ニット帽を被り、田舎の小さな駅に降り立った麦子。麦子は亡くなった母が青春時代を過ごした田舎に納骨のために来たのだったが、かつての母はなんと町のアイドル!? 彩子にそっくりな麦子の登場に、色めき立つ町の人々。母の親友、母のストーカー…青春時代の続きと言わんばかりに、いい大人たちが麦子の廻りで騒動を巻き起こす。麦子にとっての母は、自分と兄を置いて家を出ていった最低の母親。父親の死後、都会で兄とふたりで暮らす麦子の元に、ある日突然戻ってきた。だが、町の人を通して、母親に触れることで、いままでとは違う母に対しての気持ちが生まれていく麦子。母が青春時代を過ごした田舎で、母の青春の続きに付き合わされる不思議な数日間を過ごす――。
吉田恵輔