切ない宿命を背負った“水の精”と男の出逢い…『水を抱く女』日本版予告
ドイツを代表する名匠クリスティアン・ペッツォルト監督の最新作で、第70回ベルリン国際映画祭・銀熊賞(最優秀女優賞)と国際映画批評家連盟賞(FIPRESCI賞)をW受賞した『水を抱く女』から、日本版予告編とメインビジュアルが解禁となった。
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本作は、「愛する男に裏切られたとき、その男を殺して、水に還らなければならない」という、切ない宿命を背負った女の物語。妖艶なウンディーネを『婚約者の友人』のパウラ・ベーア、心優しいクリストフ役には『希望の灯り』のフランツ・ロゴフスキが演じている。
今回解禁された日本版予告編は、パウラ演じるベルリンの都市開発を研究する歴史家で、博物館でガイドとして働くウンディーネが恋人に別れを告げられ、「愛していると言って。あなたを殺したくない」と答える場面から始まる。
そして、フランツ演じるクリストフとの衝撃的な出会い。激しく惹かれ合っていく2人だったが、ある日彼女は突然姿を消してしまう…。
“その男は知らなかった。彼女の逃れられない宿命を”というナレーションが意味する彼女の切ない愛の形とは? 2人の愛のゆくえがバッハの旋律と水のようにたゆたう映像美とともに描かれていく。
本作のモチーフは、古くから多くのアーティストたちにインスピレーションを与えてきた、“水の精・ウンディーネ(オンディーヌ)”の神話。アンデルセンは童話「人魚姫」を書き上げ、チャイコフスキーはオペラ、ドビュッシーは楽曲を創作した。
また、ゲーテが「ドイツの真珠」と絶賛したロマン派のフリードリヒ・フーケが発表した傑作小説「ウンディーネ」は、近年再評価されている三島由紀夫の「仮面の告白」にも登場。ジャン・ジロドゥの戯曲「オンディーヌ」から手塚治虫「七色いんこ」(「オンディーヌ」)、劇団四季「オンディーヌ」などが生まれるなど、天才たちを魅了し続けてきた物語だ。
ペッツォルト監督は、「『東ベルリンから来た女』『あの日のように抱きしめて』『未来を乗り換えた男』と同様に、本作は愛についての物語です。しかし、それら過去作は不可能な愛、傷ついた愛、あるいは発展を予想させる愛について語っています。今回は愛がどのように発展していき、心にどのように残っていくのかを描きたかったのです」と語っている。
予告編と併せて解禁されたメインビジュアルは、「愛が終わるとき、哀しき殺意のとき」というコピーとともに、男の肩越しにこちらを見つめるウンディーネの視線が印象的な1枚に仕上がっている。
『水を抱く女』は3月26日(金)より新宿武蔵野館、アップリンク吉祥寺ほか全国にて順次公開。