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【インタビュー】広瀬すず&松坂桃李、キャリア史上最難関の“役”に挑み辿り着いた答えとは

誘拐犯と被害者と“された”男女の壮絶な運命を描いた映画『流浪の月』が、5月13日に劇場公開を迎えた。本屋大賞に輝いた凪良ゆうの同名小説を李相日監督が実写映画化した骨太な一作。宿命を背負わされてしまったふたりに扮したのが、広瀬すずと松坂桃李だ。

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広瀬すず&松坂桃李『流浪の月』/photo:Jumpei Yamada
広瀬すず&松坂桃李『流浪の月』/photo:Jumpei Yamada
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  • 松坂桃李『流浪の月』/photo:Jumpei Yamada
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  • 松坂桃李『流浪の月』/photo:Jumpei Yamada
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現場で悩み抜き「役作り」の答えを模索


――今回は物語の中で描かれる時間が15年以上と長く、白鳥玉季さんが10歳の更紗を演じ、広瀬さんが現在の更紗を演じるという構造です。二人一役とはいえ、15年ぶりの“再会”にしなければならないため、非常に難易度が高いですよね。

松坂:文にとって、更紗と出会えて初めて自由や解放感を得られたぶん、別れてから15年間はその幸福感を力強く握りしめ、苦しい日々を過ごしていたところはあると思います。それが再会したときに、「ひょっとして更紗も同じような時間を過ごしていたのではないか」と感じられる。玉季とすずちゃんの二人が演じてはいましたが、僕にはちゃんとつながって見えて、すごく心強かったです。

広瀬:ただ私としては、やっぱり10代の頃の文との楽しい時間を皮膚感覚として感じられていなかったのが大変でした。途中で李さんに「桃李くんに聞いたら? 温度差を感じる」と言われて、桃李さんにお聞きしましたね。そこで桃李さんが教えて下さった言葉を15年ぶん経年させるというか、部分部分で覚えていたり、瞬間瞬間で感じたことが残っているという状態にしないといけない。

自分の想像と桃李さんからもらった文の言葉、色々リンクさせていくのはすごく難しくて、つかめるまではひたすら苦しかったです。涙腺がプツンと切れてしまって、何をやっても涙が出てきちゃう状態になってしまい、毎回本番前に李さんに「泣くなよ、強くいるんだ」と声をかけられていました。

――広瀬さんは『怒り』から約6年ぶりの李監督とのタッグですね。

広瀬:『怒り』のときは、登場人物も多いし東京・千葉・沖縄の3つの舞台で物語が進行するぶん、李さんも映画3本を同時に撮っているような状態で相当大変だったと思います。

私自身のことでいうと、『流浪の月』に入る前、初めて立ち止まるというか…敏感じゃなくなっていた時期でした。繊細な何かを感じ取れなくなってしまって、しかもその状態が続いていたんです。クランクイン前に李さんに「どうしたらいいかわからない」と相談するところから始まりました。そういった意味で、『怒り』のときとはお互いに変化がありましたね。

――松坂さんは、初めての“李組”はいかがでしたか?

松坂:李さんはリハーサルを何度も重ねたり、キャスト同士でコミュニケーションする時間を取ってくれたり、コーヒーを淹れる練習も「実際にお店で練習してみたら」とか、役作りで「撮影場所に寝泊まりしてみたら?」とアドバイスしてくれたり、とにかく芝居にとことん向き合わせてくれるんです。すごくフラットに「役として生きるためならやればいい」と言ってくれるというか、いままで僕があまり経験したことのない温度感の現場だったので新鮮であり、嬉しかったですね。

――李監督は現場でとにかく悩み抜く、というお話も伺いましたが、おふたりの目にはどう映りましたか?

松坂:悩んでいるのか、或いは待っているのか…。先ほど「役として生きる」とお話ししましたが、それがカメラの前に現れるのを待っているような状態だと感じました。たとえるなら、下からじっくり火であぶられているような感覚です(笑)。

広瀬:そのたとえ、正しいです(笑)。

松坂:おっ、やった(笑)。

広瀬『怒り』のときと比べると、監督自身も明確な答えを持っていない感じがしました。前作は「自分でどんどん踏み出していけば答えがあるから」とずっとおっしゃっていて、それまでお芝居に答えがあるって考えたことがなかったけど、一つじゃないとはいえ何かはあるんだと初めて思えたんです。

今回はその答えがないぶん、李さんとはとにかく話しながら作っていきました。芝居を観て「今はこうだったよね?」と明確に言葉にされると、やっぱりちゃんと見てくれているし待っているし、全部伝わっているなと思います。李さんの前では、嘘をつけないんですよね。

――松坂さんが先ほどお話しされていた入念なリハーサルは、どういった形式で行われたのでしょうか。

松坂:現場でカメラが回る前に、監督とキャストだけでリハーサル兼ディスカッションをやってみて、そこから何度かリハーサルを繰り返して、その後撮影部や照明部の方が入り、皆さんにお芝居の流れ見てもらい、撮影をいう形でした。この温め方は、他の現場にはなかなかないやり方ですね。


《text:SYO/photo:Jumpei Yamada》

物書き SYO

1987年福井県生。東京学芸大学卒業後、映画雑誌の編集プロダクション、映画WEBメディアでの勤務を経て、2020年に独立。映画・アニメ・ドラマを中心に、小説・漫画・音楽・ゲームなどエンタメ系全般のインタビュー、レビュー、コラム等を各メディアにて執筆。並行して個人の創作活動も行う。

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