【カンヌ国際映画祭】日仏の国境越え、2つの才能が描く“家族” 『ユキとニナ』会見

カンヌ国際映画祭批評家連盟賞を受賞した『M/OTHER』('99)や、全編フランス語で撮影した『不完全なふたり』などで世界的に注目を集める諏訪敦彦。彼がフランスの名優イポリット・ジラルドと共同監督で完成させた家族ドラマ『ユキとニナ』が、現在開幕中の第62回カンヌ国際映画祭の監督週間に正式出品。15日(金)に上映され、記者会見が開かれた。

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『ユキとニナ』共同監督を務めた諏訪敦彦&イポリット・ジラルド
  • 『ユキとニナ』共同監督を務めた諏訪敦彦&イポリット・ジラルド
カンヌ国際映画祭批評家連盟賞を受賞した『M/OTHER』('99)や、全編フランス語で撮影した『不完全なふたり』などで世界的に注目を集める諏訪敦彦。彼がフランスの名優イポリット・ジラルドと共同監督で完成させた家族ドラマ『ユキとニナ』が、現在開幕中の第62回カンヌ国際映画祭の監督週間に正式出品。15日(金)に上映され、記者会見が開かれた。

遡ること5年前、『不完全なふたり』の製作をきっかけに出会って以来、公私ともに親交を深めてきた二人。新しい形で俳優とコラボレーションをしたいという諏訪監督の提案で、今回の共同監督が実現した。日本とフランスと離れた場所で暮らす二人だが、共通する“父親”であるという点が基礎となり、“子供”視点で家族を見つめる物語が生まれた。

「子供の想像力は信じられないくらい大きなもの。全ての子供たちは始めは世界を変えることが得意な“アーティスト”です。でも、それは大人の現実の生活によって、失われてしまいます。その点で、ユキのキャラクターについて、(諏訪監督は)私よりも確信を持っていました。また、子供をカメラの前に立たせたときに、彼らの新鮮さや無邪気さを映し出すのはとても難しいですが、(主人公・ユキ役の)ノエとの出会いは私たちにとって幸運なことでした。彼女のおかげで、私たちの想像もつかなかったある種の謎と子供の内面の深さを、役柄を与えることができました」(イポリット)。

フランス人の父親と日本人の母親を持つ主人公・ユキは、離婚した両親の仲を戻すべく、友人のニナと共に家出を決行、ある“森”へとたどり着く。この森を、日本とフランスを結ぶ場所として描いたという諏訪監督は、「作っている途中で、この物語が二重の帰属意識を持つことに気づいたんです。そこで、森が通過地点になると考えました。この森は、家族という社会的なコミュニティから外れた場所、子供たちが家族の影響から逃れて、子供たちだけで向かう世界を表象することにもなりました」とそこに込めた意味を語る。

続いてイポリットが語る。「映画を作っていく中で、この森は“不思議な”場所になりました。諏訪さんと私は、参照するもののないまま迷いながら、自分たちの映画を探し、二人とも孤独でした。ここで、ユキは岩の上で一人になったときに突然、前へ進むことを決意するのですが、これは即興でした。脚本に書かれた山ほどの理由を無視して、この瞬間に生まれたのです」。

編集作業は二人それぞれ、日本とフランスで行い、互いに何度もやりとりを重ねたようだが、「これはとても時間がかかり、骨の折れる作業でした。共同監督は私にとって大きな経験でした」と諏訪監督。「このコラボレーションにより、私は自分の自我と、映画を作る欲望をより理解し、どのように作りたいのかをより理解できたと思います」。

最後に、本作が初監督作となったイポリットは、「カメラの後ろに立つという新しい経験を通して、役者であったときには想像しなかった、クリエイティブな過程を学びました。それは少しずつ、絵を描き、何かが現れてくるようでした。4本の腕でしたこの仕事は、私にとって、ミステリアスで神秘的なものを、ユキの目の中に発見できる映画となりました」と満足した様子で作品をふり返った。

『ユキとニナ』は2009年、全国にて公開。

第62回カンヌ国際映画祭特集
http://www.cinemacafe.net/fes/cannes2009/news.html
《text:cinemacafe.net》

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