその名を刻み、いまもカルト的人気を博す映画がスクリーンに続々と登場。これを観ずしては語れない(!?)多彩な5作品をピックアップした。
『落下の王国 4Kデジタルリマスター』
目もくらむほどの幻想世界
“映像の魔術師”ターセム監督(『ザ・セル』)が構想26年、撮影期間4年、13の世界遺産、24か国以上のロケーションで完成させた『落下の王国』が4Kデジタルリマスターで蘇る。
万華鏡を覗くような映像美で紡がれるのは、傷ついたスタントマンの青年が純真な少女に語りだす、思いつきの冒険物語。
アカデミー賞受賞の世界的クリエーター、故・石岡瑛子が衣装を手掛け、煌びやかな独自の美術世界を創出。劇場公開版ではカットされたシーンが新たに追加され、さらなる没入体験が味わえる。

11月21日(金)より新宿武蔵野館、ヒューマントラストシネマ有楽町、Bunkamuraル・シネマ渋谷宮下、グランドシネマサンシャイン池袋ほか全国にて公開。
『MEMORIES』4Kデジタルリマスター版
『AKIRA』大友克洋が放つ3つの夢幻世界
『AKIRA』の大友克洋が原作&製作総指揮&総監督を務めたオムニバス劇場アニメ『MEMORIES』が4Kリマスター化され、4K UHD Blu-rayにて12月24日(水)よりリリース。それに先駆け、全国にて2週間限定でリバイバル上映が決まっている。
森本晃司、岡村天斎、大友克洋がそれぞれ監督する3作品からなり、CGと革新的な画像処理技術が用いられた「彼女の想いで」、膨大な取材を基にリアルな描写に徹した「最臭兵器」、全編をワンシーン・ワンカットで処理した「大砲の街」がスクリーンでも堪能できる。

11月28日(金)より2週間限定上映。※劇場により、上映日・上映期間が異なる
『ダーク・スター』
カルトSFの傑作が公開50周年でリバイバル
『遊星からの物体X』『ハロウィン』などで知られる鬼才ジョン・カーペンター監督が無名時代にダン・オバノン(後の『エイリアン』脚本家)と手がけた、自主制作から生まれたSF映画。
当時、スタンリー・キューブリック監督『2001年宇宙の旅』のアンサームービーと評され、『エイリアン』の元となった同監督伝説のデビュー作。
人類が宇宙に進出した未来、任務を忘れ宇宙を漂い続けるダーク・スター号を舞台に、脳だけが生きている船長、ビーチボールのようなエイリアン、思考する爆弾など…個性的なアイデアが炸裂する。

12月12日(金)よりシネマート新宿ほか全国にて公開。
『ポンヌフの恋人』4Kリマスター版
スピルバーグも完成を願った恋愛映画
オムニバス映画『TOKYO!』や『アネット』『ホーリー・モーターズ』などを手がけた唯一無二の映画監督レオス・カラックス最大のヒット作。
天涯孤独で不眠症の大道芸人アレックス(ドニ・ラヴァン)と、失恋の痛手と眼の奇病による失明の危機で家出した画学生ミシェル(ジュリエット・ビノシュ)が、パリ最古の橋ポンヌフで出会う。

撮影の度重なる中断、その度に膨れ上がった製作費、フランス映画史上最大のオープンセット、そしてミニシアター「シネマライズ渋谷」で27週のロングランを記録する熱狂を巻き起こした1992年の日本公開。映画にまつわる全てのエピソードが伝説として語られる本作が、撮影監督キャロリーヌ・シャンプティエ監修のもとオリジナル35mmネガからデジタルレストアされた。
12月20日(土)よりユーロスペースほか全国にて公開。
『レクイエム・フォー・ドリーム 4Kリマスター』
「落ち込む映画」第1位に異論なし

『ザ・ホエール』『ブラック・スワン』『レスラー』がアカデミー賞にノミネートされた鬼才ダーレン・アロノフスキーの監督2作目。2009年に英「EMPIRE」が発表した「落ち込む映画」堂々の第1位、米「Taste of Cinema」が選ぶ「心が砕ける傑作ベスト20」第1位。
ジャレッド・レトがヘロインに溺れていく青年ハリーを演じ、その母親でダイエットピルにより廃人になっていくサラをエレン・バースティンが演じた。登場人物たちが薬物に依存し堕ちていく姿をトラウマ級の映像センスで映し出す。

2026年2月6日(金)より新宿武蔵野館ほか全国にて順次公開。



