城定秀夫監督作『雨のエトランゼ』が12月4日(金)より公開されることが決定。ティザービジュアル2種と特報映像が解禁された。
とある撮影スタジオ。撮影に立ち合っていたサブカル雑誌編集長の村木(東出昌大)は、今、週刊誌のスキャンダル記事で話題になっている「人気女優の仁科陽子がかつてヌードモデルだった」ことについて「村木さんが発掘した女でしょ」と聞かれるが、「覚えてないな」と答える。しかし村木は知っていた。その女優は、かつてモデル募集の広告を見て編集部に面接に訪れた、当時大学生だった土屋名美(井筒しま)だということを。
3年前、その面接で、お金が必要だからヌードモデルも辞さないと言う名美を、村木はいったん帰宅させようとする。しかし、ちょうど編集部にいたフリーのカメラマンの川島(毎熊克哉)が、村木が席を外した隙を見て、カメラテストと称して名美に襲いかかったのだった。怒った村木は川島を排除し、いっとき名美と心を通わせ合うが、川島から村木には妻がいることを教えられた名美は、村木の前から姿を消してしまう…。
本作は、2022年に逝去した鬼才・石井隆が遺した幻の脚本を、『悪い夏』『名無し』の城定秀夫監督が映画化したエロティック・ノワール。
石井隆は『死んでもいい』『ヌードの夜』『GONIN』から遺作となった『GONIN サーガ』まで19本の監督作品を遺した。本作の原作は、石井が劇画家として名を馳せていた70年代に発表した劇画を自ら脚本化したもので、1979年に生み落とされた物語だ。晩年、病床でも繰り返し手を入れていたという。
愛と孤独、エロスとタナトスが交錯する中、一人の女とそれに魅入られた2人の男の切愛を描く内容となっている。
主演の土屋名美を演じるのは、本作が初の主演作となる井筒しま。ハードなシーンにも果敢に挑みつつ、見る者を射抜くような大きな瞳を印象に残し、“運命の女”を体現する。
名美に翻弄される編集長・村木を演じるのは東出昌大。『GONIN サーガ』に主演し、石井隆の最後の現場を知る俳優の一人。石井隆が劇画、映画を通して描き続けてきた、男女のすれ違いの切愛の形である“名美と村木”を井筒と東出がどう作り上げたのかも注目だ。
同じく名美にどうしようもなく惹かれ、運命を狂わされていくカメラマン・川島を演じるのは毎熊克哉。城定秀夫監督作品の常連だ。
また本作にはインティマシーコーディネーターとして西山ももこ氏が参加している。
この度解禁されたのは2種のティザービジュアル。
ティザービジュアルAは、降りしきる雨の中でひとり踊る名美の姿を捉えたもの。刹那の美しさと危うさをまとった印象的なビジュアルで、石井隆が描き続けた「名美」という存在を蘇らせる。

ティザービジュアルBは、名美・村木・川島の3人が初めて出会う夜の編集部でのワンシーン。静かな空間に張り詰める緊張感が、この後に待ち受ける数奇な運命を予感させる。
コメント全文
井筒しま
「生きていて良かった」と毎日思っていました。
名美と向き合う時間はとにかく生きること自体に精一杯で、いつもギリギリを生きている感覚でした。
周りの人は当たり前のように真っ直ぐ歩いていくのに、自分はどれだけ必死になっても真っ直ぐには歩けない。
一歩ずつ、歪にしか進んでいけない。名美を生きるのはそんな感覚でした。
彼女を通して、私自身の中にある弱さや汚さにも沢山気付いてしまった。
けど、このために生きてきたんだと思うくらいずっと幸せでした。
チーム全員で作品に向かっていく力強さと誠実さの中でお芝居ができて、とにかく嬉しかった。
信頼できたから飛び込めた瞬間が何度もありました。
この作品と、関わるすべての方に心から感謝しています。
東出昌大
「石井隆作品の主人公『名美』はファムファタルであらねばならない」
私も参加したスタッフ会議で一同そう話し合い、主役オーディションを開催する運びとなった。
オーディションには素敵な女優さんが数多く参加して下さり、素敵なお芝居の瞬間も沢山あった。
だが、井筒しまは特質だった。彼女が演技を始めると、なんて事ない会議室が映画世界になった。
愛しい人を見つめる横顔、本音を隠したまま微笑んだ時間、相手の心を掻き乱す言葉、全てが切実で妖艶で、名美だった。
彼女を主演に迎えて突き進んだ今作、関係者一同が彼女で良かったと今も考えています。
令和の名美を、お楽しみになさって下さい。
毎熊克哉
石井隆さんの世界を城定秀夫監督が撮る。こんな面白い企画に声をかけていただき、喜んで参加させていただきました。これまで何度も映画をご一緒させていただいている城定監督のもとで、"石井さんならどう撮ったのかな?"と想像しながらシーンを重ねていくのも楽しかったです。雨や人間から発せられる湿度の高さと、どこか寂しげな空虚が映画的な魅力を放っている、そんな作品になっているかと思います。是非スクリーンでご覧ください。
城定秀夫監督
「今の時代に本作を作る理由は何か?」そんなことを聞かれました。恐らくはこれからも聞かれると思います。
でも、僕にとっては時代もなにも関係ありません。「石井隆の漫画と映画が昔から好きだから」理由はそれだけです。
渡された脚本は極めて石井隆的であると同時に自分には極めて難しいもので、「これ、石井監督が撮ったやつでみたかったな……」などとも思ったのですが、迷うことなく引き受けました。
断る道理がありません。石井隆ですから。
とはいえ、映画は愛だけでは作れません。解釈を問おうとしても作者は雲の上です。
苦難は多く、石井監督に叱られるようなことをしでかしてしまっているかもしれませんが、僕なりに精一杯、死力を尽くし戦ったつもりです。
みてください。
『雨のエトランゼ』は12月4日(金)よりテアトル新宿ほかにて公開。



