舞台は、スペインから独立し「黄金時代」と呼ばれた17世紀オランダ。人々は投資や収集に熱をあげており、なかでも“絵画”と“チューリップ”が2大ブームだったという。希少な品種の球根1個が邸宅1軒分に相当し、世界最古の経済バブルとして知られる「チューリップバブル」がピークを迎えていた。親子のように年の離れた、裕福なコルネリスと結婚したソフィア。夫は優しく特に不満もなかったが、彼が切望する跡継ぎができないことが、唯一の悩み。そんななか、夫が夫婦の肖像画を、無名の画家のヤンに依頼する。キャンバス越しに見つめ合うヤンとソフィアが、恋におちるのに時間はかからなかった。若く情熱的な画家と、許されない愛を貫きたいと願ったソフィアは、ある計画を思いつく。しかし、ヤンが2人の未来のために、希少なチューリップの球根に全財産を投資したことから、思わぬ運命が立ちはだかる──。
ジャスティン・チャドウィック