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【インタビュー】水川あさみが語る“夫婦観”、同業だから「1番褒められたい」

「飾らない女優」。水川あさみは、そんな言葉がよく似合う。『金田一少年の事件簿 上海魚人伝説』でデビュー以来、十代のころから映画やドラマで活躍してきたベテランながら、等身大の“生きた演技”を披露し続ける人物だ。

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水川あさみ『喜劇 愛妻物語』/photo:You Ishii
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演じる上で大切にしたのは「愛情」


『喜劇 愛妻物語』(C)2020『喜劇 愛妻物語』製作委員会
演じるうえでは、“場の力”も大きかったという。というのも本作は、足立監督の自宅を豪太とチカ、アキの家に見立てて撮影しているのだ。

「美術さんが置いてくださったものもありますが、足立さんの家にあるものがそのまま映ってるんです。あの生活感はなかなか出せない。演じるうえで、助けになりましたね」。

「あと、足立さんの家で岳くんと、あるノートを見つけたんです。監督が書いたプロットに、奥さんが赤ペン先生のように大量にダメだしを入れていて。その上に、監督が『クソ野郎!』って書いていたのを見て(笑)、岳くんと『このページだけで夫婦のすべてがわかるね』と話したことを覚えています」。

水川あさみ『喜劇 愛妻物語』/photo:You Ishii
こういったアイテムのサポートもあり、倦怠期の夫婦になりきっていったふたり。また、水川さんがチカを演じる際、大切にしたのは「愛情」だという。

長い間一緒にいると、生きることにいっぱいいっぱいになって埋もれてしまうけど、チカも豪太も、根本的にお互いへの愛情がありますよね。そこはすごく、素敵だなと感じた部分です」。

愛しているから、憎まれ口も叩いてしまう。信じているがゆえに、きつく当たったりもする。夫婦というのは、実に不思議ないきものだ。『喜劇 愛妻物語』を観ていると、そのことを改めて痛感させられる。

象徴的なのは、堪忍袋の緒が切れたチカが泣き出してしまうシーン。愛情や怒り、悲しみが混然一体となった水川さんの最大の見せ場は、意外にも「ぶっつけ本番だった」そうだ。

『喜劇 愛妻物語』(C)2020『喜劇 愛妻物語』製作委員会
「長回しで撮るって監督は最初から決めていたみたいで、大体の立ち位置を決めたらすぐ本番でした。あのシーンは、泣いてるのに笑ってて、でもものすごく腹が立ってもいて…全部の感情がぐちゃぐちゃに入り混じって、演じていてもすごく面白かったです。自分も好きなシーンですね」。

「それまでのチカって、口ではきつく言ってても、豪太への愛情が歯止めをかけてたんだと思います。でも、それがぷつんと切れてしまう。それなのに豪太はピンと来ていなくて、情けないやら腹が立つやら。でもそういう“人間っぽい”瞬間って、とても魅力的であり、素敵ですよね」。

《text:SYO/photo:You Ishii》

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