挑戦を続ける神木隆之介、ひたむきに熱く“働く男”がハマる年ごろに

初めての舞台からMVの監督・プロデュース、初めての池井戸作品主演など、成熟期の登り口に立つ神木隆之介の新しい挑戦の数々に迫った。

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連続ドラマW「鉄の骨」
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  • 『サマーウォーズ』 -(C) 2009 SUMMER WARS FILM PARTNERS
  • (C)2019「天気の子」製作委員会(C)2016「君の名は。」製作委員会
  • 佐藤健(緋村剣心)VS神木隆之介(瀬田宗次郎)/(C) 和月伸宏/集英社 (C) 2014「るろうに剣心 京都大火/伝説の最期」製作委員会
  • 神木隆之介『るろうに剣心 京都大火編/伝説の最期編』/Photo:Nahoko Suzuki
  • 福士蒼汰&山崎紘菜&優希美青&神木隆之介/『神さまの言うとおり』初日舞台挨拶
  • 脳内ポイズンベリー』-(C) 水城せとな/集英社 (C)2015フジテレビジョン 集英社 東宝
2歳でCMデビュー後、天才子役として脚光を浴び、近年では学生役を“卒業”しつつ刑事や弁護士、落語家など、様々な役柄に挑み続けている神木隆之介。デビュー25周年、初めての舞台からMVの監督・プロデュース、CMでのお茶目っぷりまで、現在の神木さんは成熟期の登り口に立っているところだ。

シリアスな演技はもちろん、ちょっとチャラめのコミカルなキャクラーもお手のもの。愛らしい子役時代から見事な成長を遂げ、演技力の高さで一目置かれる、誰もが認める若手実力派俳優の筆頭株である神木さん。その新しい挑戦の数々に迫った。


三池崇史監督や堤幸彦監督、宮藤官九郎の作品で注目を集める


神木隆之介『TOO YOUNG TO DIE!若くして死ぬ』初日舞台挨拶『TOO YOUNG TO DIE!若くして死ぬ』初日舞台挨拶より
1993年5月19日生まれ、埼玉県出身。大病を患ったことがきっかけで子役プロダクションに入り、おもちゃのCM出演でデビュー。その後「グッドニュース」や大河ドラマ「義経」、初主演ドラマ「探偵学園Q」など数々の作品に出演し、三池崇史監督の『妖怪大戦争』(2005)では主演を務め、第29回日本アカデミー賞・新人俳優賞を12歳で受賞する。

また、声の仕事にも定評があり、日本映画歴代興行収入第1位の宮崎駿監督『千と千尋の神隠し』に第2位の新海誠監督『君の名は。』、第3位の宮崎監督『ハウルの動く城』ほか、『サマーウォーズ』『借りぐらしのアリエッティ』『メアリと魔女の花』、さらに新海監督『天気の子』にも『君の名は。』と同じ立花瀧役で出演したことも話題となった。

(C)2019「天気の子」製作委員会(C)2016「君の名は。」製作委員会(C)2019「天気の子」製作委員会(C)2016「君の名は。」製作委員会
堤幸彦監督の「SPEC」(2010~2013)ではTVドラマから人気キャラクターのひとりとしてシリーズを牽引。三池監督とは『神さまの言うとおり』(2014)や『ジョジョの奇妙な冒険 ダイヤモンドは砕けない 第一章』(2017)で再タッグ。宮藤官九郎脚本のドラマ「11人もいる!」ではひたむきにアルバイト三昧の日々を送る大家族の長男(高3)を好演したが、宮藤さんとは監督作『TOO YOUNG TO DIE! 若くして死ぬ』(2016)でも組み、NHK大河ドラマ「いだてん~東京オリムピック噺~」では噺家・古今亭志ん生(ビートたけし)の弟子・五りんという重要な役回りに起用された。

行定勲監督のオリジナル作品『遠くの空に消えた』(2007)にも出演し、“新型ウイルスの蔓延”により分断された世界を描いた『太陽』(2015)では入江悠監督に抜擢されるなど、日本を代表する映画監督とのタッグが絶えない。『るろうに剣心』シリーズの大友啓史監督『3月のライオン』(2017)の桐山零役は、原作ファンやアニメファンも納得のキャスティングで文句なしの代表作のひとつだ。

『3月のライオン』後編(C)2017 映画「3月のライオン」製作委員会
昨年は、三池監督や堤監督などに師事した木村ひさし監督の『屍人荘の殺人』で、“ワトソン”のごとく浜辺美波と中村倫也という名(迷?)探偵に振り回されるも、推理が当たらないミステリー小説オタクの大学生を演じた。

『屍人荘の殺人』(C)2019「屍人荘の殺人」製作委員会
岩井俊二監督『ラストレター』では、「大先輩のましゃ兄」こと福山雅治の高校時代を瑞々しく演じていたことも記憶に新しい。

『ラストレター』レッドカーペット
「現場でましゃ兄の画像を検索して、メイクでほくろを足したんです。それに髪型もいろいろ調べました」と役作りのため、徹底リサーチしたと完成披露試写会で明かしていた神木さん。福山さんが「とても似ているし、神木くんの演技のたまもの」と太鼓判を押すと「おこがましい! めっちゃうれしいです」と大喜びする姿が印象的だった。


「ハンサム」でMVを監督・プロデュース!
佐藤健のYouTubeにも登場


佐藤健(緋村剣心)VS神木隆之介(瀬田宗次郎)/(C) 和月伸宏/集英社 (C) 2014「るろうに剣心 京都大火/伝説の最期」製作委員会佐藤健(緋村剣心)VS神木隆之介(瀬田宗次郎)
「“実るほど頭を垂れる稲穂かな”でありたい」と神木家の家訓のひとつを口にしたのは、佐藤健主演『るろうに剣心 京都大火編/伝説の最期編』(2014)で原作人気の高い瀬田宗次郎を演じた際のシネマカフェのインタビュー。「経験を積んでなお謙虚な人に憧れますし、僕もそうありたい」と語っていた。まさしく神木さん自身を表現するかのような言葉だが、それを実証するように、神木さんは昨年あたりから次々新たな扉を開けている。

Bunkamura30周年記念 シアターコクーン・オンレパートリー2019+大人計画「キレイ-神様と待ち合わせした女-」「キレイ-神様と待ち合わせした女-」
松尾スズキ作・演出のミュージカル「キレイ―神様と待ち合わせした女―」で、意外にも舞台に初挑戦! 同作は、2000年に松尾さん初の本格的ミュージカルとしてBunkamuraシアターコクーンにて初演。戦争・民族紛争・少女監禁といった独特な設定やストーリーを盛り込んで好評を博し、その後、2005年に再演、2014年に再再演され、4度目となる今回はキャストを一新。神木さんは枯れ木に花を咲かせる特殊な能力を持つ少年ハリコナ役を演じた。主人公のケガレには松尾作品初出演の生田絵梨花、青年のハリコナ役は前回公演で少年ハリコナを演じた小池徹平ほか、「いだてん」で共演した阿部サダヲや荒川良々ら豪華出演者が集結。初舞台にして、語り継がれる傑作ミュージカルで存在感を見せた。

15th Anniversary SUPER HANDSOME LIVE「JUMP↑with YOU」Blu-rayリリース15th Anniversary SUPER HANDSOME LIVE「JUMP↑with YOU」より
また、「アミューズ」所属俳優による恒例のファン感謝祭、通称「ハンサム」15周年プロジェクトのアルバムに収録された楽曲「I Treasure You」MVで初監督&プロデュースを務めた。歌やダンスなどで構成され、ふだんの俳優の姿とはまた違う推しの姿を見ることができ、ファンから大きな注目を集める「ハンサム」。

アルバム「15th Anniversary SUPER HANDSOME COLLECTION『JUMP↑』」の中でも、大切な人への感謝を歌った新曲「I Treasure You」はファンへの感謝が込められ、小関裕太をはじめ、石賀和輝、太田将熙、甲斐翔真、金子大地、富田健太郎、正木郁、松岡広大、溝口琢矢、さらに渡邊圭祐、鈴木仁、三船海斗、細田佳央太、福崎那由他、田川隼嗣、藤原大祐といったフレッシュなメンバーが勢ぞろい!


「人に指示することに慣れてないので緊張します」と語る神木さんが、後輩たちのために手がけたMVは愛がたっぷり詰まった壮観なものに仕上がった。その堂々とした立ち振る舞いは、もしかしたらそれほど遠くない未来の“映画監督・神木隆之介”の可能性を想像させたりも。

さらに、おうち時間が増えるいま、チャンネル登録者数171万人超えでひと際話題を呼んでいる佐藤健のYouTubeチャンネルに、“自身の持ち込み企画”で見参 「TAKERU NO PLAN DRIVE」と題された本企画は多忙な佐藤さんを癒やすためのドライブ旅。とはいえ、配達系の軽ワゴンで現れた神木さん…。本来、インドア派の神木さんが桜田通と渡邊さんを引き連れ、同じくインドア派の佐藤さんを癒やすことができるのか、注目を集めているところだ。



大人期の原点『桐島、部活やめるってよ』(2012)


『桐島、部活やめるってよ』 -(C)2012「桐島」映画部 (C)朝井リョウ/集英社
少々ヘタレで不器用だが、まっすぐな映画愛を貫く映画部・前田涼也を演じた神木さん。8ミリカメラを回す姿や、独特の走り方、auの“高杉くん”にも通じる運動音痴ぶりなどは、「クラスメイトにいそう!」と思わせる身体表現の豊かさをも証明した。

『紙の月』『羊の木』の吉田大八監督のもと、600人以上が参加するワークショップ形式のオーディションから選ばれた橋本愛や仲野太賀(当時は太賀)、松岡茉優、さらにパリコレモデルだった東出昌大らが出演。神木さん自身もリアルに高校3年生で進路について思いをめぐらせる中、1か月以上に及ぶ高知県での合宿生活を通じて生み出された青春群像劇は特別な作品といえるはずだ。


二階堂ふみと初共演「連続ドラマW 東野圭吾『変身』」(2014)


神木隆之介&二階堂ふみ/WOWOW連続ドラマW「変身」
東野圭吾のベストセラー医療サスペンスを実写化した本作で演じたのは、画家を夢見ながら工場のラインでひたむきに働いていた主人公・成瀬純一。彼はクリスマスイブの夜、結婚指輪を買うために訪れた宝石店で事件に巻き込まれ、世界初となる「生体間脳移植」により一命を取り留める。だが、次第にまるで別人のように、聴覚の過敏さや衝動的な攻撃性を見せるように…。混乱する純一を支える恋人・恵役には二階堂ふみ。最先端医療や社会問題のタブーに斬り込んできたWOWOW連続ドラマWらしい秀逸な1本で、神木さん、二階堂さんの演技力に改めて感嘆。『Little DJ ~小さな恋の物語~』(2007)から神木さんを知る永井琴監督が、2人のラブストーリーとしても描いている点も見逃せない。


傑作舞台の映画化『太陽』(2015)


神木隆之介×門脇麦/『太陽』 -(C)2015「太陽」製作委員会
ウイルスの蔓延から生き残った人類が、太陽の出ていない夜にしか生きられない「ノクス」と太陽の下で慎ましく暮らす「キュリオ」という対照的なふたつの社会で生きる近未来。とても絵空事とは思えない分断されたムラ社会で、神木さんは抽選で選ばれ、ノクスになることを夢見ている主人公・鉄彦を熱演、傑作舞台を映像化した今作でも“渇望”を身体全体で表現する。

門脇麦とのシネマカフェでのインタビューでは、「鉄彦自身、映画の中でまっすぐで純粋な存在であり、大人たちのいざこざや事情を分かっていないまま、必死でもがいてる」とキャラクターを自己分析、その上で「あえて、分からないままに、感じるままに表現しました。ロールプレイングゲームで、何の装備もせずに戦いの旅に出たような気分」と語り、「完成した映画を観て、それでよかったと思いました」とふり返っている。


弁護士として学校に帰還「やけに弁の立つ弁護士が学校でほえる」(2018)


やけに弁は立つが、まだ“法廷デビュー”はしていない新米弁護士・田口章太郎が、モンスターペアレントやパワハラ、モラハラ、いじめ、体罰など、学校で起こる出来事に対処する“スクールロイヤー(学校弁護士)”に。これまで数々の学園ドラマに出演してきた神木さんだが、スーツに弁護士バッジを着けた姿で校内にいる姿は実に新鮮。しかも、ときに青くさいほどの正論で崩壊寸前の学校にひそむ闇に立ち向かい、成長していく。膨大なセリフ量を見事にこなす神木さんとよき“コンビ”となる教務主任・三浦を演じるのは、「11人もいる!」で父親役だった田辺誠一。


福山雅治と共演!日曜劇場「集団左遷!!」(2019)


『ラストレター』で二人一役を演じた福山さんと神木さんが、上司と部下として共演。元・都市銀行員の江波戸哲夫による「新装版 銀行支店長」「集団左遷」を原作にドラマ化。“廃店”候補の蒲田支店に赴任した片岡洋(福山さん)のもとで働くリストラ候補の“ダメ社員集団”のひとりで、ある事件がきっかけでドロップアウトした法人営業一課・滝川晃司を快演。ブルー系を中心にスーツを着こなす姿が眩しい。

最初こそ、冷めた目で片岡を見ていた滝川だったが、部下に「何もするな」「頑張るな」とは決して言えない熱すぎる支店長に心動かされ、蒲田支店を盛り上げていくことに。片岡の右腕となる副支店長・真山を、日曜劇場ではおなじみ、福山さんとは大河ドラマ「龍馬伝」以来9年ぶりに共演した香川照之が演じたことも下克上エンターテインメントの温度を上昇させた。


落語家で覚醒!?「いだてん~東京オリムピック噺~」(2019)


「いだてん~東京オリムピック噺~」キャスト発表第2弾
明治、大正、昭和と、その間のオリンピックに関わった人々を描いた大河ドラマ。昭和30年代、ビートたけしが演じる人気落語家・古今亭志ん生の弟子で、架空の人物である“五りん”役を務めた。人気漫画の人気キャラクターや、あるいは刑事、弁護士、銀行マンなど割と堅めの役柄が続いた神木さんが、宮藤作品の常連ら豪華キャストが集った群像劇で、ウザくて明るい若者として爽やかな風(?)を振りまいた。一度は戦争のために中止になった東京オリンピックが1964年についに決定し、五りんは田畑(阿部サダヲ)から東京オリンピックの広告塔に任命されるのだが…。

若きころの志ん生(森山未來)と関わりを持ち、金栗四三(中村勘九郎)の弟子である“父”・小松勝を演じたのが、『桐島』で共演していた仲野さんという縁もまた熱い。


苦悩を抱えた、ひたむきな青年を熱演『フォルトゥナの瞳』(2019)


『フォルトゥナの瞳』(C)2019「フォルトゥナの瞳」製作委員会
『僕等がいた』『坂道のアポロン』などで知られる三木孝浩監督のもと、自身初の本格ラブストーリーに挑戦。しかも相手役は、『3月のライオン』で複雑な思いを抱えて反発する義理の姉を演じるなど、4度目の共演にして初めて恋人同士役となった同い年の有村架純。自動車修理工場で誰よりも丁寧に、気持ちを込めて仕事をする彼のひたむきさや、「死が近い人が透けて見える能力」を持つ苦悩を背負って生きている青年は、20代中盤となった神木さんにハマった。2人の幸せそうな姿にはときめかされ、有村さんを愛おしそうに抱きしめる姿には大人びた色気を感じさせた。脇を固める志尊淳、DAIGOらも好演。

2020年第44回エランドール賞授賞式 神木隆之介
本作と「いだてん~東京オリムピック噺~」「集団左遷!!」による活躍で、2020エランドール賞「新人賞・TVガイド賞」を受賞(まだ受賞していなかったとは!)。お祝いにかけつけた宮藤さんから「神木くんが80歳になったら、一緒に『やすらぎの郷』みたいなドラマをやりましょうか」との言葉が。それまで「たくさんの役に挑戦して、皆様に感動をお届けできるような表現者、そして、そういう人間になりたいです」と自ら語った言葉を実行していくのだろう。


初の池井戸作品「連続ドラマW 鉄の骨」では
中堅建設会社の若手社員に


連続ドラマW「鉄の骨」
「下町ロケット」「空飛ぶタイヤ」などが地上波や劇場映画で映像化される以前から、リアリティのある骨太な描写との好相性で注目を集めていた連続ドラマWの池井戸潤作品。このところ新たな挑戦を続けてきた神木さんが、そんな池井戸作品に満を持して初出演する。演じるのは、中堅建設会社「池松組」で働く入社4年目の主人公・富島平太、奇しくも現在の神木さんと同じ26歳の若手社員だ。

建設現場をこよなく愛する実直な平太は、ある日、公共事業などの大口案件の受注を担当し、“談合部”と揶揄される業務部に配属される。談合は“必要悪”という上司やフィクサーたち。平太は自分なりの理想と正義に照らし、会社という組織の中で葛藤しながら突き進んでいく。業務部に異動して仕事の環境がガラリと変わったことで、学生時代からの恋人(土屋太鳳)とギクシャクし始める点も若手社員“あるある”。彼女の相談相手となるハイスペック銀行員(向井理)との三角関係も見どころとなり、内野聖陽や中村獅童、柴田恭兵、石丸幹二、小雪らオールスターキャストと織りなす大人の人間ドラマに期待が高まる。


理想と現実の間でもがきつつ、仕事人としてのやりがいを見出していく平太役に臨む神木さんは、例えば、憧れの映画業界に足を踏み入れたものの壁にぶつかる『桐島』前田の“いま”かもしれず、積み上げてきた役柄の集大成にして、新たな第一歩とも受けとることができるはずだ。
《text:Reiko Uehara》

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