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酒飲んで撮影? 『GOEMON』江口洋介が体現した野生的&計算外のヒーロー像

打ち上げ花火舞う夜空を背景に、数万人の群集の喝采を浴びながら「絶景! 絶景!」と呵呵大笑、小判の雨を降らせる。そんな姿がこれほどまでに似合う役者がほかにいるだろうか。江口洋介、41歳。「ひとつ屋根の下」、「救命病棟24時」を始め数々のドラマや映画に主演し、多くのハマり役を演じてきた彼が、最新作で扮したのは、混沌の世に忽然と現れ、カリスマ・ロックスターの如く民衆のヒーローとなった大泥棒・石川五右衛門。紀里谷和明監督の下で作り上げた、全く新しい“GOEMON”とは——? 劇中の五右衛門さながら、豪快な笑顔を浮かべながら、作品に込めた思いを語ってくれた。

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『GOEMON』 江口洋介 photo:HIRAROCK
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打ち上げ花火舞う夜空を背景に、数万人の群集の喝采を浴びながら「絶景! 絶景!」と呵呵大笑、小判の雨を降らせる。そんな姿がこれほどまでに似合う役者がほかにいるだろうか。江口洋介、41歳。「ひとつ屋根の下」、「救命病棟24時」を始め数々のドラマや映画に主演し、多くのハマり役を演じてきた彼が、最新作で扮したのは、混沌の世に忽然と現れ、カリスマ・ロックスターの如く民衆のヒーローとなった大泥棒・石川五右衛門。紀里谷和明監督の下で作り上げた、全く新しい“GOEMON”とは——? 劇中の五右衛門さながら、豪快な笑顔を浮かべながら、作品に込めた思いを語ってくれた。

「自由にふるまったからこそ、宿命を背負わされた男」

「正直、最初に台本がない状態で石川五右衛門の話と聞いたとき、これはかなりキャラクターが立ってないと厳しいぞって思いましたね」と記憶をたどりながら、オファーを受けたときの心境を明かす。
「五右衛門と言ったら歌舞伎の『…浜の真砂は尽きるとも 世に盗人の種は尽きまじ』(辞世の句)は知ってるけど、釜茹でにされて死んだ男ってどんな奴なんだろうって感じで、これまでに五右衛門が描かれた映画やドラマを観たんです。でも、衣裳合わせの段階で、ガンダムみたいな鎧が出てきて(笑)、『これはちょっと想像していたのと違うぞ』と。時代背景も中世ヨーロッパなのか、それとも近未来なのか? という感じで…。監督が持っているイメージに、どういう形でドラマを入れていくか、というのが俺たちの役目なわけで、そこから監督とディスカッションを重ねてキャラクターを作っていきましたね」。

実際に、紀里谷監督とはどのような話し合いを行い、“五右衛門像”を確立していったのだろうか?
「『ヒーローとは何なのか?』から入って『こんな奴がいてくれたらいいよね』とか、それこそ子供の頃に見た『ルパン三世』をイメージしたり。例えば、才蔵(大沢たかお)は守るべき妻子がいて、自分は出世してというイメージを持って生きてるけど、五右衛門にはそういうものが全くない。作品を貫いているテーマとして“自由と責任”というものがあるけど、五右衛門は自由にふるまったからこそ、自らがやらねばならないという宿命を背負わされたのかな、と。そこからある種、ワイルドで破天荒なキャラクターが出来上がってきましたね」。

五右衛門を演じる上で、その五右衛門(※設定上は彼の子孫)を仲間に持つ“ルパン三世”をヒントにしたというのは何ともおもしろいが、とは言え、撮影に入ってからも役柄、そして作品の全体像を掴むのは容易ではなかった。その要因のひとつが、背景を合成するためのグリーンバックでの撮影だった。
「それが一番難しかったです。何万人もの群衆に向けて小判をばら撒くシーンでも、実際に目の前には誰もいないんですから(笑)。テンション上げるために“遊び”も入れましたし、酒飲んで撮影したシーンもありましたね。カメラのアングルは全て決まっていたので、逆にその緻密さに対していかに野生的で計算外のことが出来るかだな、と。それが紀里谷監督が俺たちに望んでいたことでもあると思うんです。“五右衛門がどういう男か?”という問いに、監督の言葉で100%説明しきれない部分があって、それを現場で構築していこうと。こうでなくちゃいけないという発想は取り払って、作り上げていきましたね」。

ぶつかり合うこと、戦うことの大切さ

CGの申し子のように評される紀里谷監督だが、この作品では映像美と並んで、個性豊かな登場人物たちによる濃厚なドラマの部分が強く印象に残る。そう伝えると江口さんは監督、キャスト全員の思いを代弁するかのようにこう語った。
「『CGがすごいね』と言われたら、それは映画としてアウトだろう、という思いはみんな持っていましたね。監督はそこで高い評価を受けてきた人間だからこそ、ドラマをしっかりと作りたいと考えていたと思います。だからこそ、現場でひとりひとりに納得いくまで熱くぶつかってきてくれたし、キャスト同士でも話はしましたね。大沢くんとはクランクインの前から殺陣の練習を積んできたし、グリーンバックで2人でシーンを作る上で話し合った部分もあります」。

最後に「江口さん自身がこの映画を通して伝えたいことは?」と聞いてみた。
「ここに出てくる誰もが、己の道を走りながら、他者とぶつかり合って生きている。実は、そうやってぶつかり合い、戦うってことはメチャクチャ大事なことなんじゃないかと思うんです。それは、あの時代だけでなく、いまの時代にも言えることで、もがきながら、でも戦うことなしには何も掴めないんじゃないか、と。そこから生まれてくる熱い、ものすごいエネルギーを感じてもらいたいですね」。そう語る江口さんの瞳は、まさに戦い続ける男のものらしい、鈍い光を宿していた。

《photo:Hirarock》

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