静岡の商店街で暮らす高橋良子、48歳。乾物屋の女将として家族を支え、穏やかな日々を積み重ねてきた彼女の人生は、盆踊りの会場で響かせた“たった一曲”の歌声によって大きく動き始める。観客の心を揺らし、涙を誘った奇跡の歌声は、名プロデューサー・ポール北沢の目に留まり、良子は思いもよらぬ言葉を受け取る──「あなたなら武道館を目指せます」。突然差し出された“夢の坂道”。家族の幸せを守りたい気持ちと、胸の奥で長年眠っていた「歌いたい」という想い。その二つの間で揺れながら、良子は一歩ずつ、確かに前へ進んでいく。しかし、夢が大きくなるほど、夫婦の距離は少しずつ変化し、家族の形も揺らぎ始める。愛、葛藤、嫉妬、友情、そして人生の選択──。良子が最後に選ぶ道とは何なのか。
ジャッキー・ウー