年始めの景気付けにはもってこい!?『バブルへGO!! タイムマシンはドラム式』レビュー
景気回復に向かっているとはいえ、なかなか不況の二文字から脱出できない現代に明るい兆しを運んでくれる(!?)映画が『バブルへGO!! タイムマシンはドラム式』。多額の借金を抱えた日本を救うために財務省が企てた極秘計画。それは1990年にタイムスリップしバブル崩壊を止めることだった! しかもタイムマシンは洗濯機!というなんともユニークなコメディ。
色気あり、厭らしさあり、粋あり『さくらん』レビュー
人気コミックの映画化が続くなか、女性から注目を集めている作品と言えば『さくらん』! 蜷川実花(監督)、安野モヨコ(原作)、椎名林檎(音楽)、土屋アンナ(主演)という女性が憧れるアーティストたちがタッグを組んだエンターテイメントだ。この作品が吉原遊郭を舞台に描かれてきた今までの時代劇と大きく異なるのは、自分の世界観を自由に表現できる現代の女たちが、自由を奪われた江戸時代の吉原の女たちを描くという“女性の目線”にある。
おうちシネコンコラム vol.1 日本の“クロとシロ”、イギリスの“V”コミックヒーローが掲げる世界共通のメッセージ
独裁国家となった近未来のイギリス社会を舞台に仮面を付けた謎の男“V”が、腐敗した政府から市民を解放する姿を描いた『Vフォー・ヴェンデッタ』は、イギリスのコミックが原作。それを『マトリックス』シリーズ(監督、脚本、製作総指揮)で一気にその名を知らしめたウォシャウスキー兄弟が脚本を手掛けたというのだから注目されるのは当然のこと。見たことのない映像を創り出した彼らがコミックの世界をどこまで膨らますことができるのか──未知の世界を観客は期待するのだ。例えば、国会議事堂と中央刑事裁判所は実際にミニチュアを制作、ビクトリア駅でのVの最後の闘いはスローモーションで撮影など、現代の技術あってこそ為し得る映像が隅々に張り巡らされている。また、カメラの前で実際に髪を剃り坊主になったナタリー・ポートマンの体当たり演技も注目を浴びた。そして、最大の面白さはやはりストーリー。国家の不正や情報操作を露わにする現代社会にも通じる思想や倫理の問題が描かれているからこそ面白い! Vのあの不気味な笑みの仮面に導かれ、いつの間にか政治とは? 国家とは? テロとは何かを真剣に考えさせられる不思議な魅力を持った作品なのである。
原作を裏切らない映画化!『鉄コン筋クリート』レビュー
原作漫画を読んだことのない人は今まで体験したことのない世界観を味わえ、アニメとしてもエンターテイメントとしても楽しめるだろう。問題なのは熱烈な松本大洋ファンからどんな評価を受けるのか。『青い春』、『ピンポン』が実写化された時も大きな反響を呼んだが、伝説的漫画と賞される『鉄コン筋クリート』だけにどうジャッジされるのかが楽しみでもあるのだ。
あこがれのスターに会える方法、教えます!『デート・ウィズ・ドリュー』ブライアン・ハーズリンガー監督来日インタビュー
あるクイズ番組の最後の質問の答えが“ドリュー・バリモア”だったという理由で、その賞金1,100ドルを元手にドキュメンタリー映画を作ってしまった男、ブライアン・ハーズリンガー。映画界において全く無名だった彼を監督へと突き動かしたのは、6歳の頃から憧れ続けるドリュー・バリモアに「会いたい!」という情熱。超有名なハリウッド・スターとのデートをするために奮闘する30日間を追った『デート・ウィズ・ドリュー』とは一体どんな映画なのか、そして無茶苦茶な企画を実行したブライアン・ハーズリンガーとはどんな男なのか!? 来日した監督に単独取材を敢行した!
恋人でも愛人でも友人でもない『敬愛なるベートーヴェン』レビュー
日本の年越しに欠かせない「第九交響曲」をはじめ、「エリーゼのために」、「運命」などベートーヴェンの曲を知らない、聴いたことがないという人はまずいないだろう。そんな世界中の人々に愛され続けている偉大なる音楽家の晩年、“第九”の生まれた背景を描いた映画が『敬愛なるベートーヴェン』だ。
最高のキャストあってこそ成し得たリメイク『ディパーテッド』レビュー
マフィアに潜入した警察の男、警察に潜入したマフィアの男──『ディパーテッド』の原案はあの超ヒット作の香港映画『インファナル・アフェア』シリーズだ。いくつもの伏線が緻密に張り巡らされたストーリー、トニー・レオン&アンディ・ラウ、エディソン・チャン&ショーン・ユーという美しき男たちの哀しき運命を描いた3部作は、公開とともに世界中の熱狂を浴びた。
これぞ日本の本格ミステリー!『犬神家の一族』レビュー
ご存知の通り『犬神家の一族』は30年前に市川崑監督、石坂浩二主演で作られたミステリー超大作だ。過去の作品を現代版で、また日本映画をハリウッド版でリメイクすることは取り立てて騒ぐことではないが、同じ作品を同じ監督、同じ主演でリメイクというのは珍しい。というわけで、1作目を知る人にとっては新キャストで繰り広げられる犬神家の複雑な人間模様が最大のみどころ。そして、松嶋菜々子、富司純子、松坂慶子、萬田久子をはじめ期待を裏切ることのないオールキャストが実現した!
“あの香り”を嗅いでみたい『パフューム ある人殺しの物語』レビュー
生まれながらにして天才的な嗅覚を持つ主人公グルヌイユは、ある日、運命の香りと出会う。全ての香りを形にしたいと願い、パリ随一の香水調合師のもとにも弟子入りするグルヌイユ。そして、“あの香り”を香水にするために恐ろしい事件を巻き起こしてしまうのだった。愛を知らずに生まれ、香りに取り憑かれ、少女たちの命を摘み取る男──しかし、純粋な動機であるがゆえに憎めない、究極を求める情熱がゆえに憎めない…この『パフューム ある人殺しの物語』はそんな不思議な感情をもたらす映画である。
クレモンティーヌの愛娘『こま撮りえいが こまねこ』Solita(ソリタ)来日インタビュー
フレンチポップの代名詞として活躍するクレモンティーヌの愛娘、ソリタが『こま撮りえいが こまねこ』のエンディングテーマを歌うことに! これまでにもクレモンティーヌのアルバムのジャケット写真に登場したり、「手のひらを太陽に」、「オーシャンゼリゼ」などで母娘デュエットを果たしているが、ソリタとしてのソロ活動は今回が初。「歌うことが大好き!」という12歳のキュートなフレンチロリータ、ソリタに映画『こま撮りえいが こまねこ』についてインタビュー!
大人のためのフランス映画『あるいは裏切りという名の犬』レビュー
一言でこの映画を表現するならば“大人のためのフランス映画”だろうか。決して若い人向けではないと言っているのではなく、歳を重ねたからこそ薫る渋さが漂っているという意味で“大人な”映画だなと。
カンヌ最高賞に輝いた問題作『麦の穂をゆらす風』レビュー
2006年カンヌ国際映画祭のパルムドールに輝いた『麦の穂をゆらす風』は、『ケス』、『マイ・ネーム・イズ・ジョー』、『SWEET SIXTEEN』などで知られるイギリスの至宝ケン・ローチが、英国が支配していた1920年のアイルランドを描いた問題作である。独立という同じ志を持っていた仲間や兄弟がなぜ対立しなければならなかったのか──そう、この作品の主人公は誰もが知っている英雄ではなく、愛する者のために戦うことを選んだ名もなき人々。だからこそ観客は心打たれるのだ。
『7月24日通りのクリスマス』レビュー
突然ですが、妄想することは好きですか? 恋愛に限らず人は「こうなりたい!」という願望を持っているもの。でも、この映画のヒロイン・サユリ(中谷美紀)は、その妄想がちょっと、いやかなり大き過ぎる(笑)。自分の住む街をリスボンに見立てたり、王子様ランキングを付けたり、究極なのは愛読している少女漫画「アモーレ・アモーレ」の主人公ホセ・ロドリゲスが自分にとっての永遠のヒーロー…と、妄想癖100%を軽く超えてしまう女性なんです。しかし!大学時代の先輩・聡史(大沢たかお)と再会したことで、サユリの妄想は現実へと一気に引き戻され──。

