15世紀、フランスの王位継承をめぐって、フランスとイギリスが血で血を洗う争いの時代。若きジャンヌ・ダルクは、「フランスを救え」という神の声に導かれてフランス王の軍隊を率いていた。神、愛、罪、福音と祈りを説くジャンヌだが、その力に畏怖と疑心を持った味方の軍内部から反発が生じる。やがてジャンヌはイギリス側に捕らえられ、教会によって異端審問にかけられる。抑圧と支配の濃密な倫理で迫る「雄弁」な男たちを相手に、反駁の叫びと沈黙で応じるジャンヌ。告発に屈せず、自らの霊性と使命に忠実であり続ける。馬術ショーのような戦闘場面。言葉が累積し充満する裁判場面。あまりに奇想天外な相豹を見せた『ジャネット』と打って変わり、様式的な画面と白熱の議論に彩られた、サスペンスとアクションが華麗に展開する。
cocoレビューを見るブリュノ・デュモン