植村孝作は妻と四人の娘を持ち、貧しいながらも楽しい日々を送っていた。孝作は勤続二十五周年を表彰されることになり、妻なみ子を相手に表彰式の準備に余念がない。表彰には金一封が出るので、なみ子はその金で次女の修学旅行費を出すつもりだった。しかし表彰式の帰り、夫婦二人で少しばかりの買い物をした後、残りの金をすべてすられてしまう。なみ子はそのことを家族には告げず、自分の服を売って金を工面した。さらに住み慣れた家からも立ち退きを迫られるが、娘の朋子が描いた絵がきっかけで、やがて事態は好転していく。
中村登