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ファッション小噺vol.55 『さらば、ベルリン』で“動画ぬりえ”

今年の秋冬ファッションの流行は、ネオクラシック。かつて流行した様々な年代のテイストをミックスし、現代流にアレンジしているのが、“ネオ”と呼ばれる所以なのでしょう。

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『さらば、ベルリン』 -(c)2006 Warner Bros. Entertainment Inc.
『さらば、ベルリン』 -(c)2006 Warner Bros. Entertainment Inc.
  • 『さらば、ベルリン』 -(c)2006 Warner Bros. Entertainment Inc.
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  • 『さらば、ベルリン』 -(c)2006 Warner Bros. Entertainment Inc.
今年の秋冬ファッションの流行は、ネオクラシック。かつて流行した様々な年代のテイストをミックスし、現代流にアレンジしているのが、“ネオ”と呼ばれる所以なのでしょう。

ただ、かつて一世を風靡したスタイルの多くが“古典”と呼ばれるようになった今も、女らしさでは他の追随を許さないクラシカルファッションとしてすぐに思い浮かぶのが、40年代、50年代の映画で見られる強くてかっこいい女たちのスタイル。媚がないのにエレガント。体の線を強調しながらもかっちりと正統派なテーラードのスーツに、帽子、手袋、ハイヒールを合わせていたりして、無駄なお肉がついているような体型では、全く着こなせそうにないファッションばかり。

ハリウッド広しといえども、そんなスタイルがしっくりくる女性といえば、ケイト・ブランシェットぐらいではないでしょうか。シャープで涼しげな顔立ち。グラマラスな雰囲気。贅肉とは無縁のボディ。そして、『アビエイター』で、往年の名女優、キャサリン・ヘプバーンを演じ、アカデミー賞助演女優賞に輝いたことが何よりもその証拠です。

そんな彼女が、再びクラシックの世界へ。スティーヴン・ソダーバーグ監督、ジョージ・クルーニー共演の『さらば、ベルリン』です。これは、ハリウッド黄金期である1940年代に作られた名作へのオマージュ満載の全編モノクロ作品。撮影方法から演技に至るまで、当時のスタイルをそのまま再現して作り上げたという映画小僧ソダーバーグ渾身の一作です。物語は、第二次世界大戦直後のベルリンを舞台に展開するので、やや政治的であるものの、美男美女のラブ・ロマンスも当然ながら用意されているという、黄金期の社会派娯楽作を思わせる出来栄えです。

クラシック映画好きならば、随所で「このシーン、あの作品のこのシーンに似てる」と宝探しゲーム的に楽しめるはず。クラシックに詳しくない方は、ジョージの色気に酔っていただくか、ケイトのクラシカルファッションを楽しむか。髪型をはじめ、彼女を飾るスタイルは、実に女らしくてグラマラス。モノクロ映像ならではのツヤとテリもいい具合に色気を増幅させています。

モノクロなので、色味については想像するしかありませんが、一か所、ドレスの色について言及している場面があるので、それを聴きながら「どんな色かな」、「あんな色かな」と想像するのも楽しいもの。イマジネーションを存分に駆使して、ひとり心の中で“動画ぬりえ”を楽しむのもいいですよ。

《牧口じゅん》

映画、だけではありません。 牧口じゅん

通信社勤務、映画祭事務局スタッフを経て、映画ライターに。映画専門サイト、女性誌男性誌などでコラムやインタビュー記事を執筆。旅、グルメなどカルチャー系取材多数。ドッグマッサージセラピストの資格を持ち、動物をこよなく愛する。趣味はクラシック音楽鑑賞。

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