第98回アカデミー賞長編ドキュメンタリー賞を受賞した『Mr. Nobody Against Putin(原題)』が、2026年秋に全国にて順次公開されることが決定した。
本作は、ロシアのウラル山脈の麓にある人口約1万人の小さな町カラバシュの小学校で撮影担当として勤務していた教員が、命がけで記録したドキュメンタリー。
2022年2月のロシアによるウクライナ侵攻後、プーチン大統領は子供たちを国のために命を捧げる<未来の兵士>として育てるため、戦争を賛美し参加するよう学校で教え込む「愛国教育」の導入を新たな国家方針として発令した。
パヴェル・タランキンは小学校でイベントを企画し記録する撮影担当教員として勤務していた。子供たちの何気ない日常や成長の瞬間をビデオカメラに収めながら、彼らに「避難場所」としてオフィスを開放。子供たちから「パシャ」という愛称で親しまれる「頼れるお兄さん」のような存在で、自由と民主主義を愛する教師だった。しかし侵攻開始後、和やかだった学校の雰囲気は瞬く間に緊迫した「戦時中」のものへと塗り替えられていく…。
国家が市民を扇動し、急速的に戦時下へと突き進んでいくプロパガンダの実態を、当事者の視点からかつてないほど鮮明に暴き出す本作。
監督は、デンマークを拠点に活動するアメリカ人ドキュメンタリー作家のデヴィッド・ボレンスタインと、パヴェル・タランキンが共同で手掛けた。ロシア国内で数多くの戦争批判者が投獄され、警察組織による厳しい監視体制が敷かれている極めて危険な状況のなか、パヴェル・タランキンはロシア学校教育の現状を世界に告発するため、極秘裏にのべ数百時間にも及ぶ映像データを毎日少しずつ国外のデヴィッド・ボレンスタインに送り続けたという。
パヴェル・タランキンに迫る身の危険や、戦時下に生きる子供たちの身体的・心理的影響など、あらゆる状況の先が見えないまま、撮影と同時進行で編集をしていき、約2年間をかけて完成に至ったという魂の一作となっている。
2025年1月にサンダンス映画祭でプレミア上映され、審査員特別賞を受賞。2026年2月の英国アカデミー賞では最優秀ドキュメンタリー賞を受賞するなど、各国の映画祭で大反響を呼んでいる。また、全米批評家サイトRotten Tomatoesでは満足度100パーセント(3月13日現在)という圧倒的な高評価を記録。
国を愛するとは何か? 子供たちに「戦場へ行け」と言うのか? 世界各地で戦争が勃発し、国際情勢の緊張が極限まで高まっている今、この極めて不安定な世界に生きるすべての大人たちに、本作は強く問いかける。
『Mr. Nobody Against Putin(原題)』は2026年秋、シアター・イメージフォーラムほか全国にて順次公開。

