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【MOVIEブログ】26日/カンヌ最終日

26日、日曜日。カンヌ、本当にあっという間に最終日だ! 今朝も晴れ、しかし気温低し。今年のカンヌは、前半が雨続きで後半が低気温、結局地中海の太陽をエンジョイすることがあまりなかったという点で、記憶に残ることになりそう。

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26日、日曜日。カンヌ、本当にあっという間に最終日だ! 今朝も晴れ、しかし気温低し。今年のカンヌは、前半が雨続きで後半が低気温、結局地中海の太陽をエンジョイすることがあまりなかったという点で、記憶に残ることになりそう。

さて、カンヌは最終日にコンペ作品の再上映を行うので、会期中に逃した作品をここでキャッチアップすることができて、とても貴重です。ただ、この最終日の上映スケジュールが2日前まで発表されないので、会期中のスケジュールと合わせて事前に計算することが出来ないのが、難しいところ。

というわけで、本日は9時からスタートして、コーエン兄弟の新作『Inside Llewyn Davis』(原題)へ。公式上映時から高評価が伝わってきた作品で、なるほど素晴らしい。61年のニューヨークを舞台にした、売れないフォークシンガーの物語。時代はまさに「ボブ・ディラン前夜」で、フォークのブームが到来する直前のニューヨークの音楽シーンの雰囲気を垣間見ることが出来て、素晴らしい。

本当に、61年のニューヨークに来たような美術設計にうっとりしつつ、主人公のキャラクター造形も絶妙で、あっという間に感情移入してしまう。コーエン兄弟、会心の出来栄え。そして、猫が、ああネコが!

11時に終わり、いったんホテルに戻ってパソコン仕事。帰国後に待っている日々を考えると、恐ろしい…。悪い報せのメールが入っていたこともあり、いささかブルーになりつつ、次の上映へ。

13時15分の回の1時間前には入場列に並び、観たのはスティーヴン・ソダーバーグ監督の新作『Behind the Candelabra』(原題)。アメリカで大衆的人気を誇った(実在した)ピアニストであるリベラーチェの姿を、彼と数年間愛人関係にあった男性の視点から描く作品。愛人の男性をマット・デイモン、リベラーチェをマイケル・ダグラスがそれぞれ怪演しており、特にマイケル・ダグラスの演技にはカンヌもびっくり。もちろん、僕もびっくり。

今年のカンヌから受けた印象のひとつに、同性愛を要素のひとつに持った優れた作品が目立ったことで、アラン・ギロディーの『Stranger by the lake』、ケシシュの『La vie d’Adele』、そしてこのソダーバーグの新作が、いずれも激しい同性愛の物語でありつつ、ジェンダー映画の枠を越えて純粋な愛の物語に踏み込めていることに、なんだか爽やかとさえ呼びたくなるような感動を覚えます。

続いて16時15分から、ロマン・ポランスキー監督新作の『Venus in Fur』(英題)。日本でも上演された「ヴィーナス・イン・ファー」というブロードウェイ芝居を、ポランスキーが映画化したもの、ですね。完全な二人芝居で、演じるのはエマニュエル・セニエと、マチュー・アマルリック。芸達者のふたりの芝居がとことん堪能できて、ポランスキーの円熟技、ですな。

それにしても、1日にコーエン兄弟とソダーバーグとポランスキーの新作がまとめて観られてしまうというのは、うんざりするほど贅沢なことですね。まさに、カンヌならでは。

さて、これにて、今年のカンヌの鑑賞は終了! 19時にクロージング受賞式を中継する会場に入り、ドキドキしながらセレモニーを鑑賞。僕の予想としては、昨日も書いたとおり、ケシシュが断トツで、今日見た結果、コーエン兄弟が続くだろうな、と確信。

果たして、概ね予想どおりの結果となりましたね。是枝監督も受賞して、よかった。写真は、受賞式の中継会場のスクリーンに映し出された、ケシシュとふたりの女優の喜びの姿!

ケシシュ、コーエン、ジャ・ジャンクー、コレエダ、ファルハディなど、下馬評に上がっていた作品が全て受賞したことになり、昨年『ホーリー・モーターズ』に賞をあげなかった汚名を、今年のカンヌは晴らした形になりました(まあ、審査員が違うので、こちらの勝手な解説ですが)。

唯一のサプライズは、アマット・エスカランテ監督(『Heli』)の監督賞、かな。これを予想出来た人はなかなかいなかったはず。今年のコンペでは異色な味を出していたし、僕も決して嫌いではない作品だったので、とても納得。あと個人的に残念だったのは、ヴァルメルダム監督の『Borgman』に何かあげたかった…。

20時半に同僚たちと合流し、カンヌの旧市街で打ち上げ食事。各部門の全ての作品の感想をおさらいし、受賞結果に対する思いを語り、そしてそれぞれのベスト5を発表しあったりして、総括話は全く尽きない。

宿に戻り、0時。バタンと寝たいところなのだけれど、某マスコミ媒体からカンヌ総括記事を依頼されているので、その下書きと、このブログを並行して書いてみる。総括記事はまだまとまらないのだけれど、思いつく内容を箇条書きにしてみると、下記のとおり:

・去年に続いて今年も天気は悪いけど、作品のレベルはなかなか粒ぞろい。
・コンペは粒ぞろいであった反面、傑出した作品がなかったところに、ケシシュが一躍登場して、かっさらった。
・セクシャリティーと、暴力描写、が目立った。
・全部門を通じ、久しぶりにアジア勢が存在感を発揮した(インドとフィリピンが充実、日本とシンガポールと韓国が受賞)。
・アメリカ映画が多かった。
・ドキュメンタリーに優れた作品が目立った(リティ・パニュ、ホドロフスキー、オフュルス等)。
・来場者数が増えた印象があり、並んでも入れない上映が続出した。
・今年も日本のバイヤーは活発で、コンペのめぼしい作品はほとんど日本に売れている。

というわけで、今年のカンヌも終了! なかなか充実したのではないかな。おかげさまで体調は万全のまま、今年も乗り切れたようです。明日、月曜日の朝の便に乗り、日本時間の火曜の朝に帰国予定です。おつかれさまでした!
《text:Yoshihiko Yatabe》

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