みずみずしく純粋な空気人形に、感情の素晴らしさを再確認『空気人形』
原作は2000年に発表された業田良家のわずか20ページの短編漫画。空気人形がある日心を持ち、恋をするラブ・ファンタジーだ。短いながらも圧倒的インパクトを持つ原作の世界観に魅了された是枝裕和監督は「この作品をどうしても映画化したい」と、即映画化に向けて行動に出たそうだが、1998年の『ワンダフルイライフ』以降、『DISTANCE』、『誰も知らない』、『歩いても 歩いても』など、つねにオリジナル・ストーリーにこだわってきた監督にとってそれは異例のこと(監督第1作目『幻の光』はオファーがあって引き受けた作品)。
【どちらを観る?】愛か自由か? 松ケン『カムイ外伝』VS小栗旬『TAJOMARU』
いま、時代劇映画のヒーローに熱い視線が注がれている。日本映画界を牽引する若手実力派、松山ケンイチと小栗旬がそれぞれ主演を張る『カムイ外伝』と『TAJOMARU』だ。
飯島奈美インタビュー 人気フードスタイリストが手がける『プール』魅惑の料理
「あの映画のあのシーンに出てきたあの料理、おいしそうだったなぁ…」と、映画を観終わったあとに無性にその料理が食べたくなる、誰しも一度は経験しているのではないだろうか。決して目立つことはないけれど、映画に寄り添い、観客の心の隅に温かな記憶として焼き付けられる──そんな印象的な“ごはん”が映画『プール』にはたくさん登場する。そこで、本作をはじめ『かもめ食堂』、『めがね』、『東京タワー オカンとボクと、時々、オトン』など、数多くの映画でフードスタイリストとして活躍する飯島奈美さんに、『プール』の“食”と魅力についてインタビューした。
普通の男が発揮する底力…名演光る重厚サスペンスに唸る『サブウェイ123 激突』
『マルコムX』、『ザ・ハリケーン』、『トレーニング デイ』をはじめ数多くの主演作で“強い男”を演じてきた俳優が、25ポンド(約11キロ)体重を増やし、メガネをかけている。続けてコーヒーをうっかり自分にひっかけてしまうようなドジな一面が映し出される──その姿を見て「えっ? この人、デンゼル・ワシントンだよね…」と疑問に思うのは当然だろう。そう、2度のアカデミー賞に輝くデンゼル・ワシントンが『サブウェイ123 激突』で演じるのは、ごく普通の男。本作はそんな普通の男がいざというときに発揮する底力を描いた重厚なサスペンス・ドラマだ。
【どちらを観る?】大人も泣ける日本発アニメ『サマーウォーズ』&『ホッタラケの島』
普段アニメはあまり観ない…という人に、ぜひ観てほしいアニメーション映画がある。現在公開中の『サマーウォーズ』と8月22日(土)公開の『ホッタラケの島 〜遥と魔法の鏡〜』の2本だ。どちらも子供向けというよりはむしろ大人が楽しめるストーリーで、映像の美しさはもちろん、想像以上に泣けてしまうのがおすすめポイント。今夏は『ボルト』や『モンスターVSエイリアン』といった洋画のアニメも話題になっているが、日本のアニメの凄さを『サマーウォーズ』と『ホッタラケの島』は堂々と証明している。
【どちらを観る?】ビョンホンの“ワル”なスマイルが光る、夏のアクション2大作
キラー・スマイルの異名を持ち、韓流ブームの先駆者として多くの女性の心をつかんできたアジアのスター、イ・ビョンホン。そんな彼が、愛に狂ったマフィアのボスを演じた『アイ・カム・ウィズ・ザ・レイン』に続いて、またまた悪役に挑戦している。新作の『G.I.ジョー』と『グッド・バッド・ウィアード』。いずれも“超”が付くほど徹底した悪役だ。笑顔、真摯、セクシーという固定イメージが強いビョンホンが3作続けて悪役を演じるというのは何とも興味深い。
“最強”と“最凶”を熱演!『G.I.ジョー』チャニング・テイタム&シエナ・ミラー
世界中の少年たちの憧れのヒーロー像として君臨する“G.I.ジョー”。1964年にベトナム戦争で活躍する米兵をモチーフにしたアクション・フィギュアに始まり、1985年にはアニメ「地上最強のエキスパートチーム G.I.ジョー」が誕生。そして、2009年ついに実写としてスクリーンに登場する! そこで、この夏の一大ブームになるであろうハイパー・アクション超大作『G.I.ジョー』の魅力をチャニング・テイタム、シエナ・ミラー、ロレンツォ・ディ・ボナヴェンチュラ(製作)に聞いた。
いじらしいまでに愛らしい姿にホロリ ディズニーから誕生した新アイドル、ボルト
ボルトとは、ハリウッドの撮影所の専用トレーナーに住むスター犬。TVドラマのセットの中で育ち、ドラマの世界が現実の世界だと信じ込んでいる。ある日、大好きな共演者のティーン女優のペニーがドラマの中で悪者にさらわれるシーンを目撃したボルトは、彼女を救おうとセットの外へ飛び出すが、ハプニングでニューヨークに運ばれてしまい…。
2つの時代をつなぐ謎… スパイク・リーが仕掛ける新たな感動『セントアンナの奇跡』
約20年にわたってアメリカ黒人社会を描き続けてきたスパイク・リー監督。黒人男性と白人女性の恋愛を描いた『ジャングル・フィーバー』、黒人解放指導者の伝記『マルコムX』、犯罪ヒューマン・ドラマ『クロッカーズ』など、様々な切り口で数多くの作品を手がけてきた彼が、新作の『セントアンナの奇跡』で初の試みに出た。それは戦場を舞台にしていることだ。
無謀な世界遺産ロケで勝負! ハリウッドに待ったかける『アマルフィ 女神の報酬』
全編イタリアロケ──文字にしてしまうとなんだか容易いことのようにも受け取れるが、世界的観光名所が集約したローマと街全体が世界遺産のアマルフィを舞台にしている日本映画というのは、やはりどう考えても普通じゃない。そんな無謀とも言えるロケを敢行して出来上がったのが『アマルフィ 女神の報酬』だ。
その恋…想定外 揺れる女たちに共感? 反感? 『それでも恋するバルセロナ』
ひと夏を過ごすためにバルセロナへやって来たヴィッキーとクリスティーナは、セクシーな画家・アントニオと出会い強く惹かれていく。1人の男と2人の女──さらにアントニオの元妻・マリアも加わり4人の関係は予想もしない展開に…。ウディ・アレン監督の最新作『それでも恋するバルセロナ』は、太陽が似合う情熱の街・バルセロナを舞台に4人の男女の“想定外”の出会いと恋を綴ったラブ・ロマンスだ。
【どちらを観る?】男たちの不屈の魂、激突! 『劔岳 点の記』VS『蟹工船』
“諦めないこと”。日本地図を完成させるため前人未踏の山・劔岳に挑んだ男たちの物語『劔岳 点の記』、劣悪な環境で働く出稼ぎ労働者たちの闘争を描いた『蟹工船』。毛色の違うこの2本の映画に共通するのは、そんなメッセージだ。
誰しもが抱える“嘘”から見る人間の“揺れ” 西川美和最新作『ディア・ドクター』
人は多かれ少なかれ嘘をついて生きている──。数々の映画賞を総なめにした『ゆれる』('06)に続いて西川美和監督が描くのは、そんな誰もが生きていく上でひとつは抱えている“嘘”をテーマにした人間ドラマ。ある小さな村で起きた医師の失踪事件から物語は始まり、彼の素性が徐々に浮かび上がっていく。真実と嘘、善と悪、生と死の間で揺れ動く人々の心情がリアルに映し出されるが、結末に用意されているのは否定でも肯定でもない何ともあやふやなものだ。しかしながら、何故かほっとさせられるのは私たち自身があやふやな存在だからゆえ。境界線がないからこそ、白黒はっきりしない余韻が心地よく感じられる。

