音信不通だった父が2年ぶりに家に帰ってくる。長谷川家の次男・薫は、その年の暮れに実家へと向かった。けれど兄の一の姿はない。薫にとって幼い頃からヒーローのような憧れの存在だったハジメは、2年前のあの日、亡くなった。そしてハジメの死をきっかけに家族はバラバラになり、その灯火はいまにも消えそうだ。そのつながりを繋ぎ止めるかのように、薫は幼い頃の記憶を回想する。それは、妹・美貴の誕生、サクラとの出会い、引っ越し、初めての恋と失恋…長谷川家の5人とサクラが過ごしたかけがえのない日々。やがて、壊れかけた家族をもう一度つなぐ奇跡のような出来事が、大晦日に訪れようとしていた――。直木賞作家・西加奈子による、ある家族の姿を色彩豊かに温かな眼差しで描いたベストセラー「さくら」の映画化。
矢崎仁司
東京事変