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【インタビュー】マッツ・ミケルセン、“北欧の至宝”が歩むこれからの俳優人生とは

デンマークのコペンハーゲンに生まれ、マーベルコミックとブルース・リーをこよなく愛する日々を送っていたマッツ・ミケルセン少年。このときの彼はもちろん、大人になった自分が『ドクター・ストレンジ』という名のマーベル世界で、

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マッツ・ミケルセン/『ドクター・ストレンジ』インタビュー
マッツ・ミケルセン/『ドクター・ストレンジ』インタビュー
  • マッツ・ミケルセン/『ドクター・ストレンジ』インタビュー
  • マッツ・ミケルセン/『ドクター・ストレンジ』(C)2016 MARVEL
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デンマークのコペンハーゲンに生まれ、マーベルコミックとブルース・リーをこよなく愛する日々を送っていたマッツ・ミケルセン少年。このときの彼はもちろん、大人になった自分が『ドクター・ストレンジ』という名のマーベル世界で、ブルース・リーばりのアクションを披露することになるなど夢にも思っていなかった。

「スパイダーマンが好きだったんだ。筋肉もなく、けれども口だけは一人前のピーター・パーカーに10歳の僕は共感してしまった。しかも、そんな彼に超人的な力が突然備わる。それって、どんな子どもも夢見るシチュエーションだろう? あとはハルクも好きだったな。マーベルコミックやブルース・リー好きの友だちは周りにもたくさんいたけど、僕はちょっと、それらに時間を費やし過ぎていた子どもだったかもしれない(笑)」。

『ドクター・ストレンジ』で演じたカエシリウスはマッツ少年が愛したヒーローではなく、それどころかヒーローのドクター・ストレンジと相対する存在。だが、信念を持って行動し、戦いを繰り広げる闇の魔術師カエシリウスを「悪」と決めつけることはできない。

「僕は常々、演じる人物に“生”を吹き込みたいと思っている。それがたとえ悪役であってもね。高笑いをしながら子どもを喰らう悪役はもう古い。昨今の悪役はもっと興味深いし、大抵がヒーローの写し鏡になる存在でもあるんだ。だからこそヒーローは葛藤するし、敵の持つエネルギーから自分を引き離そうとする。ということは、悪役も説得力を持っていなくてはならない。それがいまの悪役、いまの世界なのだと思う」。

マッツ・ミケルセン/『ドクター・ストレンジ』インタビュー
まさに「写し鏡」であることを物語るようなアクションシーンが、中盤に訪れる。

「アクションはこれまでにも経験してきたけど、カンフーは初めて。もちろん夢の時間だったし、『体が動くうちにやっておかないと!』と思った(笑)。大変だったけど、ベネディクト(・カンバーバッチ)や素晴らしいスタントチームと共に、ネバー・ギブアップの精神でいいシーンにできたんじゃないかと思っているんだ」。

「大変」と言いつつどこか余裕を感じられるのは、子ども時代から準備は万全だったからか。しかしながら、俳優の道を歩み始めた頃もまだ、後の自分がマーベル映画や、はたまた『スター・ウォーズ』シリーズに出演することなど予期していなかったという。

「デンマーク以外の国で仕事をする自分すら想像していなかったしね。いまだにシュールな感じがするよ。でも、デンマークの一俳優である僕がハリウッド大作に参加し、興味深いキャラクターを演じさせてもらえるなんて本当に光栄だと思っている。自分の仕事ぶりが誰かの目に留まり、評価されたということでもあるから」。

マッツ・ミケルセン/『ドクター・ストレンジ』インタビュー
母国デンマークをはじめとするヨーロッパの映画からアメリカのTVドラマ、ハリウッド大作まで。いまや世界各国を飛び回り、作品に飛び込むのがマッツの俳優人生だ。

「作品選びにおいて最も大切にしているのは、監督。その次に大事なのは、脚本。確固たるビジョンがあり、そのビジョンを不眠不休で形にするエネルギーを持っている監督かどうか。そんな監督であれば、たとえ理解の範疇を超えた企画であったとしても、一緒にやりたいと思えるものだよ。もちろん、脚本が素晴らしいに越したことはないけどね」。

一緒に仕事をしたい監督は、「たくさん。本当にたくさん」。苦悩の表情を浮かべてみせる。

「すでに亡くなった人たちも含めてね。その中には、日本を代表する名匠(黒澤明)もいる。でも、どう頑張っても会えないから、彼らの作品を観て自分を慰めるよ(笑)。“仕事をしたい監督のリスト”を作らないといけないのであれば、僕の長年のヒーローであり続けているマーティン・スコセッシがトップに来るかな。えっ? 彼も日本に来ていたの? ニアミスじゃないか…。でも、それが人生ってものだよね」。

マッツ・ミケルセン/『ドクター・ストレンジ』インタビュー
昨年はカンヌ映画祭で審査員も務めたマッツだが、「実は俳優になってからの方が映画を観なくなった。理由を何度も考えたけど、はっきりした答えは出ない」とのこと。しかし、“仕事をしたい監督のリスト”が長いものになるほど、映画愛は深い。

「映画に関わる者として、いろいろなことに気づいてしまうのが一因かもしれない。リラックスして観られないんだ。でも、そうだね…、僕にとって大きな意味を持つ作品を1つ挙げるとしたら、(クシシュトフ・)キェシロフスキの『デカローグ』かな。いまも繰り返し観ているよ。出演者はあまり知られていない人たちばかりだけど、だからこそクリーンで美しい傑作だと思う」。

さて、2010年にはデンマーク女王からナイト(騎士)の称号を授与され、“北欧の至宝”とも称されるマッツだが、俳優の兄ラースもナイトの称号保持者。つまり、ミケルセン家には“至宝”が2人もいることになる。こう指摘してみると、「あと3人いるよ。妻と子どもたち2人も、僕にとっては至宝だから」。何て素敵な答え。

マッツ・ミケルセン/『ドクター・ストレンジ』インタビュー
「“至宝”なんて言われると、暗殺されるんじゃないかと恐怖を感じるよ(笑)。デンマークにはまだ国王という存在もいることだし、争い事には巻き込まれないようにしないと。でも、皆さんがそう言ってくださるということは、僕たちの作った作品や演じた役を気に入ってくださっているということだと思う。だから、もちろん嬉しい。僕らが映画を作るのは自分たちのためではなく、皆さんに観ていただきたいから。皆さんが『よかった。好きだ』と言ってくださる以上に、僕らが求められることはないしね」。
《text:Hikaru Watanabe/photo:You Ishii》

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