国は⾼齢化問題に対処するため、75歳以上の⾼齢者に⾃ら死を選ぶ権利を保障し⽀援する「PLAN75」という制度を施⾏。⾼齢者の間では、⾃分達が早く死ぬことで国に貢献するべきという⾵潮がにわかに広がりつつあった。夫と死別後、ホテルの客室清掃の仕事をしながら、角谷ミチは⻑年⼀⼈で暮らしてきた。市役所の「PLAN75」申請窓⼝で働いている岡部ヒロムや申請者のサポート業務を担当する成宮瑶子は、国が作った制度に対して何の疑問も抱かずに、業務に邁進する日々を送っていた。そんなある日、ミチの職場で高齢のスタッフが勤務中に倒れたことを理由に、ミチは退職を余儀なくされる。職を失い、住む場所さえも失いそうになったミチは「PLAN75」の申請手続きを行うか考え始め――。
早川千絵
早川千絵