小栗旬主演、三池崇史監督作『バッド・ルーテナント:トウキョウ』のワールドプレミアが、第51回トロント国際映画祭にて開催された。
日本時間9月15日(火)、北米最大の国際映画祭であるトロント国際映画祭のメイン部門【スペシャル・プレゼンテーション部門】に正式出品された本作の世界初上映が実現した。


レッドカーペットには、主演の小栗旬、共演のリリー・ジェームズ、間宮祥太朗、そして今回が同映画祭5度目の登壇となる三池崇史監督が登場。集まったファンから大歓声が上がり、サインや記念撮影などのファンサービスに会場は熱気に包まれた。

満席となったロイヤル・アレクサンドラ劇場の舞台に登壇した三池監督は「三池です。お久しぶりです」と笑顔を見せ、「自分が生まれて30年経った時に映画監督になりました。そして初めて国際映画祭というものに呼んでいただいたのが、このトロント国際映画祭でした。最後までゆっくりと楽しんでいただければ幸いです」と語った。
上映終了後、場内からは鳴り止まない拍手と約5分間にも及ぶ万雷のスタンディングオベーションが送られ、大盛況の世界初お披露目となった。

上映後のQ&Aセッションでは、名作『バッド・ルーテナント/刑事とドラッグとキリスト』(1992)を基に本作に挑んだ経緯について三池監督は、「1本目の『バッド・ルーテナント』は本当に傑作で、改めて観た時に、『今お前が作っているものは、誰かに媚びていないか?』と考えさせられ、自分の好きなように作って良いんだよ、と勇気を与えてくれました。映画そのものに感謝しています」と作品への深い敬意を明かした。
脚本・天願大介氏とのタッグについては、「こちらが『こういう脚本にしてほしい』と言っても全く言うことを聞かない"バッド・ルーテナント"みたいな脚本家なんですよ(笑)。でも、この作品はそんな人に書いてほしいと思って、彼にお願いしました」とユーモアを交えつつ信頼感をのぞかせた。キャスティングについては、「キャスティングというのは、求めるというよりも、運命的にその時撮影現場に現れるもの。生まれた時から決まっているような、引き合う力です」と語った。
三池監督との久々のタッグや役作りについて問われた小栗は、「過去にご一緒させていただいた時と大きな違いはなく、監督は明確なビジョンを持って現場にいてくださるので、僕たちはとにかくついていくことが一番すべきことでした」と真摯な面持ちで回答。役作りについては「日々不摂生な生活を送っていました」と明かし、場内の笑いを誘った。
リリー・ジェームズは、「もちろんすべてが素晴らしかったですが三池監督と仕事ができたことはとても特別な経験でしたし、大好きな東京での撮影も最高でしたし、すべてがうまくいきました」とコメント。また、「プロデューサーのジェレミー(・トーマス)がずっと寄り添ってくれました。彼は俳優に心から信頼を置いてくれましたし、彼やここにいる皆さんと共に映画を作れたことは一生の宝物です」と、先日突然の訃報に接した本作のプロデューサー、ジェレミー・トーマスとの思い出をふり返った。
役作りについて問われると、「私も不摂生な生活を送りましたよ(笑)。そして、アクションシーンにも力を入れました。素晴らしいアクション監督がいましたし、(ミーガン役の)リヴ・モーガンと一緒にジムに行き、彼女は重量で私は軽量の筋トレをしました(笑)。素晴らしいビジョンを持つ監督を信頼して臨みました」と撮影裏話を披露した。
間宮は、「皆様が楽しんで観てくださって嬉しいです」と笑顔を見せつつ、「過激な描写もありますが、三池監督の現場は非常に楽しく、監督ご自身が一番楽しみながらアイデアを巡らせて撮影されていたのが印象的でした」と現場の空気感をふり返った。

最も印象に残っているシーンについて三池監督は、「普段よりも役者やスタッフに負荷がかかる撮影でした。その中でもリリーは全く文化の違う環境に来て撮影し、国によるやり方の違いから大きなストレスを抱えていたと思います。しかし、誰よりも熱心にアクションの稽古に励み、演じることに魂をぶつけて取り組んでくれました。ただ、ドジョウを食べるというシーンで彼女が見せたとても微妙な表情には、スタッフみんなが大笑いしたのが非常に印象に残っています」と微笑ましいエピソードを披露。リリーはすかさず「美味しかったですよ!」と笑顔で返した。
小栗は「どのシーンも印象に残っていますが、今日、子どもたちと踊るシーンをスクリーンで観て、当時の記憶が鮮明に思い出されました」とふり返り、リリーも「印象的なシーンはたくさんありますが、最後の銃を構えるシーンは少し緊張しました」と撮影裏話を披露した。
この日の客席には、『ロード・オブ・ザ・リング』シリーズや『パイレーツ・オブ・カリビアン』シリーズで知られるオーランド・ブルームや、『ボヘミアン・ラプソディ』(2018)にてアカデミー賞主演男優賞を受賞したラミ・マレックの姿もあった。
上映後、オーランド・ブルームは「素晴らしかった!観客の反応が良すぎてどう反応すればいいかわからなかった。日本とアメリカの融合が見事だった。もっとこういう映画が作られるべきだ」と絶賛のコメントを寄せた。
世界のメディアからも早くもレビューが到着。「素晴らしい作品だった。実に生々しく、強烈なエネルギーに満ちている。徹底した過激さ、容赦のない展開、まさに三池崇史の真骨頂だ」(FILM INQUIRY/Faisal Al-Jadir)、「とにかくダークで骨太な作品であり、単なるスタイルや雰囲気に留まらない、往年のグランジやパンクの精神を感じさせるノワールでありながら、単なる見た目のスタイルに終わっていない」(Rendy Jones)、「小栗旬は観客の視線を引き付けながらも、同時に本当に嫌悪感を抱かせる存在として成立している。しかし、それこそが三池崇史の魔法なのだ。最も下品なオートゥールであり、アベル・フェラーラやヴェルナー・ヘルツォークの先にある自然な進化形だ」(IMDb/Alex Logan)といった熱狂的なレビューが相次いだ。
今後の展開にもますます期待が高まる。
『バッド・ルーテナント:トウキョウ』は10月23日(金)より全国にて公開。




