「非道のうさぎ」と恐れられた宇佐木が15年の刑期を終えて出所すると、水口組の片岡に出迎えを受け、組長の水口から青洲会系水口組傘下で宇佐木組を立ち上げるよう命じられ、刑務所で知り合った大林拓海を舎弟とし、やまびこ商店街の潰れた風呂屋に「宇佐木商事」の看板を出すことになる。宇佐木の出所を喜ぶ周囲、特に兄弟分の片岡はかねてよりの夢だった列島制覇の野望をようやく叶えられると宇佐木の出所を人一倍歓迎していた。だが、当の宇佐木は長い刑務所生活の中で誰にも言えないある趣味にはまってしまっていた。そんな中、以前からいざこざの絶えない菊森組組との間で本格的な抗争が勃発。宇佐木の旧知の仲で現在はヤクザから足を洗って喫茶店を営む北見が菊森組に殺されるという事件が起こってしまう。激怒した宇佐木と片岡は報復として菊森組のハングレを半殺しの目に合わせる事で抗争は激化の一途を辿ることになる。一方で、宇佐木は商店街の事務所で拓海と合唱の練習をしているところを、商店街合唱クラブ「鬼熊合唱団」のメンバーであるみゆきに目撃されてしまう。当然のごとく合唱団入りした宇佐木。本業であるヤクザ稼業の傍ら、ヤクザであることを隠しながら合唱練習に精を出す毎日だったが…。
内田英治
中元雄