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歌う映画vol.3 安良城紅が歌う“クラシック”を聴け

今月は、歌がカギになっている映画をご紹介しています。なぜなら、不思議と今年は冒頭から、歌が大切な要素になっている作品が続いているから。そもそも、日本人は歌が大好き。カラオケがここまで発展し、世界に誇る日本文化にまでのし上げたのも、きっと歌う歓び、爽快感を心底理解していたからにほかなりません。

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『ブラブラバンバン』 -(C) 2007「ブラブラバンバン」製作委員会
『ブラブラバンバン』 -(C) 2007「ブラブラバンバン」製作委員会
  • 『ブラブラバンバン』 -(C) 2007「ブラブラバンバン」製作委員会
  • 『ブラブラバンバン』 -(C) 2007「ブラブラバンバン」製作委員会
  • 『ブラブラバンバン』 -(C) 2007「ブラブラバンバン」製作委員会
今月は、歌がカギになっている映画をご紹介しています。なぜなら、不思議と今年は冒頭から、歌が大切な要素になっている作品が続いているから。そもそも、日本人は歌が大好き。カラオケがここまで発展し、世界に誇る日本文化にまでのし上げたのも、きっと歌う歓び、爽快感を心底理解していたからにほかなりません。

歌がカギになっている映画というと、今月のコラム第一回目の『スウィーニー・トッド フリート街の悪魔の理髪師』のようなミュージカルや、第二回目の『歓喜の歌』のように歌が重要なテーマやモチーフになっている映画をすぐに思い浮かべますが、今回は面白い作品を見つけたので、それをご紹介しましょう。安良城紅主演の『ブラブラバンバン』です。

こちら、ブラスバンドの甲子園を目指す高校生を描いた青春・学園・音楽ムービー。主人公は、気持ちのよい音楽を聴くと発情するという特異体質の女子高生・芹生百合子(安良城)。彼女を中心に、つぶれかけたダメダメなブラスバンド部が、目標に向かって頑張る…というお話で、1999年から「週刊ヤングサンデー」で連載された柏木ハルコの同名漫画が原作です。

でも、ブラスバンド部に歌はないのでは。と思った方、正解です。確かに、本編に歌らしい歌は登場しません。エッチ系暴走キャラの百合子が、ノリノリで指揮をしながら鼻歌を歌うという程度。でも、エンディング曲がなかなか面白いのです。

歌手・安良城紅が歌う「Mellow Parade」という曲なのですが、ベースになっているのが、あの有名な「ダッタン人の踊り」(歌劇「イーゴリ公」の第二幕より)を編曲したもの。ロシアの作曲家、アレクサンドル・ボロディン作のこの曲は、つぶれそうなブラスバンド部が頑張って取り組む曲として登場したり、しんみりしたシーンで主人公が口ずさむ曲として登場したりと、本作のテーマ曲のような存在でもあり、とても印象的。最後に流れる「Mellow Parade」も、「これがあの曲?」と思うほど現代的に変身していて、“21世紀のダッタン人”という趣がなかなか素敵なのです。

最近、クラシックをポピュラーのように提示する傾向が、音楽業界の中にありますね。ホルストの組曲「惑星」の第4曲「木星 快感をもたらす者」をアレンジした平原綾香の「Jupiter」とか、クラシック歌手たちが歌う「千の風になって」とか。最近では、某保険会社のCMで、ベートーベンのピアノソナタ第8番ハ短調作品13「大ソナタ悲愴」の第2楽章にオリジナルの歌詞をつけたものが流れています(耳馴染みが妙に良い!)。楽曲にしても、演奏法、歌唱法にしても、クラシックという完成しつくされた不朽の伝統を活用しない手はないと、人々は思いはじめたのでしょうか。

提示のされようによっては、退屈と思っていたクラシックというジャンルが新鮮に響いてくるように。古臭いと思っていたクラシックなのに、視点を変えただけでその素晴らしさに改めて気づいたという人も多いのではないでしょうか。

関心を寄せるようになってみると、CM、映画、TVドラマなどを通じて、クラシックというジャンルが驚くほど私たちの生活に入り込んでいることに気づかされ、心底驚かされます。それほどまでに浸透し、私たちの心に染みこんでいる音楽の新しい一面を見つけ出す動き、どうやら、これからも続きそうですね。

《牧口じゅん》

映画、だけではありません。 牧口じゅん

通信社勤務、映画祭事務局スタッフを経て、映画ライターに。映画専門サイト、女性誌男性誌などでコラムやインタビュー記事を執筆。旅、グルメなどカルチャー系取材多数。ドッグマッサージセラピストの資格を持ち、動物をこよなく愛する。趣味はクラシック音楽鑑賞。

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