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グザヴィエ・ドラン、感性に語りかける作品で世界中を魅了

麗しく、繊細で、才気あふれる映画監督。現在31歳のグザヴィエ・ドラン監督は早熟の天才であり、映画界の希望の星だ。「ドランの名は知っているけれど、観たことはないかも」という方に改めて、彼の魅力をご紹介したい。

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グザヴィエ・ドランPhoto by Henri Tullio/Paris Match via Getty Images
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  • グザヴィエ・ドランPhoto by Henri Tullio/Paris Match via Getty Images
  • グザヴィエ・ドラン Photo by Ernesto Ruscio/Getty Images
  • グザヴィエ・ドラン Photo by Stephane Cardinale - Corbis/Corbis via Getty Images
  • グザヴィエ・ドラン『ジョン・F・ドノヴァンの死と生』キャスト  Photo by Gareth Cattermole/Getty Images
  • グザヴィエ・ドラン Photo by Jacopo Raule/Getty Images
  • グザヴィエ・ドラン&ガブリエル・ダルメイダ・フレイタスPhoto by Stephane Cardinale - Corbis/Corbis via Getty Images
  • グザヴィエ・ドラン Photo by Ian Langsdon/EPA-EFE/Pool/Getty Images
  • グザヴィエ・ドランPhoto by Henri Tullio/Paris Match via Getty Images
麗しく、繊細で、才気あふれる映画監督。現在31歳のグザヴィエ・ドラン監督は早熟の天才であり、映画界の希望の星だ。最新監督作『マティアス&マキシム』の劇場公開(9月25日)を記念し、「ドランの名は知っているけれど、観たことはないかも」という方に改めて、彼の魅力をご紹介したい。

「愛」を描き、秀逸な映像表現で魅せる


グザヴィエ・ドラン&ガブリエル・ダルメイダ・フレイタスPhoto by Stephane Cardinale - Corbis/Corbis via Getty Imagesグザヴィエ・ドラン&ガブリエル・ダルメイダ・フレイタス
幼少期から子役として活動を始めたドランは、若干19歳にして映画監督デビュー。初監督作『マイ・マザー』(09)では主演と脚本も務め、いきなりカンヌ国際映画祭の監督週間での上映を勝ち得た(これは新人監督にとって、極めて栄誉なことだ)。その後、現在に至るまで8本の長編映画を監督し、カンヌ国際映画祭の審査員賞も受賞している。日本では、『そして父になる』(13)が選ばれた賞だ。

ドラン作品の特徴はいくつか挙げられるが、全てに共通するのは「愛」を描いていること。特に、母が子に向ける、清濁併せ持った強固な愛――そして、子が母に向ける複雑な愛憎が、異性・同棲を問わない恋愛感情と絡まり、ドラマティックに彩られていく。「言いすぎて、傷つける」家族の愛と、「言えなくて、遠ざかる」恋人や友人の恋の対比が、美しくももの悲しいムードをかき立てるのだ。

グザヴィエ・ドラン Photo by Jacopo Raule/Getty Images
感性を刺激するスタイリッシュな映像表現も秀逸で、キャラクターの目の動きをじっと見つめるショット、対象に一直線にズームするカメラ、セリフを排し、劇的な音楽と走馬灯のように駆け巡る映像だけに特化した見せ場のシーンの演出など、感情ベースの映像作りが特色だ。鮮やかな中にも“手触り”を残した色彩感覚と質感も、味わい深い。

ドランの映画は、否応なしに観る者の感情を刺激し、激情を引きずり出す。批評家層はもちろん、多くの映画ファンに厚く支持されるゆえんだ。

監督業だけではないマルチな才能


グザヴィエ・ドラン Photo by Ernesto Ruscio/Getty Images
また彼は、『マイ・マザー』から最新作の『マティアス&マキシム』まで、多くの監督作で出演も兼ねており、マルチな才能を持つ次世代型のクリエイター。端正な顔立ちに物憂げな眼差し、どこか舌足らずな発声など、役者としても観る者を引き付けるオーラにあふれている。

監督作以外だと、恐怖のピエロ、ペニーワイズの餌食になる青年に扮した『IT/イット THE END “それ”が見えたら、終わり。』(19)や、若手実力派ルーカス・ヘッジズと共演した『ある少年の告白』(18)など、精力的に活動。ちなみに子役時代はレオナルド・ディカプリオに憧れていたそうで、彼に宛てたファンレターに着想を得た『ジョン・F・ドノヴァンの死と生』(18)も製作している。

グザヴィエ・ドラン『ジョン・F・ドノヴァンの死と生』キャスト  Photo by Gareth Cattermole/Getty Imagesグザヴィエ・ドラン&『ジョン・F・ドノヴァンの死と生』キャスト
余談だが、ドランは2015年に、世界的歌姫アデルのミュージックビデオも手掛けた。全編モノトーンで構成された本作では、ドランらしい「人物の表情のアップ」や「心情を表す風や煙の表現」が確認でき、エモーショナルな仕上がりになっている(ちなみに、監督作『ジョン・F・ドノヴァンの死と生』の冒頭でも、アデルの曲を使用)。

“想い”を映像に綴じ込める詩人、グザヴィエ・ドラン。彼の豊饒な世界に触れるとき、私たちの感性も無限に開かれていくのだ。
《SYO》

物書き SYO

1987年福井県生。東京学芸大学卒業後、映画雑誌の編集プロダクション、映画WEBメディアでの勤務を経て、2020年に独立。映画・アニメ・ドラマを中心に、小説・漫画・音楽・ゲームなどエンタメ系全般のインタビュー、レビュー、コラム等を各メディアにて執筆。並行して個人の創作活動も行う。

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