背筋がゾクッとするのに見てしまう…韓国ホラーの魅力に迫る

夏といえば観たくなるホラー映画も、韓国映画が熱い。この夏にオススメの8作品をピックアップしながら、その魅力に迫る

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夏といえば観たくなるのは、背筋がゾクゾクッとするようなホラー映画。近年、注目を集める韓国映画は、ホラージャンルももちろん熱い。普段は苦手でも、愛着のある俳優たちがキャストに加わり、脚本の奥深さや映像表現が気になれば、つい見てしまうのが韓国ホラーという方もいるのでは? そこで、この夏にオススメの8作品をピックアップしながら、その魅力に迫ってみた。

ベースにあるのは、韓国独特といわれる“恨(ハン)”


『哭声/コクソン』(C)2017 TWENTIETH CENTURY FOX FILM CORPORATION
欧米で主流のアイコン的殺人鬼が暴れ回るスプラッターものより、悪霊や呪い、トラウマなどに取り憑かれた人、何らかの恐怖現象に囚われた場所がメインになるものが多い韓国ホラー。歴史的、風土的に培われてきた韓国独特の“恨(ハン)”と呼ばれる、恨み辛み、怒り、悔しさ、悲しみなどが複雑に混ざり合わさった感情がルーツにあり、いずれの作品も結局“最も恐ろしいのは人間”と思わせるものばかり。

近年の有名どころといえば、2017年に日本でも大ヒットした2作品だろうか。人間ドラマの深みを加えたコン・ユ主演『新感染 ファイナル・エクスプレス』(16)はゾンビパニックホラーを一躍メジャーにし、國村隼が出演した『哭声/コクソン』(16)は人里離れた村の猟奇殺人事件からゾンビとエクソシズム(悪霊払い)を行き来しながら、異端を敵視する日本の“村八分”にも通じる疑心暗鬼を弄び、 “最も恐ろしいのは人間”を貫いた。

なお、本国では2021年になって、女子高校を舞台に“学校の怪談”的なエピソードを掘り下げた「女校怪談」シリーズ(1998~)の12年ぶりの新作で、シリーズ6作目となる『女校怪談 リブート:母校』(原題)が6月に公開されたばかり。シリーズ4作目『VOICE ヴォイス』(05)に出演した、「Mine」「SKYキャッスル~上流階級の妻たち~」のキム・ソヒョンが“再登場”、『トガニ~幼き瞳の告発者~』「星から来たあなた」「ペントハウス」などのキム・ヒョンスが共演し、話題を呼んでいる。もしかしたら、同作を機に新たなホラーブームが巻き起こるかも知れない。

美しくて恐ろしい…
『箪笥<タンス>』(2003)


韓国ホラー映画歴代NO.1のヒットを誇る本作。不気味に開く箪笥のドア、隙間から突然伸び出る手など、日本の『リング』や『呪怨』の影響を受けた要素が随所に見られるものの、舞台となる洋風の古家の美しき禍々しさ、赤みから青みへと見事に転調する色彩美などにも注目。単純明快なホラーとは一線を画し、伏線が繋がったことで浮かび上がる事実には愕然となるはず。

『箪笥<タンス>』(C) APOLLO
「恋愛ワードを入力してください~Search:WWW~」のタミ役が記憶に新しいイム・スジョンが主人公の少女スミ役に。彼女の若き頃は芦田愛菜を彷彿とさせ、その演技力に唸る。「SKYキャッスル」のヨム・ジョンアが継母役、「君のハートを捕まえろ!~Catch the Ghost~」のムン・グニョンが妹スヨン役、「賢い医師生活」に出演するキム・ガプスが父親役を演じている。

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YouTube生配信がとんでもないことに!
『コンジアム』(2018)


『コンジアム』(C) 2018 showbox and HIVE MEDIA CORP ALL RIGHTS RESERVED.
観客動員260万人、韓国ホラー映画歴代2位を記録した『コンジアム』。2012年にCNNの「世界七大禁断の地」の1つに選出された“韓国最恐の心霊スポット”、広州市に実在するコンジアム(昆池岩)精神病院はさながら『犬鳴村』のごとく都市伝説化。劇中では、人気コンテンツ「ホラータイムズ」を配信しているYouTuberがそこで生配信を敢行しようとしたところ、とんでもない惨劇に巻き込まれていく。

設定は『グレイヴ・エンカウンターズ』そのもの、『ブレア・ウィッチ・プロジェクト』を彷彿とさせるアクションカメラによる圧倒的臨場感はもちろん、俳優たちのリアルな演技、次第に明らかになっていく恐怖の根源に引き込まれる傑作。韓国では、あまりの恐怖体験に「#コンジアム全然怖くない」という天邪鬼なハッシュタグがSNSで大拡散されたとか。

『コンジアム』 (C) 2018 showbox and HIVE MEDIA CORP ALL RIGHTS RESERVED.
ドラマ「よくおごってくれる綺麗なお姉さん」「ロマンスは別冊付録」ほか、9月には『殺人鬼から逃げる夜』が公開される次世代スター候補ウィ・ハジュンをはじめ、「恋愛ワードを入力してください」のオ・アヨン、「Sweet Home ―俺と世界の絶望―」パク・ジヒョンら、いま活躍中の若手俳優が本名で出演。ただ、イ・スンウクは本作を限りに俳優活動を辞めている。

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Web漫画そっくりの変死事件が起こる
『殺人漫画』(2013)


『殺人漫画』-(C)2013 CJ E&M Corporation, All Rights Reserved
「恐怖の教祖」と呼ばれる人気ホラーWeb漫画家カン・ジユンが編集部に新作の原稿を送った翌日、編集長が無残な死体となって発見される。その状況と彼女の新作の内容がまったく同じだったことから、ジユンに疑いの目が向けられる。刑事が調べていくうちに、ほかにもWeb漫画と似たような変死事件が起きていたことが分かり…。

菅田将暉×Fukaseの映画『キャラクター』を思わせる設定ながら、ジユンの場合は死者の怨念を察知し、代弁するかのよう。実際にWeb漫画を読み進めていくような映像表現のこだわりが心憎く、思いがけないシスターフッドもあるが、人としての良心を捨てた強欲な者たちがやはり恐ろしい。ジユン役にはボクシング国家代表にもなった「Sweet Home ―俺と世界の絶望―」のイ・シヨン。若手刑事役で「ロースクール」のヒョヌが出演。

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一人暮らしには究極のホラー『ドアロック』(2018)


『ドアロック』(C)2018, MegaboxJoongAng PLUS M & Studio Pieona, ALL RIGHTS RESERVED
銀行の契約社員ギョンミンは、都心の古びたマンションで一人暮らし。ある朝、ドアロックのナンバーキーに不審な粉が付いているのを見つけ、念のためパスワードを変更する。ところが、その夜、何者かがドアロックを操作し、激しくドアノブを回し始めた。それ以降も、彼女の部屋では不審な痕跡が続々と見つかり…。

韓国映画・ドラマでお馴染みのドアロック。もし、そのパスワードをほかの誰かが知っていたとしたら…? 一人暮らしの女性にとって、究極のホラーといえるエピソードが詰め込まれた本作。また、仕事をしただけなのに「色目を使った」と言われたり、忘れ物を届けに来た上司が部屋に上がろうとしたり、通報して駆けつけた警官がじっとりと部屋の中を眺めたりするのも要注意。ギョンミン役は「椿の花咲く頃」のコン・ヒョジン。「君は私の春」『サニー 永遠の仲間たち』のキム・イェウォンらが共演。

『ドアロック』(C)2018, MegaboxJoongAng PLUS M & Studio Pieona, ALL RIGHTS RESERVED
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悪魔に襲われる一家が豪華すぎ
『メタモルフォーゼ/変身』(2019)


『メタモルフォーゼ/変身』 (C)2019 ACEMAKER MOVIEWORKS & DANACREATIVE CO.,LTD. All Rights Reserved.
韓国ホラーの一角を担う、『エクソシスト』を彷彿とさせる悪霊退散(エクソシズム)系の作品。カトリックが約11%、プロテスタントと合わせると約30%がキリスト教徒という宗教的背景が大きいだろう。キム・ウンスク×カン・ドンウォンにパク・ソダムが流石すぎる『プリースト 悪魔を葬る者』(15)ほか、昨年はパク・ソジュン主演でアクションテイストを強めた『ディヴァイン・フューリー/使者』(19)も公開された。

本作『メタモルフォーゼ/変身』では、ある家族に悪魔が順々と取り憑いていくため、さらに厄介だ。除霊を行う神父役には『スウィンダラーズ』『藁にもすがる獣たち』の“巻き込まれがち”なバイプレイヤー、ペ・ソンウ。

『メタモルフォーゼ/変身』 (C)2019 ACEMAKER MOVIEWORKS & DANACREATIVE CO.,LTD. All Rights Reserved.
彼の兄で、一家の父役には「刑務所のルールブック」『探偵なふたり』のソン・ドンイル、母役には「サイコだけど大丈夫」の“看護師長”チャン・ヨンナム、長女には「キングダム」の“王妃”キム・へジュン、次女には「賢い医師生活」の“インターン”チョ・イヒョン、さらに末っ子は「椿の花咲く頃」の“ピルグ”ことキム・ガンフンと豪華。加えて、「賢い医師生活」チョン・ミドの映画初出演シーンもかなり衝撃的だ。

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イ・ソンミンがじっとり怪演『第8日の夜』(2021)


『第8日の夜』はNetflixにて独占配信中
本作は仏教がモチーフ。数千年の時を超え、封印から解かれた“それ”がこの世にもたらす地獄のような最悪の事態を防ぐべく、悔恨を抱えた元僧侶と若き修行僧がコンビを組んで奔走。さらに、連続して起こる怪死事件を追う刑事が彼らを追跡する。

『工作 黒金星と呼ばれた男』『KCIA 南山の部長たち』や「ミセン-未生-」の印象も強いイ・ソンミンが、手に数珠をぐるぐると巻き、ときには斧を振り下ろし、一心不乱に血で梵字を記していく僧侶を湿気たっぷりに怪演。「ミセン」で共演し、「夫婦の世界」の“不倫夫”役でブレイク中の刑事役パク・ヘジュンとの対比、イ・ソンミンの息子役を演じたことのあるナム・ダルムのイノセントさなども見どころ。

■Netflixにて配信中

『ソウル・ステーション・パンデミック』(2016)
あの『新感染』の始まり…





『新感染 ファイナル・エクスプレス』のヨン・サンホ監督は「公開前のプロモーションで、ゾンビという言葉はNGだった」と明かしていたが、Kゾンビはいまや世界に誇れるコンテンツだ。同作では、ソウル発・釜山行き列車の発車間際に駆け込み、車内での感染爆発(パンデミック)のきっかけになった女性客をシム・ウンギョンが演じていたことも注目を集めた。

本作は同じくヨン・サンホ監督が手がけた前日譚にあたるアニメーション映画で、主人公のヘスンの声をシム・ウンギョンが演じている、という繋がりがある。ある夏の夜、風俗店で働くヘスンはその仕事をやめようと逃げ回る。一方、ソウル駅では年老いたホームレスから瞬く間に感染が広がっていた。だが、ゾンビ化した人々は暴徒とされ、警察は「助けてくれ」という声に聞く耳をもたない。事態を把握している一部の人たちから現場まで、情報が降りてこないような状態だ。いま最も現実社会と近しい(!?)ホラーかも。

■Netflix、dTV、Huluほかにて配信中

満を持して日本劇場公開『ヨコクソン』(2018)


『ヨコクソン』(C)2018 SMILE ENT & ISU VENTURE CAPITAL & FOOTPRINT FACTORY. All Rights Reserved.
1986年公開の伝説の最恐ホラーをリメイク。哭声=コクソンとは「泣き叫ぶ」ことだが、本作は『ヨコクソン』(女哭声)。女性たちが主役の時代劇ホラーだ。原因不明の不自然な死が続く邸宅に偶然、足を踏み入れたオクブンと秘密を抱えたシン夫人が、その家の中で起こる恐ろしい真実に直面する。

2011年にガールズグループ「Apink」としてデビューし、ドラマ「大風水」「2度目の二十歳」「シンデレラと4人の騎士」などに出演してきたソン・ナウンが映画初主演。対峙するのは、閉鎖的な離島を舞台にした韓国版『プロミシング・ヤング・ウーマン』といえる『ビー・デビル』(2010)での演技が絶賛されたソ・ヨンヒ。


■8月6日(金)よりシネマート新宿・シネマート心斎橋にて公開

『整形水』(2020)外見至上主義への“恨”描く
最新アニメ


『整形水』(C)2020 SS Animent Inc. & Studio Animal &SBA. All rights reserved.
幼少期から容姿にコンプレックスを抱えるイェジは、大人になり人気タレントのメイク担当になった。だが、彼女に罵倒され、ある動画で激しい誹謗中傷を受けることに。そんなとき、“新たな人生のスタート”とばかりに、巷で噂になっている“整形水”が彼女のもとへ届けられる――。

人気Web漫画を、企画から約6年をかけて映画化した監督チョ・ギョンフンは、「私たちが作り出し、抜け出せないでいる、“外見至上主義”に対する絶望と悲しみを表現しよう」としたと語る。整形大国といわれる韓国。アイドルや俳優たちなどは特に、常に美しく、完璧であることが求められる。そんな社会へ、サイコホラー・アニメという形で放つあまりにも痛烈すぎる風刺は必見だ。


■9月23日(木・祝)より全国にて公開
《text:cinemacafe.net》

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