池井戸作品がテレビ朝日でドラマ化されるのは今回が初である上、池井戸作品の中でこれまで、中小企業や銀行などを舞台に、男たちの戦いを描く硬派なものが多かったが、累計33万部発行の人気作『民王』は、それらとは一線を画するファンタジックコメディー作品となっている。
民王（たみおう）とは、すなわち「民（たみ）」の「王（おう）」＝内閣総理大臣。この作品で遠藤は、内閣総理大臣の武藤泰山を、菅田はその息子の大学生・翔を演じ、この親子が、ある日突然、互いの“心”と“体”が入れ替わってしまうという物語だ。
原因も解決方法もわからぬまま、止む無く泰山の代わりに国会に出ることになってしまう翔。たいした勉強もせずに日常を送っていたため、審議や質疑応答の内容がまったく理解できず、すっとぼけた答弁や「未曾有」を「ミゾーユー」、「直面」を「ジカメン」といったような漢字の読み間違いも日常茶飯事。しかし、大人の世界に染まっていない翔だからこその真っ直ぐな意見や純粋な思いは、いつしか国会を、そして国民をも動かすことになっていく。
一方、遠藤が演じる現職総理大臣という中身のまま、大学生の生活を送ることになった泰山は翔の代わりに就職活動をする羽目になる。しかし、総理大臣たる者の頭脳がゆえ、圧倒的な知識と弁論力で偉そうな面接官を論破。舌戦には勝利するものの、面接自体は一向に成功しない……。しかもそこに翔と交流のあったひとクセもふたクセもある女子たちが登場し、さらに戸惑うこととなる。
今回、遠藤とW主演する菅田だが、これが民放連ドラ初主演。以前、嵐の大野智が主演を務めた『死神くん』（テレビ朝日系）での好演も記憶に新しいが、昨年公開の映画『そこのみにて光輝く』では、数々の映画賞の助演男優賞を受賞するなど、若手実力派として最注目株の俳優だ。今作では、ただの大学生ではなく、美容や料理など女子が好みそうな事に造詣が深い、最近流行りの“女子力男子”で、その“女子力男子”の翔が入り込んでしまった泰山の言動も見どころのひとつ。
そして、遠藤と言えば、鋭い目つきといかつい風貌で“コワモテ俳優”として名高いが、米倉涼子が主演を務めた『ドクターＸ～外科医・大門未知子～』シリーズ（テレビ朝日系）などでは、どこかコミカルな中に中間管理職の悲哀を感じさせる絶妙な表情と演技で視聴者の熱い共感を呼んだ。そんな遠藤が、今作では、翔の心が入り込んでしまい、見た目は50代だが、中身は大学生という現職内閣総理大臣役。国会という場でちょっぴりオドオドしながらおバカな発言を繰り返す遠藤の“新たな姿”が期待できそうだ。
そんな入れ替わり親子を取り巻くふたりヒロインに、本仮屋ユイカと知英が出演する。「ワクワクする高揚感と爽快感を、毎週楽しみに観ていただける作品になると思います！」と話す本仮屋は、入れ替わった武藤親子による複雑な三角関係に巻き込まれる若き女社長・南真衣役。翔は、その真衣にひそかに想いを寄せているが、当の真衣は“女子力男子”な翔には興味を示していない様子。しかし泰山と入れ替わった後、妙に堂々と自信に溢れた姿になった翔に次第に心惹かれていくことに……。泰山、翔、真衣、というややこしい三角関係が完成し、複雑な恋愛事情の渦中に置かれることになっていく。
知英は、今回がテレビ朝日ドラマ初出演で、真衣の後輩として登場する謎の美人女子大生・村野エリカを演じる。「初の日本人の役なので自分でセリフやお芝居を一生懸命研究したいと思います。沢山の日本の女優さんがいる中で、この役を私に下さったスタッフの方々のためにも頑張ります」と意気込む彼女が演じるエリカは、なにかと翔に挑発的な言葉をかけるだけでなく、実は彼女の正体が物語の重要な鍵を握っている!? 物語中盤、彼女に起きたある異変が、武藤親子の入れ替わり事件をさらに混乱させることになるという。他にも、個性豊かな共演者たちも続々決定。超真面目で現実的な公設秘書に高橋一生、涙もろい官房長官に金田明夫、総理を含め政治家をテレビで酷評する政治評論家に六角精児、敵対政党・憲民党の党首に草刈正雄など、コメディセンス抜群の演技派キャストたちの出演も決定している。
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